第94話 タナカ死ぬなよ
すぐに入り口は床の下へと消えていった。
「えっ何これ」
「イリア、アルフ達の所に戻ろ」
「ええ、そうね」
アルフ達は移動などせず、その場に留まっていた。と言うかアルフが爆撃機を壊そうとしており、それをリズとメリベル少し離れて見ていた。
「おうタナカどうした、後まだこれに傷ひとつつかねえよ」
「アルフでも壊せないのか、なら壁に使うか」
「タナカさんどうかしたんですか」
「いや、この場所が今上に上がってる」
「上に上がってる、ですか」
「ああ、何となくだけど下に押されてる感じがしないか」
「え、ええしますけど」
「その感覚が元の世界で使われてる道具に似てるんだよ、でその道具は上下に移動するものだったから上に向かってるんだと」
「タナカそれはいいんだ、壁ってどういう事だ」
「いやこれを上にあげるってことは使用する前兆だと思うから」
「世界を滅ぼせるかもしれないこれを使わせないように戦うってことか」
「ああ」
「つまり世界を守るためか。よし、じゃあ準備するか」
アルフが準備を始める。
「………わかった」
メリベルも準備を始める。
「わかったわ」
イリアも準備を始める。
「私も戦います」
リズも準備を始める。
「よし頑張りますか」
自分も準備を始める。と言ってもS3に弾を込めるだけだが。すぐに終わる。空いた時間で爆撃機を確認するとすべて同じ方向を向いている。つまりそちらに出撃するのだろう。つまり入り口にあった整備された道、滑走路はそちら側にあるのだろう。また爆撃機は2列で並んでおり、1番始めに出撃する機体を止めてしまえば他の機体が無理矢理前に出てこれないほどに狭い。なので最悪でもその機体に誰も乗せなければ爆撃は始まらないはずだ。イリアが近寄って来る。
「タナカ」
「イリアどうした」
「死なないでね、まだ答え聞いてないんだから」
「ああ」
次にメリベルだ。
「………タナカ話したいことがあるから死なないで」
さらにリズだ。
「タナカさん死なないでください、お礼がまだできてないので」
最後にアルフだ。
「タナカ死ぬなよ」
「なあ今さらなんだが、自分ってそんなに死にそうに見えるのか」
その言葉を言い切ると、部屋が動きを止め1階にたどり着いた。そしてそこには、1人しかいなかった。
「久しぶりだな、タナカ」
魔王ササキであった。




