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ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第4章 巨人の村
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謎の変死体

 クルグールスク村からグレートエドワーズバーグまでは、来た道を反対方向に、隻眼の黒龍に乗って数日の空の旅。村で何か有力な手がかりを得られるだろうと期待していたけど、少々、当てが外れたようだ。「村にはいないことが分かった」というだけでは、手がかりとは言いがたい。

「マスター、これからどうするの?」

「とりあえず町まで戻りましょう。今後のことは、戻ってから考えることにするわ」

 でも、正直なところ、何をすればよいのか、まったく見当もつかない。とりあえず、町に戻ればよい知恵が浮かぶかもしれないという、希望的観測を持って……

 ただ、「なんとかなるだろう」のつもりでいると、往々にして「遠き慮り無きは必ず近き憂いあり」ということは、よくあるものだ。

「そういえば、プチドラ、町を出るときに『誰かに監視されてるみたいな』って言ってたけど、クルグールスク村ではどんな感じだった?」

「全然そんな感じはなかった。極めて快適というか……」

「そう、やっぱり空を飛んで追いかけて来られなかったみたいね。」

 眼下には、蛇行する北の大河が西へと続いていた。


「あっ、ちょっと、マスター」

 突然、隻眼の黒龍がスピードを落とし、高度を下げた。

「どうしたの?」

「あそこに、黒っぽい固まりみたいなのが幾つかあるんだけど、分かる?」

 見ると、北の大河の畔に、やや大きい黒っぽい物体が見えた。なんだろう、流木だろうか。

「ここからでは、よく分からないわ。もう少し近づいてみて」

 隻眼の黒龍は、さらに高度を下げ、黒っぽい物体に近づいていく。それにつれ、正体が徐々に明らかになっていった。

 その物体は、よく見ると、人の死体だった。灰色マントをまとい、(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶった死体が数体、無造作に河畔に転がっていた。

「この灰色マントって……」

「うん、クルグールスク村の手前で、巨人相手に何やらトラブルになってた連中だよ。あの時は全員で15人くらいだったっけ。でも、死体は3人分だね」

「プチドラ、とりあえず降りてみて」

 隻眼の黒龍は、一応、周囲を注意深く見回しながら、死体の傍らに降り立った。どれも皆、同じ円筒型の兜、同じ灰色のマントで揃えている(ユニフォームだろう)。

 隻眼の黒龍は、死体に顔を近づけ、

「頚動脈をスパッと一撃で斬られたのが致命傷になったみたいだね。しかも、全員、同じ傷だよ」

 死体は例外なく首筋から大量の血を流していて、下の地面が変色していた。

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