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2話 夜の戦い

「んっ……………あっ。」


「そこはっ……いやっ、だめ」


「んもう激しすぎです」


「あっ…それは本当にだめです……」




「参りました。」


「アイリさんは熱くなるとまわりが見えなくなるね。実はここで俺がミスしてたんだけど気づいてなかったでしょう。ここをうまく返せてたらアイリさんの勝ちだったかもね。」


 深夜に妙齢の美女の何をやっているのかというと……もちろんナニである、と言いたいところだが実際は“パンドル“というゲームだ。地球でいうところの将棋とチェスに近い知略対人陣地取りゲームだ。元々は騎士が用兵を学ぶためのものだったそうだが時代が経つにつれ富裕層の嗜みとして普及した。人数は6人から2人ででき、使える駒の選択、地形や天候等を設定し、最終的には指揮官の駒をとるか兵士の50%をとるかで決着となる。かなりルールが複雑で専門的な知識を必要としており、ある種このゲームで遊べることがステータスとなっている。

 詳しくは知らないが、”パンドル“で遊べること、上品な話し方、文字の読み書き、簡単な算術ができることから、アイリはいいとこの出である思われる。その過去を聞いてみたい気もするが他人の過去にズカズカと踏み込むのは気が進まない。俺も奴隷時代のことは話したくないし、思い出したくもないから…



「うぅぅっ悔しいです。リョウさんもう一勝負お願いします。今度こそ勝ってみせます」


「ごめんアイリさん。もう無理。眠たすぎる。」


「…あと一回。あと一回でいいんです、お願いします。」


「無理。寝る。また今度ね。はいそれじゃおやすみー」


 なんとかアイリを追い返してベッドに入る。眠いのも確かに眠いが、それ以上にこれ以上アイリと2人でいるとムラムラを抑えられない。深夜に男の部屋にあんなネグリジェで来ちゃいかんでしょう。こちとらいつでもどこでも暴発する大砲を抱えた19歳、アイリには多大な恩もあることだし、彼女の信頼を裏切るわけにはいかんのがつらいところだ。明日は武器と防具のメンテの後でハヅキの所に行こう。正直言って辛抱たまらん。





◆◆◆◆◆


失敗した。

また失敗してしまった。

なんでパンドルなんてやってしまったんでしょう。

そしてなんであんなにも熱くなってしまったんでしょう。

昔から集中すると周りが見えなくなると言われて、自分でも注意するよう心掛けていたのに。


パンドルなんてただリョウさんの部屋に行くための口実だったのに。

でもいざゲームを始めると楽しくて、楽しくて。

そして負けたら悔しくて、悔しくて。


夜中に男と女が2人きり。やることは一つしかないはずなのに…違うことをやってしまった。ああ私のバカ。


彼に変な女と思われていないかしら、迷惑な女と思われていないかしら。


せっかく勇気を出してこんなネグリジェまで着て行ったのに。


むしろ手をだしてくれてもいいんじゃないかしら…

違うわね手を出すべきなんじゃないかしら…


いいえ彼は紳士ですから女性に手を出すなんてことはないのよ……そういえば娼館に贔屓の娘がいると噂で聞いたことがあるような…ひょっとして私に魅力がないのかしら…年上なんて興味がないのかしら、子供がいるのがダメなのかしら…


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ




い、いけないわ。とりみだしてしまった。落ち着くのよ私。


きっと彼が紳士で照れ屋なだけよ。もっと積極的にいけばすんなりうまくいくのよ。

でもいきなり抱いて、なんて迫ってはだめ。はしたない女だと思われてしまうもの。あくまでもさりげなく、しかし大胆に…うんこれでいきましょう。


逃がしませんよ、リョウさん。


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