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懐古主義者のノスタルジーとモラトリアムとパンツ

昔見た夕焼けの方が今より綺麗だったはずさ

「先輩、ちょっと聞いて良いですか」


「おぉ!後輩よ、もう今日は口聞いてくれないのかと思って

 マジ先輩ショック!愛で空が落ちてくるかと思った。」


「あ、もういいです」


「もう言わない、言わない アイワナビー ザ ガイ」


「そういうのがマジでウザいんです」


「ごめん、もう言わない。それで何かな後輩」


「うちってパソコン研究部ですよね」


「如何にも」


「私、先輩以外の先輩をまだ見たことが無いんですが」


「それは俺の別の一面を垣間見たいっていう意味?」


「私達の他に部員は居るんですかって意味です」


「居ないよ、おキヌちゃんみたいなのがその辺に居るかもしれないけど」


「部員って2人でも部活動として認められるんでしょうか」


「あぁ、アニメとかでよくあるよね、5人じゃないと駄目みたいな」


「はい」


「そうだなぁ、まぁ昔はちゃんとやってたから、

 部員減っても放置されてるんじゃない?」


「先輩が入った時は何人くらい居たんですか?」


「確か6人くらい居たなぁ、皆、卒業していった」


「へぇ、すごい」


「顧問だった津久谷つくだに先生がまず最初に居なくなったね」


「どうされたんですか、転勤?」


「教え子に猥褻行為で懲戒処分になった」


「いきなりやべぇ」


「佃煮みたいな汗をかく面白い人だったんだけどなぁ」


「気持ちわるいっ」


「先輩達とゲーム作ったりしてたなぁ、あの頃は」


「え、すごい、やってみたいです」


「あ~ もう消しちゃったかなぁ」


「でも見直しました、先輩、プログラムとか出来たんですね」


「いや、RPGツクールだけど」


「RPGツクールかよ」


「主人公の家のタンスの中にラスボスが居るとか鉄板だよね」


「見なおして損しました」


「あと音楽作ったり」


「どうせまた音楽ツクールとかそんなんでしょ」


「いや、マリオペイント」


「マリオペイント!?」


「お絵かきソフトなのに何故か作曲機能ついてんだなコレ」


「そう考えると対象年齢高い気がしますねこれ・・・」


「顔のマークで『アッふん』って声がするんだけど、それが

 鳴るだけで皆爆笑だったなぁ」


「何言ってるのかよく分かりませんが」


「じゃあ、プログラム組める人とか居なかったんですか」


「いや、居たよ一人。島村さんって人」


「へぇ」


「一人でカチャカチャやって、シューティングとか作って遊んでたなぁ、

 それが結構面白くてね、将来はゲーム会社に入るんだって言って」


「すごいですね」


「まぁ結局『ファッションセンターしまむら』に入社したんだけど」


「えぇ」


「やっぱ苗字が一緒だったのがウケたのかなぁ」


「人生ままならないですね・・・」


「先輩はプログラミングやらないんですか」


「まぁ、あんまり興味無いからね」


「そこの本棚に技術書たくさんありますけど」


「まぁ、ちょっと興味あったからね」


「『7日間で分かる!JAVA 入門』『サルでも分かるC言語 入門』」


「1日と持たなかったね」


「サルでも分かるのに分からなかったんですか」


「そんなの読者を買う気にさせるエサみたいなもんだろう、

 ミドリムシでも分かるC言語くらいになったら分かるかもしれないけど」


「そこまでいくと卑屈過ぎて何か悪口みたいになってますね」


「そもそも最初の環境作るところが難しいんだ、それで3時間くらいかかった」


「そうなんですか」


「それでやっとプログラミング出来ると思ったら、

 『この言葉はおまじないなので書いておいて下さい』とか、

 馬鹿にしてんのか、中世ヨーロッパだったら

 それだけで魔女扱いされて火炙りにされてるところだ」


「初心者には説明が難しいから取り敢えず書いとけって事じゃないですか」


「それでやっと完成したのが『Hello World』って表示されるだけだぞ、

 何だこんにちは世界って万博のテーマソングかよ」


「最初は皆そこから始めるんじゃないですか、

 先輩はいきなり成果求めすぎです」


「まぁ、そんなつまらんのは置いておいて、やはりゲームを作りたいと。

 俺はそう考えた」


「その体たらくでですか」


「さ、後輩、これを」


「先輩のスマホですか」


「うん、あ、何でハンカチ巻くの」


「何か汚そうなんで」


「そう」


「それでこれがどうしたんですか」


「俺が作ったゲームがインストールされている」


「え、すごいですね」


「その右下のアイコンだ」


「このgameって書いてあるやつですか」


「そう」


「へぇ、すごい、どれくらいかかったんですか」


「まぁ、大体一月くらいかな」


「へぇ~ 先輩さっきから画面が暗いままなんですが」


「もう始まってるよ」


「何が」


「ゲームが」


「えぇ」


「ふふ・・・画面をタッチしてみたまえ」


「はい」


「あ、画面の色が変わりました」


「何色になった?」


「赤です」


「そうか、もう一度押してみろ」


「あ、緑に変わりました」


「そうか、楽しいだろう」


「何がですか」


「ゲーム」


「ゲーム!?」


「うん、タッチすると色が変わるよっていう」


「えええええええええええええええ」


「何が面白いんですか、これ、何に使うんですか」


「あぁ~何か赤色みたいなぁ赤色。#ff0000見たいなぁって時とかあるじゃん」


「ねぇよ!!」


「こんな糞みたいの捻り出すのに一ヶ月もかかったんですか」


「今日はマジで口が悪いね、後輩君」


「因みに何色まで変わるんですか」


「黒と赤と緑と青」


「舐めてんのか!!」


「さっき君が言ってたじゃないか、最初は皆ここから始まるんだ」


「多分皆もうちょっとちゃんとゲーム作ると思いますよ」


「今はこんなだけどいずれ俺も65,536色くらい出してみせるよ」


「色が増えてるだけじゃねーか!」


「色が変わるところで効果音とか出す予定」


「そういうのいらねぇんだよ!

 そもそもゲームって言わないんですよそんなの」


「マジか・・・まぁ、それ作ったの一年くらい前だしな」


「え、じゃあもしかして・・・」


「そう、最新のゲームがついこの間完成した、やりたいかね」


「ここまで来たらとことん付き合います」


「これだ」


「え、ノートですね、普通の」


「ここに書いた」


「これスゴロクじゃないですか」


「ただのスゴロクじゃない、昔ながらのボードゲームに

 RPGのシステムを導入してみた」


「ドカポンのパクリじゃないですか」


「パクリじゃない、多分俺の方が早い、ずっと温めてきたネタだから」


「中国人でもそんな言い訳しませんよ」


「因みにストⅡの真空波動拳もゲームに登場する前に俺が考えてた、これはマジだ」


「ちょっと何言ってるか分からないですね」


「さぁ、ゲームを始めよう、パラメータ設定どうする」


「え、じゃあSTRに全振りでお願いします」


~ 一時間後 ~


「後輩君のSTR強すぎてモンスター本当弱いな」


「これ敵のHP10倍にしましょうよ」


「うーむ」


「あ、もうこんな時間だ、これ一生終わらないですね」


「うん、一生、君のSTRは上がり続け、モンスターのHPは倍になり続けるね」


「どんな地獄なんですかこれは」


「あ、そういう世界設定にしようか」


「もう多分やらないから良いです」


「あ、そう」


「私もう、帰りますね」


「うん、お疲れ」


「先輩、バイトは良いんですか」


「うん、もう辞めたから」


「はっや」


「何かアルバイトの女の子のパンツが無くなったらしくて、

 それを俺のせいにされそうになったから」


「まぁ、あだ名パンツくんじゃそりゃあ疑われますよ」


「あ、パンツってズボンの方ね」


「どうでも良いです」


「先輩」


「うん?」


「スマホの方は糞でしたけど、こっちのゲームは面白かったです、

 プログラミング、続けたらどうですか」


「うん、考えとくよ」


「さようなら」


「うん、また明日」


「・・・」


「やってみるか」





「あ、実は本当に俺がパンツ、パクったんだって言うの忘れた」


お わ り

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