第83話 着いちゃったよ魔王城
異世界転送後220日目、目が覚め朝食を受けとる。メニューは昨夜と変わらずだ。食べ終わるとすぐに移動だ。
「でさアルフ」
「何だタナカ」
「後どれくらいだ」
「さあ俺はあんまり辺りを見渡してなかったからな」
「辺りを見渡してないって」
「いや警戒はしてたんだが地形までは覚えておけなかった」
「そうかじゃあイリアかメリベルは」
「私もちょっと」
「………私は覚えてる」
「そうなんだ、後どれくらい」
「………後、1日分も離れてないはず」
「じゃあそろそろ」
「………魔王城が見えてくるよ」
「やっとか」
そろそろ着くようであった。着いた所で魔王なんかはユーリやレジスタンスに任せるつもりだが。
「そう言えば魔王城ってどんな見た目なの」
「………普通のお城」
「普通がわからない」
「タナカさんアテガナの中央にあったのと同じですよ」
「アテガナって」
「おいおいタナカ自分の住んでいる街の名前も知らないのか」
「いや、誰もなにも言わなかったし」
今回言われなければ知る機会は一度も無かったと思う。
「で他に特徴は」
「他の特徴と言えば、魔王城は主に銃器で武装してるみたいだったな」
「まあ魔王が銃を中心に使ってたしな」
「だからかS5が大量にあった」
「近付きたくないなそれは」
「誰も近付きたくないよ」
「で他には」
「………後は魔王城を中心に大きな道が3本あった」
「何だそりゃ」
「それがよくわかんないの、道が途中で途切れてるし」
「そうなのか」
実際に見ないと分かりそうも無かった。
「でこの事はユーリには知らせてるのか」
今回の件の中心人物はユーリだ、彼がいなければ魔王を押し付ける相手がいなくなる。
「あのそれが届いてないかもしれない」
「はあっ」
「報告書は書いたんだけどね」
「イリア説明してくれ」
「それがレジスタンスとユーリ達の間に差があって」
「たとえば」
「食事とかかな」
「食事って」
「それがユーリ達ばかりどんな時でも見たこともない食べ物食べてたりしてて、それがばれて問題に」
「それで」
「その件は解決したんだけど、そのせいで食事問題は些細なことで大問題になるくらいにまでなってて」
なんだか、戦う前から負けそうであった。
「………他にもユーリが貴族なのを反感に思っている人や美女ばかり囲ってることを問題にしてる人とか他にも色々」
「そこまでになるとどうして、まとまってられるかがわからない」
「それは魔王を倒すためだと思うぜ、なんやかんやでそれで集まったんだしな」
「そうか」
今更ながら不安になってきた、これ無理じゃないかと言う思いが強くなってくる。
「もう逃げたい」
「タナカさんもう遅いです」
「なんでさ」
「あれを」
リズがある一点を指す。その先には城が。
「全員止まれ、ここで早いが野営地を作成する」
「………着いちゃったよ魔王城」
魔王城前に野営地を作り、最後の落ち着いた休憩をとる。このタイミングでユーリが鎧やら予備の剣などを渡していく。そのためにユーリはこちらに来そうもない。
「でどうしようか」
「戦う以外に何かあるのか」
「いや、なあリズ話していいか」
「ええ構いませんよ」
そこでリズの家族が魔王城にいること、そして今回は彼らを助けに来たことを説明する。
「そうだったのリズ」
「はいイリア、私の家族は」
「なら私も賛成するわよ」
「………私も」
「俺もだ」
全員に目的を説明し終えたところで、食事が配られる。出てきたのは白いパンに具沢山のスープだ。辺りの人が一心不乱に食事をとる。久々の豪華な食事なので仕方がない。
すぐに食べ終わる。昨日までの食事と比べたら天と地ほどの差があるくらいのないようではあった。
「全員集合」
全員が一ヶ所に集められる。ユーリが全員の前に立つ。
「これからが最後の戦いだ、全員が力を会わせればきっと勝てるだから頑張ろう、それから今日はもう鋭気を休めてくれ、解散」
すぐに解放される。
「だってさ、でどうする」
「なら休もう、明日から休めなくなるかもしれないし」
「じゃあ寝るか」
「そうするか、おやすみアルフ」
そうして寝袋を敷き、中には入り眠りについた。




