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ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第4章 巨人の村
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二日酔い

 翌朝、目を覚まし、体を起こしたわたしは、

「うっ!」

 猛烈な頭痛に襲われ、再びベッドに倒れこんだ。目を動かして周りを見回すと、わたしは、なぜか、小奇麗な小部屋の小奇麗なベッドの上に横たわっている。

「おはよう、マスター」

 プチドラ(今は子犬サイズ)は、枕元で軽くストレッチしている最中。

「おはよう…… プチドラ、あなたは元気そうね」

 昨夜は、確か、前ツンドラ候と話をして、それから……どうなったんだろう?

 実は、その後のことは、よく覚えていない。今の気分の悪さから推測すると、相当に飲んでいたのだろう。

「ところで、ここはどこ?」

「前ツンドラ候、ピョートル・ミハイロビッチさんの家だよ。泊めてくれたんだ」

「そうだったの。全然、覚えてないけど…… ところで、その、前ツンドラ候はどこに?」

「今朝早く出て行ったよ。『調べものがある』とか言ってた」

「そうなの……」

 タフな人だ。前ツンドラ候は、わたしよりはるかに多く(のみならず、常人なら急性アルコール中毒で病院に担ぎ込まれるくらいに)飲んでいたはずだけど…… 


 ベッドで横になり、ぼんやりと天井を眺めていると、しばらくして、

「おはようございます。朝食をお持ちしました」

 メイドが2人、朝食を運んで来てくれた。ただし、こんな状況なので、とても食べる気にはならないが。

「ありがとう。あなたたちは、ここで働いているの?」

「そうなんです。前の侯爵様のところで働けて、光栄に思っています」

 話によれば、前ツンドラ候は、息子のエドワードに位を譲るとあっさりと政界を引退し、悠々自適の隠居生活を始めたらしい。そして、何年かごとに引越しを繰り返し、このクルグールスク村に引っ越してきたのは3年ほど前とのこと。その際、この2人が、「厳正な審査」の結果、メイドとして雇われたという。

 なお、この村に引っ越した理由は、巨人の国との戦争の際にライバルであった(その際は敵方であった)ニコライ・アレクサンドロビッチ・セルゲーエフ元将軍と話をしたくなったからとのこと。ちなみに、今はセルゲーエフ氏も現役を引退し、クルグールスク村で道場を開いて後進の指導に当たっているとか。

「前から、少し気になってたんだけど…… 同じ村にヒューマンと巨人が同居して、よく争いにならないわね」

「問題ありません。うっかり踏み潰されたりしないよう、村の中で居住区は分かれていますが、皆さん、いい(巨)人たちばかりですよ」

 国同士が(支配階級のレベルで)いがみあっていても、住民レベルの日常的な交流に関しては、まったく妨げにならないということらしい。

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