第85話 そこをどけーーー
「死ぬ、死ぬって、アホだろこんな作戦なんて」
「………タナカ早く」
「タナカさんもう少し急いで」
「タナカ早くしろ」
「タナカ」
死にかけの中でどうしてこんなことになったかを思い返してみた。
大声で号令を出すと全員で魔王城へと走り込んでいく、他の人の装備をみてもアルフと似たり寄ったりなので完璧な奇襲にするつもりだろう。しかし始めに撃った魔法弾が消え去るところから地獄が始まった。
「走れ走れ走れ、支援はなさそうだ、自分の身は自分で守るんだ」
誰かが叫んでいた、そちらを見る。ユーリだ。そしてそちらをみなければよかったと今さらに思う。辺りの地面に多数の穴が開いていた。重機関銃であるS5に銃撃されているのだ。
「どうやってあれ防げばいいんだよ」
そこら中から銃声やら悲鳴、怒声が響く。
「タナカこっち」
イリアが叫んでいる方向にかけだした。
「タナカ大丈夫なの」
「ああまだ生きてる」
イリアが見つけたのは何かの鉄の塊であった。弾は貫通していない。安心して背中を預ける。
「でなにこれ、隠れる場所ないって」
「私達が偵察したところから見えないとこなのよここ」
「なるほど」
落ち着いた所で辺りを見渡す。レジスタンスは倒れてる人が多数いるのに躊躇わず進んでいく。ユーリ達は被害はなく進んでいる、魔術とかで防いでいるようであった。
「イリアはあんな感じで防げないの」
「あんな感じって」
「ユーリ達みたいな」
「無理ね、すぐに魔力が尽きちゃう」
すごく大変なことをしているようであった。リズが話しかける。
「でタナカさんこれからどうしましょう、あと半分くらいありますよ」
中間辺りまで進めていた、それが一番驚きである。
「もうこの辺りから城には入れるところがあれば楽なんだけど」
「探してみますがないかと」
「そうだよな。それならユーリ達が中に入った辺りで近付かないか、外警戒する人もいなくなるだろうし」
「それならもう入っているみたいですよ」
再度辺りを見渡すと、もうユーリ達は魔王城へと入っていく所であった。
「早っ」
「じゃあタナカもそう言ってたし行ってみますか」
そう言うと鉄の塊の影からでる。こちらに弾が飛んでくることはない。辺りはいろんなものが飛び散っており吐き気がしてくるので、できる限り見ないようにする。
「タナカ行くぞ」
撃たれることなく無く魔王城へと近付くことが出来た。が入り口で戦闘が行われて入れそうにない。レジスタンスの相手はモンスターのようだ。
「タナカどうする」
「無理矢理進むしか無くないか」
「だよな」
アルフが剣を抜く。
「ですよね」
リズが銃を構える。
「だよね」
イリアが杖を構える。
「………うん」
メリベルが剣を抜く。
「よし行きますか」
自分も銃を構えマガジンを差し込み撃てる状態にする。
「そこをどけーーー」
戦闘中の魔王城へと入り込んでいく。




