表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第8章 海賊討伐依頼
62/100

武装盗賊団が去って

 ひととおり食事が済むと、武装盗賊団第5装甲騎兵軍の面々は、再び(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶって店先に整列した。

「腹も一杯になったことだし、これより、我らが仇敵ブラックシャドウの捜索を再開する」

 リーダーが号令をかけると、全員、ローマ式に右手を高く上げて「オー」と雄叫びを上げ、それぞれ自分の馬に乗った。そして、ある者はラッパを吹き、別の者はドラム(太鼓)を叩き、全員で声を合わせ、


 ……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……

 ……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……


 例によって不気味なコーラスを奏でながら、暗くなった通りを月明かりに照らされながら、どこへともなく走り去っていった。


 コーラスが遠ざかると、

「やれやれだね」

 プチドラはわたしの耳元でささやく。

「一時はどうなることかと思ったけど、なんとか無事に済んでよかったわ」

「本当に無事ならいいけど…… でも……」

 プチドラは心配そうな表情を浮かべている。ブラックシャドウの話を振られた時には適当に誤魔化したつもりだけど、本当に誤魔化しきれたかどうか。考えても仕方のないところだけど、腕を組み「う~ん」と考え込んでいると、

「あぁ~ よく寝た……」

 ホフマンが幸せそうに寝ぼけ眼をこすり、顔を上げた。

「おお、おまえさん…… 戻っておったか。ところで、ブラックシャドウはどこにいったかのう?」

 このヒゲオヤジは…… わたしは思わず苦笑した。ホフマンは、わたしと自分自身のほかに客のいない店内を、不思議そうに見回している。

「カレは所用があるとかで出かけていきました。わたしもこれから部屋で休もうと思うのですが……」

「そうかい、それは残念じゃが…… まあ、いいか。ひとりで飲む酒も悪くないな」

 ホフマンはまだ飲み足りないらしい。萌え系メイド服のウェイトレスを呼び、メニューを指差して酒を注文している。プチドラと飲み比べをさせてみても面白そうだ。自称「アルコール大王」のプチドラも緊張が解けたせいか、口を開けてよだれをたらしているが、そんな場合じゃないと思う。わたしはプチドラの口を押さえ、ホフマンに挨拶をして、自室に戻った。


 ドアのカギを開け、部屋に入ると、

「げっ!!!」

 わたしは思わず声を上げた。そこには意外な人物が(でも、ストーリーの流れ的には、全然、意外ではなかったりするが)……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ