表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/101

第97話 這ってでも逃げるよ

「アルフどんな感じ」

「正確過ぎて近づけもしない、それにわりぃ」

「どうした」

「これ」

 手渡されたのは銃身が曲がってしまったS3だった。

「どうしたのこれ」

「避けようとしたら壁がわりにしてるこれに強くぶつけすぎて曲がった」

「強くぶつけすぎだよ」

 そう簡単に曲がるものではないのだが、使えないものは使えないと諦める。

「それはそうとタナカ、なんだこの轟音は」

「向こうと同じ様な武器使えたからその音なんだけど、効いてる様子がないと言うか当たってないと言うか」

「なんじゃそりゃ」

「前魔王と戦った時には、弾を空中に止めてたんだからそれと似たようなもんだろ」

「つまり撃つのは無駄と」

「多分、だから近づく必要があるんだけど」

 轟音が響き渡っている、どちらかが撃ち続けているようだ。様子をうかがう。地面が削れた為か土煙が上がっている。

「これ意外と走って近付けないか」

 ササキのいる位置は何となくだが分かる。足音が気になるが轟音で消えるだろう。後はリズに撃ち抜かれないかだが。

「アルフ10秒後突っ込む」

「おい失敗したらどうするんだよ」

「なら他にどうしろと、撃ち抜かれるまで待てと、誰かが来るまで待てと」

「それは」

「それに失敗したら這ってでも逃げるよ」

「………わかったリズに止めるように伝えてくる」

 アルフが離れる。それを確認するとS4を構え、ササキに向けて駆け出す。すぐに土煙の中に入る。まだ撃たれていないのでばれている様子はない。また轟音はいつのまにか止んでいた。目が痛くつぶってしまう、が足は止めない。

「えっ」

 声がした、目を開ける。目の前にササキが。全力で走った為に簡単には止まれない。ぶつかる。倒れる。だが武器だけは手放さない。土煙が晴れる。どうなったのか分かりだす。ササキに馬乗りになっているようだった。S4をササキの頭に押し付ける。

「この距離じゃ弾はそらせないだろ」

「はっはっはっそうだな、そらせないさ、そしてこの距離で頭を撃ち抜かれればさすがに死ぬだろう、だから早く撃てばいい。誰の命令かは知らないけどな。お前は誰の命令でここまで来た、どこかの国の王かそれとも神か、どちらにせよ魔王を殺せる一個人なんてこの世界は許さないだろ、だから俺を殺したその瞬間お前は次期の魔王になるかその前に死ぬかの2択しかなくなる」

 ササキが叫ぶ。

「ああ、お前にはもうひとつ選択肢があった。向こうの世界に戻るのもあるか、その時はお前の仲間を見捨てることになるけどな」

 そこまで言われてしまい悩む。どうしてササキと戦っているのかと。

「どうしたなにも言えないか、それとも現実を知ってどうしようもなくなったか。まあもうそれらは関係ない、何故ならお前は死ぬからだ」

「えっ」

 顔をあげる。そこには火の玉が。

「これを使ったのは久々だ、チート持ちの相手をした後、なにも持っていないお前の相手だったから正直なめていた、だがこれで終わりだ」

 避けられそうにもない。

「タナカ」

 横からイリアが近づいてくる。

「イリアやめろ死ぬぞ」

「な、入谷、だと」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ