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ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第8章 海賊討伐依頼
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港にも武装盗賊団

 ……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……

 ……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……


 コーラスの声はどんどん大きくなり、やがて、ピタリと止んだ。小さな窓を少し開けて外をのぞいてみると、

「ブラックシャドウたちが出発したというのは、ここだな」

「そうです。あの女も一緒です。やはり仲間だったようです」

「そうだろう。『ブラックシャドウ』を『ブラックウィドウ』とすっとぼけてみせたところで、我輩には通用せん」

 港には、(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶり、灰色のマントを身に着けた連中が、20人ばかり。先頭にいるのはリーダーだろう。自分を「我輩」と言ってるということは、クラーケンの宿でわたしと話をした男か。どうやら、わたしの演技は見破られていたらしい。下手なギャグをかまさなければよかったかも……

 リーダーは拳を突き出して叫ぶ。

「今度こそ、ブラックシャドウを捕え、北の大河の畔で殺害された仲間の怨みを晴らすのだ!」

 前々から、そんな感じはしていたけど、クルグールスク村の帰り道で見つけた死体は、ブラックシャドウの仕業だったようだ。


 灰色マントの集団が、港中から舟をかき集めると、

「では、進軍だ! ヤツらが海賊のいる島にたどり着くまでに、気合で追いつくのだ!!」

 と、リーダーが号令をかけた。

 すると、全員が右手を高く突き上げて「オー」と雄叫びを上げた。2、3人ずつチームに分かれ、舟に乗る(なお、おそらくは重量オーバーの関係だろう、楽器を持ち込んではいない)。そして、全員で声を合わせ、


 ……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……

 ……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……


 例によって不気味なコーラスを歌いながら、海に漕ぎ出していった。


 こうして、港から武装盗賊団がいなくなると、

「ふぅ……」

 ブラックシャドウが安堵したように、大きく息を吐き出した。

「一体、どういうことかの? わしは今まで、あんたを信用してついてきた。あんたには、当然、その信用に応える義務があると思うぞ」

 ホフマンがブラックシャドウに詰め寄った。手にはバトルアックスが握られている。場合によっては……ということだろうか。その気持ちには、大いに同感。

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