戦闘開始
わたしはプチドラを抱き上げてホフマンに向き直り、
「いいわ。支援くらいなら、してあげる。でも、できることは、遠距離から魔法の火の玉や電撃で援護するくらいだから、自分の身は自分で守るのよ」
「おお、それはかたじけない。この恩は、一生忘れぬ!」
ホフマンは、喜び勇んで荷馬車を戦場近くに移動させた。ここから戦場までは、50メートル程度。巨人と武装盗賊団の激戦の様子がよく分かる。武装盗賊団は10人程度でチームを組み、それぞれチームごとに巨人1人を集中攻撃。うまく連携が取れているようだ。でも、武装した巨人を倒すまでは、なかなか大変で、全体的に形勢を見れば、今のところは五分五分だろう。
「それでは、よろしく頼む」
ホフマンは荷馬車から降りると、「うぉー」と大音声を上げ、バトルアックスを振り回し、戦場に斬りこんでいった。
プチドラは、「ふぅ~」と小さくため息をつき、
「行っちゃったね。それじゃ、仕方ないから……」
「その必要はないわ」
するとプチドラは、不思議そうにわたしを見上げ、
「マスター、それは、一体???」
「ぶっちゃけた話、あのドワーフがどうなろうと、こっちには関係ないわ。巨人に踏み潰されるにせよ、武装盗賊団に斬られるにせよ、別にどっちでもいいけど、適当に始末してもらいましょう」
「それは、でも……」
プチドラは小さい腕を組み、「うーん」と首をひねっている。
「構わないわ。わたしは『薄情』ではなくて『非情』でもなく……つまり、『非人情』だから。そんなことより、急いで隻眼の黒龍モードに戻ってほしいの」
「戻って、どうするの?」
「巨人側に加勢するわ。巨人になら、恩を売っておいて損はないでしょ。それに、万が一、あのドワーフが生き残ってた場合には、わたしが直接戦闘に参加したということで、適当に言い抜けることにしましょう」
プチドラは、「わかった」とうなずき、ピョンと地面に飛び降りた。そして、体を象のように大きく膨らませ、巨大なコウモリの翼を左右に広げた。左目が爛々と輝く。荷馬車を牽いていたラバが驚いて暴れだしたが、すぐに隻眼の黒龍の炎によって沈黙した(つまり、ラバの姿焼きとなって)。
わたしは伝説のエルブンボウや貴重品(金貨等)が入った風呂敷包みを背負い、伝説の黒龍の背中に乗った。ちなみに、伝説のエルブンボウが風呂敷包みに入っているのは、矢を忘れてきたのでエルブンボウだけでは使いようがないということ。
「それじゃ、行くよ」
プチドラは、もう一度、巨大なコウモリの翼を広げ、大空に舞い上がった。




