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暖かい日差しを浴びて

 ポカポカと暖かい日差しを浴びながら、わたしは、久しぶりに執務室の机の上にフニャッとしてまどろんでいた。プチドラは金貨の詰まった袋にもぐりこみ、体を丸くして幸せそうな寝息を立てている。ここは、帝国でも辺境(混沌の領域)に程近いウェルシーの都、ミーの町。

 帝国宰相に頼まれた仕事は失敗にしたけれど、本物の御落胤を手に入れることができた。いずれ役に立ってもらおう。この時間、御落胤のアンジェラはカトリーナ学院で勉強しているはずだ。エレンの話によると、ビックリするくらい飲み込みが早くて、将来有望だとか。

 なお、アンジェラが御落胤ということは、わたしとプチドラとアンジェラだけの秘密。「バレたら追っ手に狙われるから」と言い含めたら、アンジェラも「分かった」というふうに、うなずいていた。


「カトリーナ・ママ…… いえ、カトリーナ様、すべて仰せのとおりにいたしました。」

「あのね…… ドーン、あなた、いい加減にしなさいよ。こう、何度も間違えると……」

 執務室を訪れたのは、猟犬隊隊長アーサー・ドーン。三枚目が板に付いてきたようで、わたしがアンジェラを連れて帰ってきたのを見て、最初に出た言葉が、「カトリーナ様、いつ子供をお産みになったのですか」だった。それ以来、「カトリーナ・ママ」が癖になったのか、何度注意しても直らない。

「失礼いたしました、カトリーナ様、仰せのとおり、騎士団のおもだった幹部から、騎士の身分を剥奪し、領地を没収のうえ、粛清しました。その後任として、メアリー殿、マリア殿及び親衛隊幹部、わたくしアーサー・ドーン及び猟犬隊幹部の15名を任命しました」

「ごくろうさま。これで騎士団も少しは大人しくなるでしょ」

 これは、もちろん皇帝陛下の署名入り認証状の効果。帝国宰相からもらった認証状は20人分だから、5人分余りがある。後々のために取っておこう。あわよくば、ガイウスとクラウディアを始め、帝都のダーク・エルフが味方になってくれた場合に、彼らを騎士に任命しよう……などと、取らぬ狸の皮算用。

「カトリーナ様、ミスティアG&Pブラザーズやマーチャント商会とも話がつきました。最終的には、こちらの提案が通りまして、こちらとしては万々歳です」

 今度はポット大臣が書類を抱えて執務室を訪れた。ポット大臣には、ウェルシー名物の宝石の取引に関して、G&Pブラザーズやマーチャント商会との契約関係の整理を頼んでいた。G&Pブラザーズとの宝石の独占販売契約が問題だったけど、うまく(違約金なしで独占販売契約のみ解除ということで)調整がついたようだ。


 一応、これで懸案事項がすべて片付いたわけだ。いまいましいブラックシャドウとマーチャント商会の関係については、気にはなるが、証拠があるわけでもなく、会長を追及しても空振りに終わるだろう。とりあえずは黙っておこう。また、帝都で次期皇帝選出会議が開かれるとしても、まさか、このわたしが会議のメンバーに加えられることはないだろう。しばらくの間、のんびりすることにしよう。


 ということで、長くなってしまったが、この話、とりあえずはここまでにしよう。

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