第96話 真面目に勉強しとけばよかった
「戦うって言っても勝てるかよこんなの」
戦闘が開始された直後にササキが躊躇いなくS5をこちらに向けて撃ちまくる。その為に即座に左右の爆撃機の陰に隠れるしかなかった。轟音が響きまくっている。
「タナカどうするんだよ」
「どうするもこうするもどうしようもないだろこれ」
はっきりと言ってしまえば無理である。ちらっと身体を見せ、かすっただけでも死にそうな重機関銃を的確になおかつ片手で撃ちまくっている。
「それにこれ頑丈すぎるだよ……頑丈すぎるよ」
盾に使ってる爆撃機は何発も食らっているはずなのにびくともしない。
「タナカ魔術使うから援護して」
反対側の爆撃機の陰からイリアがそう叫ぶ。
「無理だろ、これ」
そうは言うが近付けないから自分で撃つかイリアかメリベルに魔術を使ってもらって長距離から仕留めるしかない。轟音が止む。ちらっと様子を見る。S5を構えて止まっている。銃口だけを出す。ばれている様子はない。イリアとメリベルの準備も済んだようだ。だから撃つ。と同時に隠れる。また轟音が響く。イリアとメリベルが同時に魔術を使う。そして隠れる。
「………効いた様子がない」
もう1度様子をうかがうが変化はない。
「タナカさんこれ使えないですか」
リズが指したのは爆撃機に搭載されている、機関銃だ。
「それだ、アルフこれ頼む」
アルフにS3と残りの弾を全て渡す。
「任せとけ」
アルフに後を頼み、中に乗り込んだ。中は始めに乗ったときと同じく、反応弾が積んであるだけで変化はない。
「タナカさんどこを探せば」
「壁際を見てればあるはず」
探すとすぐ見つかるが。
「どうやって操作すればいいんだよこれ」
機銃を直接操作するのではなく機銃に変な機械がついてそちらで操作するようであった。
「タナカさん字が書いているのですが」
「それは分かるるよ、けど理解できないんだよ」
英語で書いてあり、文字であることは分かるが意味が理解できない。
「真面目に勉強しとけばよかった」
かといって諦める訳にはいかない。何とか読める単語を探す。
「えっとこれがshotだから撃つか、でこっちはmoveだから動く、いや動かすかな。」
「タナカさん適当に押してみた方が」
「ちょっと待ってくれ、えっとこれがreloadか、つまり再装填か、でこっちがmonitorか、つまり画面か」
monitorのボタンに触れると正面に外の様子と中央に赤い点が映し出される。
「でこのmoveのスティクを動かせば」
外の様子を写している画面がその通りに動く。そして赤い点とササキが重なった時shotのボタンを押す。近くから轟音。弾が撃ち出されているのだが当たっている様子はない。画面をよく見る。
「外れてるよ、と言うかそれてるよ」
「タナカさんどうしたら」
「アルフたちに伝えてくる、リズここ頼む」
「は、はい」
リズに使い方を教える。と言ってもすぐに終わるが。
「じゃあリズ後は任せた」
「わかりました、あのタナカさんこれを」
S4を手渡される。
「助かる、じゃあ任せた」




