プロローグ
プロローグ
「Δ★☆○◎●¥%*!◇◆■」
「☆◆¥%Δ■■」
「*◆■◎☆○¥%」
意味がわからない。
さっきまで本屋にいたはずなのに、いきなり森の中で汚らしい身なりのおっさんたちに囲まれて怒鳴られている。
しかもおっさんが何言ってるか全くわからない…英語でも中国語でもましてや日本語でもない。
俺がわけもわからずパニックになっていると、おっさんたちは、鉈やらナイフやらの刃物を抜きじりじりとこちらに迫ってくる。
危なすぎる。死ぬ、死んでしまう。
意志の疎通を図らなければならない。俺に敵意がないことをわかってもらわなければならない。
「やめてくれ。俺は敵じゃない。ここはどこですか。」
「Sorry please. I am Japanese. I am not enemy. Who are you? Where am I?」
パニックになりながらも大声で話せるだけの言葉で語りかける。
「Δ★☆○◎●¥%*!◇◆■」
「☆◆¥%Δ■■」
「*◆■◎☆○¥%」
しかしおっさんどもはより一層激昂した様子、目を血走らせながらにじりよってくる。
なんだこれは。本当になんだこれは。意味がわからん。助けてくれ。俺が何をしたっていうんだ。誰か教えくれ。
戦うか…無理だ。刃物を持った相手、ましてや複数人に勝てるわけがない。斬られればきっとあっさりと死んでしまう。
逃げるか…どうやって。完全に囲まれている。囲みを脱したとしてどこに逃げればいい?そもそもここはどこだ。
降伏するか…できない。言葉が通じない。
どうする?どうする?どうする?
小便がもれそうだ。
ゲロ吐きそうだ。
頭が痛い。
意味がわからん。
助けてくれ。
あああああああああああ
「ああああああああああっあが!?」
頭が痛い。殴られた!?どこから?だれに?
痛む頭を抑えながら振り返ると、木の棒を振りかぶるおっさんの姿が見えた……