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ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第11章 キラキラした小箱
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キラキラした小箱

 アンジェラは、不安で一杯の顔を上げて、わたしを見上げ、

「あの…… 一緒にといいますと、どこまで行くのでしょうか?」

「とりあえずは帝都まで。ここに戻ることはないかもしれないから、貴重品その他、どうしても手放せないものがあれば、忘れないようにね。それと、外は寒いから、防寒着も」

「分かりました。すぐに準備を……」

 アンジェラはカウンターの奥へ、小走りに駆けていった。

「さすがマスター」

 プチドラは喜んで、机の上を飛び跳ねている。

「別に情けをかけたわけじゃないわ。あの子は働き者だから、国に連れて帰れば、何かの役に立つでしょ」

「そんなこと言って…… 本当に、それだけ?」

 プチドラはピョンとわたしの肩に飛び乗り、(どういう意味か?)体を摺り寄せる。

「……ちょっと、どうしたの、プチドラ!」


 やがて……

「すみません、お待たせしました」

 アンジェラが小さなコートを着て、両手にキラキラした小箱を持って戻ってきた。

「用意はできたみたいね。ところで、その……」

 その「キラキラ」は、よく見ると、宝石の輝きだった。小箱には、ダイヤモンド、サファイヤ、エメラルド、ルビー等々、大小さまざまな宝石が散りばめられている。まさか、プラスチックのイミテーションということはないだろう。

 プチドラは肩越しに小箱を見ると、少し驚いたような声で、

「マスター、宝石は、すべて本物だよ。品質もよさそう」

 生来的に宝石や貴金属を好むドラゴンの鑑識眼だから、間違いないだろう。でも、子供が持つものではないし、たかだか冒険者の宿の収入で、こんな高価なものを購入できるとは思えない。

「アンジェラ、この小箱は何?」

「これは……」

 アンジェラは、少し躊躇しながら、

「亡くなった母の形見と聞いています」

 ということは、母親が相当なお金持ちだったのだろうか。

 疑問は尽きないが、それはさておき、とりあえず、

「中を見せてもらってもいいかしら? 何が入ってるの?」

「それは……」

 アンジェラはポケットから小さなカギを取り出し、小箱の鍵穴に差し込んだ。音もなく蓋が開く。小箱に収められていたのは、これまた驚きのキラキラと輝くロケット(装身具)だった。

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