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最後にドカンと虹のグランドスラム

最終話っぽくなった

「スポーツの秋!」


「初夏ですね」(※設定上)


「という訳で後輩君、この腐敗した世界に堕とされてる場合じゃないぞ。

 How do I live on such a field? 

 外に出てキャッチボールをしよう」


「嫌です」


「テーコーでルーボーチッャキしよう」


「業界人っぽく言っても嫌です、って、どうやって発音したんですかそれ!」


「ボールは友達、怖くないよ」


「今度は何の影響受けたんですか、大正野球娘ですか」


「ミラクルジャイアンツ童夢くん」


「何処で見たんですかそんなの・・・」


「実家にVHSが残っていたので全部見てきた」


「この間はヤマノススメの影響で山登ろうとか言ってましたよね」


「あぁ、勢い余ってパソコン研究部をワンダーフォーゲル部に改名してしまった」


「嘘でしょ」


本気ガチだぜ」


「だから今は、書類上、君はワンダーフォーゲル部員」


「ワンダー馬鹿!早く直して下さい!」


「今度は野球部にしようと思ったんだけど、何か既に居るから駄目らしいんだよね、

 だから今、日本野球機構、プロ野球選手会を相手取って、異議申立てをする」


「勝てる要素が無い!あと関係無いところに話持っていくのやめて下さい!」


「実は、最近ちょっと太ってきてね、原因は不明だが・・・」


「今、飲んでるそれなんです」


「これ?あぁ、これは『コーラ』っていう飲み物でね、19世紀のアメリカで発明された―」


「いいです。最初から説明しなくて良いです。

 何でコーラ初めて見た人みたいになってるんですか、

 それで?原因がなんですか?」


「あぁ、太ってきたけど原因が分からないっていう・・・」


「その500mlのコーラの中に角砂糖が何個分入っているか分かりますか?」


「それは象を冷蔵庫に入れるにはどうすれば良い、みたいな話?」


「ジョークじゃねぇよ!真面目な話だよ!

 正解は15個だそうです(ネット調べ)」


「角砂糖とか普段あんまり使わないからパッと来ない」


「そうですか」


「東京ドームで言うと何個分?」


「もっと分かりづらいわ、

 それに東京ドームとか行ったこと無いでしょう?

 あんまり無理して世間に合わせなくても良いですよ」


「行ったことくらいあるわい、前橋駅からバス出てるだろ」


「それグリーンドーム前橋だろ」


「そうだっけ、まぁ同じ3大ドームだから似たようなものでしょ」


「グリーンドームは3大ドームじゃねぇよ!おこがましいよ」


「嘘でしょ・・・」


「ついでに言っておくと日本三大うどんに水沢うどんカウントしてるの

 群馬県民だけですからね」


「嘘だろ・・・」


「ちなみに3大ドームってどこだと思ってたんです」


「東京ドーム、グリーンドーム、原爆ドーム」


本気マジやべぇなアンタ・・・

 3大ドームツアーとかやってるアーティスト殺されますよ」


「まぁ、不謹慎だとは思ってたけどなぁ」


「とにかく、パソコンばっか弄って、ゴロゴロしてそんな甘いの

 ばっかり飲んでたら太るのも当たり前って話ですよ」


「だからキャッチボールやろうって話じゃん」


「嫌です」


「そういう後輩君はどうなの、俺と一緒にパソコンカチャカチャやってばっかりで」


「私、食べても太らない体質なので、基礎代謝が高いらしいです」


「いや~ そんな事言って、俺が見たところ入部時と比べて、

HbA1cヘモグロビン・エーワンシー値が高くなってきている様な」


「そんなもん見た目で分かってたまるか!」


「でも定期的な運動は必要でしょうよ」


「そもそも私キャッチボールとかやったこと無いんで出来ませんよ」


「じゃあ俺が教えるから」


「そのプロセスが一番嫌なんですけど」


「何で物理防御力魔法?」


「それはプロテス」


「キャッシング・カードローン?」


「それはプロミス」


「ロシアの女子バレーボール選手?」


「エフゲーニャ・エステス?」


「正解!」


「やったぁ」


「「イエーイ!」」




「ちょっと、自分の作業に戻るの止めてよ、先輩の話聞いてよ」


「え、終わってなかったんですか、話」


「終わってないよ、やっと1クール終わってOP変わったくらい」


「やっと折り返し点ですか」


「キャッチボールが駄目ならジョギングとかどう?」


「走るの苦手ですし」


「ゆっくり走れば良いよ、それにそれなら俺と一緒でも

 暴漢に襲われてる途中の女子高生みたいになるよ」


「それで良いんですかアンタ・・・」


「じゃあ、ウォーキングにしよう、それなら俺と歩いてても

 犬の散歩だと思われるよ」


「卑屈過ぎる!」


「なぁ、頼むよ」


「何でそんなに誘うんですか、一人で行ってきて下さいよ」


「この、パソコン研究部はね・・・ずっと新入部員0名だったんだ・・・」


「え・・・」


「先輩たちが卒業して、一人になってしまって、ずっと仲間が欲しかった。

 でも誰も来てくれなかった」


「・・・」


「だから講堂で部活紹介の時、特別に映像を流して貰って、その映像の中に

 サブリミナルメッセージを仕込んでおいた、それでも誰も来なかった・・・」


「やることが汚ねぇ」


「そして漫画研究部第二部室って扉に張り紙をしておいた、

 そしたら何か阿呆みたいな子が 騙されて入部してくれた。

 初めて出来た後輩だった・・・

 だから一緒に何かやろうって決めた。辛くて大変な事もあるだろう、

 世間の風は冷たいだろう、泣きたくなる事ばかりさ。

 でもその子と一緒に必ず乗り越えて行こうって、そう決めたんだ。

 この、阿呆みたいな子と―絶対、甲子園行ってやるって」


「1、2、3、4、5、6、7、8 勝負はこれ~か~ら~」(オープニング)


「帰ります」


「あ、待って、嘘ウソ、い、痛い、蹴らないで」


「阿呆阿呆うるさいんじゃ!」


「でも結構気に入ってるじゃん!入り浸ってるじゃん!」


「書類提出しちゃったから一年間は変えられないとか言われたんですよ!」


「誰から」


「え、誰でしたっけ」


「俺でしょ」


「そうでしたっけ」


「だって嘘だもん」


「はぁあああああ!?」


「パソコンが壊れるって、やめて、やめて。

 ふぅ、やれやれ、全く女のヒステリーというのは度し難いな」


「正当な憤怒ですが!?」


「いや、言ってみたかっただけです・・・」


「・・・運動したいですね」


「はい?」


「先輩は運動したいですね、そうですね、したいでしょう?しますね」


「何なさるんです?」


「ボクシングをしましょう」


「拳闘ですか」


「はい。ルールは簡単です、先輩はそこに立っていて下さい。

 気を付けの姿勢です。顎を引いて、そう、不動の姿勢です。

 では私が手軽な鈍器などで殴打しますので、それを耐えて下さい」


「どこのルール?それ、アウシュヴィッツ?」


「金的、心臓、頭部への攻撃等、正中線への攻撃が主となります」


「おぉ、主よ」


「1ラウンド3分の12ラウンド制です」


「ひとつお願いが」


「何でしょう」


「私の遺体は、中庭の銀杏の木の下へ埋めて下さい、

 卒業出来なかった愛する高校を見守りたいのです」


「却下します。粉砕機で粉微塵にしたあとトウモロコシと混ぜて

 豚のエサになります」


「人とはここまで鬼になれるのか・・・」


「他に質問は?無い?結構、それでは1ラウンド始めますね、

 はいよーい」



~ 30分後 ~



「まだ5ラウンドも終わってませんが」


「ハァ・・・もう疲れました、やっぱり運動しないと駄目ですね・・・」


「だから言ったじゃん、定期的な運動は必要だって」


「はい、これからは定期的にコレやることにします」


「冗談抜きで死ぬと思うなぁ」


「今日は疲れたので帰ります」


「あ、それ、椅子の足だから、戻しといてね」


「はい、次はムチとか持ってきますね」


「いや~ 何か悦びに目覚めそうだなぁ」


「さようなら」


「あ、ちょっと」


「はい?」


「これ、部活変更届出書」


「え」


「今からでも変更きくと思うよ」


「良いんですか?」


「うん、やっぱ悪いと思ってたしね」


「ちょっとの間だったけど楽しかったよ、ありがとう」


「・・・お先失礼します」


「うん」





~ 次の日 ~



「あ、先輩、お疲れ様です」


「あれれ、早いね。さすがに今日やられるとガチで骨折とかしそうだから、

 もうちょっとまって欲しいんだけど」


「別に殴りに来たわけじゃないです・・・」


「じゃあどうしたの、漫研は?」


「いやぁ、こう、もう入部から結構たつじゃないですか

 そうなると、女子はグループってのが出来上がってる訳でして・・・」


「君、人見知りがち?」


「はい・・・」


「リーダー格の女の子が苦手なタイプな訳だ」


「別に苦手って程では」


「ふぅん、こっちの方が居心地良さそうだったと」


「はい・・・」


「だから、またここに居ても・・・?」


「勿論、OKだよ!」


「良かったです」


「改めてようこそ!ワンダーフォーゲル部へ!」


「そうだった!!」


お わ り

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