日本人の読書離れに関する傾向と対策
お金貯めて、また学生に戻りたい
「時に後輩よ、そんな部屋の隅っこでこっそりと何を読んでいるのかね?
フランス書院文庫かな?」
「あ、先輩。お疲れ様です、気付きませんでした。居たんですか。」
「居たよ。俺がトムさんのサッカーテクニックスして入ってきたのに何で気づかないの。
このニブチン!昼行灯!不感症!」
「あん?」
「ごめんなさい」
「それで、誰ですかトムさんって」
「トムさん知らないの!?トム・バイヤー!おはスタ見ないで育った世代!?」
「おはスタ見てましたけど、そんな人知りません」
「トム・バイヤーってアメリカのサッカー選手でね、アメリカのサッカーリーグが・・・」
「まぁ、どうでも良いです」
「良くないよ」
「トム・クルーズかトム・ハンクスレベルになったら教えて下さい」
「レベルって何だよ」
「先輩はまだレベル1なのでレベルの概念が分からないんですね」
「マジで!?」
「はい、普通の人は日々経験値を得る度にレベルが上がったことを実感します」
「マジか・・・知らなかった、因みにお前いくつなの」
「16になりました」
「マジかよ・・・ヒトカゲだったらリザードに進化するじゃん・・・」
「私がヒトカゲじゃなくて良かったですね」
「うん・・・きりさくでクリティカルヒット連発されちゃ堪らないからね」
「それで、何読んでるの」
「これですか、デュルケームの『自殺論』です」
「こわっ」
「自殺したら良いなぁって人が居るんで、何か参考にならないかなと思って」
「え、誰だよ~怖いな~ あぁ、これ俺だわ、その目は俺だわ」
「冗談です、何か面白そうだったので借りてきました」
「それを面白そうって思う、君のメンタル結構やばいね」
「分野に拘らず、色々な本を読もうとしてるだけです、
私の尊敬する先生のアドバイスで」
「誰、それ、俺?」
「現国の上原先生です」
「あぁ~上原ね。あのチンコデカそうな鼻してる人」
「殺しますよ」
「―あぁ、殺れよ!君が殺す時が俺の死ぬ時だ!!」
「何、当たり前の事言ってるんですか・・・」
「じゃあ、色々読むんだ、ふぅーん。東野圭吾とかむらかみてるあきとか
流行ってる奴しか読まない人かと思った」
「東野圭吾も好きですよ、あと先輩が言いたいのは村上春樹だと思います」
「あぁ、そうだった。むらかみてるあきはエロアニメの監督だった
めっちゃピストン早い人。知ってる?
『恥ずかしい女子学生妊婦の美奈子の肉を使って射』
あ、ごめんね、帰らないで、もう言わないから。」
「やっぱり先輩はエロ漫画しか読まないんでしょうね、気持ち悪い」
「読むよ俺だって、俺に文学語らせたら凄いよ」
「どうせラノベでしょう?」
「ラノベだって文学だろう、その見下した感じ良くないなぁ」
「別に見下してません。ただ分類として幼稚な本に位置づけされるのは
間違い無いでしょう。絵本の文章が幼稚だからって馬鹿にする人が馬鹿です。
ただ文学かって言うと疑問がありますが」
「文学だよ。その内シヴィライゼーションの大著述家が『勘違いしないでよね!
アンタの事なんか大好きなんだから!
呪いで本音しか言えなくなったツンデレお嬢様』
を産み出したりする様な時代が来る」
「そんなのオックスフォード大学に置きたくないですね」
「色々な本を読むんだったら、ラノベだって読まなきゃでしょ?」
「誰も読まないなんて言ってません、『ソードアート・オンライン』とか読みましたよ」
「どうだった」
「面白かったので、同じ作者の『アクセル・ワールド』とか買ってきました」
「ほら見ろ!」
「何で先輩が得意気なんですか」
「そう、文学に優劣なんて付けなくて良いんだ、面白いものは面白い、
需要があるから供給が産まれ、それで世界は周り、
神は天にいまし、全て世は事もなし」
「ラノベしか読めない言い訳に随分苦労しますね」
「大体、何で本読むだけでそんなに偉そうなんだ。
読子・リードマンレベルになってから偉そうにしたまえ」
「別に偉そうにしてません、何ですかそのコンプレックスは」
「いや、何か読書家って本読まない人を見下してる感あるでしょ」
「別に無いですよ・・・本読む人の方が語彙が豊富だから勝手に
偉そう、とか頭良さそうとか思うんじゃないですか」
「そもそも最近の若者は、ネットが身近にあるから活字に接する機会と
いうのは昔に比べて遥かに多い!」
「それは良く聞きます」
「無線LANの電波が飛び交い、スマホですぐネットに繋げ、
しかも定額で使い放題と来たもんだ!
俺の時なんて、従量課金だったからエロ画像一枚見るのも
ヒヤヒヤしてたし、画面が上からちょっとずつ表示されるんだよね、
処理遅くて、あ、これグロ画像だっつってすぐ消したりとか
そんな能力は身についたけど。
テレホーダイが出来た時はありがたかったなぁ、
テレホマンフライングアタックってのがあってね」
「前から思ってましたけど先輩、何歳なんですか」
「とにかく、活字がより身近になった昨今、日本人の文章力は増加の一途をたどっている
はず」
「えーっと、2014年10月のニュースによると、一冊も本を読まないと言う人が増え、
日本人の読書離れくっきり。だそうです。」
「なんですと」
「電子書籍とか普及して、本と接する機会は増えそうなもんですけど」
「俺ですら毎日欠かさず読んでるのに」
「あ、エロゲーのテキストは絶対カウントされてないですよ」
「そうなると、俺も半年に一冊、読むか読まないかだな」
「マジでエロゲーカウントしてたんですか」
「Fateとかはカウントして良いでしょ?ていうか書籍化してる奴はいいと思う」
「文部科学省に言って下さい、それより何で本読まないんですか」
「何か同じ行ばっかり読んじゃうんだよね」
「えぇ」
「あと漢字が読めなかったり」
「ルビ振ってないんですか」
「振ってない、あと振ってあっても意味がわからない」
「えぇ」
「俯瞰とか書いてあって意味分かる?」
「私は分かりますけど・・・」
「そう・・・」
「分からないなら調べれば良いんです、無料のアプリでこんなのありますよ」
「なにこれ」
「ここに読めない漢字を書くと、候補が出てきて、
読み方と意味が分かります」
「へぇ、すごい」
「簡単でしょう?」
「簡単だけど、面倒くさい」
「簡単の意味知ってます?」
「つーかそんなモチベーション無いんだよ、
そんな知らない漢字に面と向かってどつき合いするみたいな
バイタリティは無い」
「そんな大袈裟な」
「とにかくそんな面倒な事しなくても、楽しい事なんていっぱいあるんだから」
「確かに、娯楽の多様化って言うのも、読書率低下の一因な気がします。」
「そうだよ、昔は本読むかセックスするかしかやることが無かったから」
「いつの時代ですかそれ」
「今は娯楽がハンバーガーみたいにすぐ出てくるからな、
パチンコ屋なんて行ってみろ、ただ金入れて右手捻ってるだけで
あんなに楽しい」
「先輩、高校生ですよね、駄目ですよパチンコ行ったら」
「それで勝った時なんてヤバイぞ、脳から何か幸福を促す物質みたいのが
ドバドバドバイ(アラブ首長国連邦)よ。
何か全能感あるし、神に認められた感」
「さすがにそこまで感じるの先輩だけですよ」
「いや、この感じを皆が感じているのだとしたら、
パチンコ中毒になるのも頷けるな。
パチンコで日本が滅ぶかもしれない・・・」
「先輩大丈夫ですか」
「大丈夫だ、昨日二万負けたから」
「全然大丈夫じゃないですね、お金どうしたんですか、
また親から盗んだんですか」
「馬鹿を言うな、俺はそこまでクズじゃない、
またってなんだよ二回しかやったこと無い」
「クズが・・・」
「バイトで貯めたんだよ、今日もこの後バイトだよ」
「へぇ、先輩バイトしてたんですか」
「うん、この近くの本屋でね」
「え、本屋」
「そう、面接で履歴書持っていった時に、動機を聞かれたから、
本が好きだからって答えたんだ」
「どの口が言うんですか・・・」
「じゃあどんな本が好きなんだって聞くから
『へんし~ん!!! ~パンツになってクンクンペロペロ~』ですって
答えたら、爆笑されてかなり馬鹿にされた。」
「馬鹿じゃないのあんた」
「バイト先じゃあ今も『パンツくん』って呼ばれてるからな、
だから俺は読書家気取ってる奴が嫌いなんだよ」
「お前が悪いわ」
お わ り