港にも武装盗賊団
……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……
……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……
コーラスの声はどんどん大きくなり、やがて、ピタリと止んだ。小さな窓を少し開けて外をのぞいてみると、
「ブラックシャドウたちが出発したというのは、ここだな」
「そうです。あの女も一緒です。やはり仲間だったようです」
「そうだろう。『ブラックシャドウ』を『ブラックウィドウ』とすっとぼけてみせたところで、我輩には通用せん」
港には、(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶり、灰色のマントを身に着けた連中が、20人ばかり。先頭にいるのはリーダーだろう。自分を「我輩」と言ってるということは、クラーケンの宿でわたしと話をした男か。どうやら、わたしの演技は見破られていたらしい。下手なギャグをかまさなければよかったかも……
リーダーは拳を突き出して叫ぶ。
「今度こそ、ブラックシャドウを捕え、北の大河の畔で殺害された仲間の怨みを晴らすのだ!」
前々から、そんな感じはしていたけど、クルグールスク村の帰り道で見つけた死体は、ブラックシャドウの仕業だったようだ。
灰色マントの集団が、港中から舟をかき集めると、
「では、進軍だ! ヤツらが海賊のいる島にたどり着くまでに、気合で追いつくのだ!!」
と、リーダーが号令をかけた。
すると、全員が右手を高く突き上げて「オー」と雄叫びを上げた。2、3人ずつチームに分かれ、舟に乗る(なお、おそらくは重量オーバーの関係だろう、楽器を持ち込んではいない)。そして、全員で声を合わせ、
……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……
……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……
例によって不気味なコーラスを歌いながら、海に漕ぎ出していった。
こうして、港から武装盗賊団がいなくなると、
「ふぅ……」
ブラックシャドウが安堵したように、大きく息を吐き出した。
「一体、どういうことかの? わしは今まで、あんたを信用してついてきた。あんたには、当然、その信用に応える義務があると思うぞ」
ホフマンがブラックシャドウに詰め寄った。手にはバトルアックスが握られている。場合によっては……ということだろうか。その気持ちには、大いに同感。




