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第87話 なら死ね

「どうしてお前が………ここに」

「父さんこそどうして」

 家族の対面であった。

「………リズの家族なら止めて」

「…………めるわけ………」

「………えっ」

「もうやめるわけにはいかん」

 メリベルが後ろに倒れる。その上に馬乗りとなるリズの父。とっさに銃を構え、叫ぶ。

「動くな」

 彼がこちらを向く。

「ならばそう叫ぶ前に引き金を引け」

 ナイフを振り上げる、それを見て指が動く。

 パン

「あっ」

 弾が放たれる。

「タナカさん」

 それを見越していたのか、射線から退くために横に転がり、起き上がると同時にこちらに向かってくる。

「後ろに」

 それを聞くと体が勝手に動き、後ろへと跳ぶ。ほぼ無意識だ。それでもリズの父は跳んだことで空いた間合いを詰めようとする。がそこでリズが割り込んだ。

「どうしてお前がここにいるんだ、お前が来ないように手紙まで書いたって言うのに」

「あの手紙が本当なら魔王城にとらえられてるんでしょ、何で襲いかかってくるの」

「“何で”かそれはな復讐のためだよ」

「復讐って、だれに」

「この世界のすべての人、いやお前らみたいな人間にだよ」

 殺意を向けられる。

「お前らはお前ら以外のすべてを差別している、ただ数が多いだけで」

「差別って」

「これまでだって差別はあっただがなリズ、お前を奴隷にした後、ササキ様が小さな村を落とし同士を増やしていた時だ、その時はまだ戦おうとしていた俺達に対して街の連中は何て言ったか分かるか“お前ら獣人に出せる兵力はない、戦って死ね”だとよ。だから俺達はササキ様とともに世界を滅ぼそうと思った」

「けどタナカさんみたく差別しない人だって」

「そんなものはごく一部だ」

「それは……」

「それにもし、そんな差別をしない人が多くても、人間は新たな差別の対象を見つけなければまとまれないんだよ、だからいつもだれかが犠牲になる、差別される。だから1度すべてを吹き飛ばしすべてを変える、だからリズ退いてくれお前を殺したくない」

「けど私は奴隷として様々な人にあっていろんな考えを知った、それにタナカには命を救われた上に自由にさせてもらえただから退かない」

「そうか、なら死ね」

 リズの父がリズを押し倒そうとする。

「私は、タナカを、守る」

 お互いにナイフを取りだし切りあう。

「タナカさん離れててください」

「ああ」

 離れながら様子をうかがうが、見る人が見れば何をやっているのか分かるのだろうが自分には分からない。

「………タナカ起きて、囲まれてる」

「へ」

 辺りを見渡すとローブを来た奴らが。

「また会うとはな、タナカにメリベル」

 そう言われるが自分には思い当たる人物がいない。

「アテガナのそばの遺跡では世話になったな」

「ああ、教団の」

 そう言うと手近にある遮蔽物の影に隠れる。

「後ろの女にもな、あの時逃がしたことを後悔させてやるよターナーカー」

 右に体を傾け、物陰からかすかに顔とS2を出す。そして狙いを合わせ引き金を引く。

「メリベル反対の敵を、自分はこっち食い止めとく」

「………分かった」

 撃ったのと同時に体を元に戻し遮蔽物に隠れ、隙を見て体を右に傾け、狙い数発撃つ。そして時々銃を左に持ち替え、左に体を傾け射撃。それを何度も繰り返す。

「メリベル早くしてくれ、ってリロード」

 マガジンを替える。いつの間にか残りは4本だ。数発同じように撃つ。そして顔を出すと叫んでいたやつが狙えそうな所に、しっかりと狙いを定めて引き金を引く。音がしない。隠れ銃を見る。マガジンを抜くが弾はまだ入っている。

「これって弾詰まりかよ」

 直せるのかもしれないが直し方がわからないので諦め、もうひとつの銃を抜く。そして戦闘を再開させる。

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