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ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第7章 北の町の風景
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武装盗賊団の目的

 灰色マントの男は苦笑しながら、

「ユーモアがお好きかな? 『ブラックシャドウ』と『ブラックウィドウ』とは、絶妙とは言いにくいが、一応、味があるというか、なんというか……」

 ギャグはあまり受けがよくなかったようだ。ともあれ、わたしは畳み掛けるように、

「で、そのブラックウィドウ……ではなく、ブラックシャドウが、どうしたと???」

 なんだか無理矢理のような気もするが、対して、灰色マントの男は極めて自然体に、

「なんと言うかね…… ぶっちゃけた話、ヤツは我々の仇敵なのだよ。要するに、あのヤロウだけはブッ殺さずにはおけないというかね。詳細を話すわけにはいかないが、我々の当面の目標としては、ヤツをボコボコにしてブッ殺して小便を引っ掛けて……というような下品なことは言うまいが、いや、失礼……」

「申し訳ないのですが、全体像が見えてこないと言いますか…… あなた方と、そのブラックシャドウとの間に、一体、どのようなことが?」

 すると、灰色マントの男はハッとして、少し考え込み、

「いや、そう言われてみると…… 理性的に考えれば、ある意味、愚かな、あるいは馬鹿な話かもしれない。しかし、我々のメンツのためには、馬鹿な話であろうが阿呆な話であろうが、受けて立たざるを得ないというわけなのだ」


 コミカルな会話とは裏腹に、灰色マントの男は透徹とした眼差しでわたしを睨んでいた。表と裏が一致しない策士タイプだろうか。なんとなく、やりにくそうな相手……

 わたしは、とりあえず話題を変え、

「そういえば、最近、グレートエドワーズバーグ近くで海賊がのさばっているという話がありまして、聞くところによれば、「カバの口」と海賊の『天下分け目の合戦』みたいな噂もあるのですが……」

 すると、灰色マントの男は、腹を抱えるようにして笑い声を上げ、

「ははは、そのことか…… いや、失敬……」

 と、しばらくの間、笑い転げていたが(一体、何が面白いのだろう?)、

「いや、申し訳ない。実は、その仕事は、我々とは別のセクション、武装盗賊団の第7から第12あたりの諸部隊が管轄しているはずだ。確か、この数日中には総攻撃という話だが、詳しくは知らんよ」

 ということなら、この部隊は、部隊ごと閑職に回されているような気がしないでもないが、

「つまり、あなた方の部隊は、ただ、ブラックシャドウを捕まえるという?」

「そうだ。結論的にはね。ただ、ヤツを捕えることは、1万の軍勢を皆殺しにするよりも難しいことなのだ。だから、我々のような精鋭部隊が、ある意味、『恥を忍んで』と言うと大袈裟かね。分かってもらえるかな?」

「ええ、まあ、なんとなくですが……お察しいたします」

 なんだか分かったような分からないような……

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