第81話 反乱みたいです
異世界転送後218日目、起こされる。
「起きたか、ほらタナカ朝食だ」
渡されたものは昨日と同じで小さな黒パンとスープのみ、心がおれそうになる。
「これだけか」
「ああ」
「これレジスタンス力発揮できてないんじゃないか」
「さあな、それより俺達も食べようぜ」
「それはいいんだが、リズ達は」
「向こうの方でもう食べてるはずだぜ」
指し示す方向に3人がいた。もう食べている。そちらに行く。
「3人ともおはよう」
「おはようございます」
「おはよう」
「………おはよう」
挨拶をするとそのまま地面に腰を下ろし、食べる。味に代わりはない。すぐに食べ終わる。
「ご馳走さま」
「タナカさん足りなそうな顔をなさってますが」
「いや大丈夫大丈夫」
はっきり言ってしまえば足りない。が他に食べるものはないわけではないが、逃げるときに必要になるかもしれないのでないと言うしかない。
「それじゃあ行きますか」
昨日と同じく大分遅いペースで歩いて行く、なにも起こりそうにないし、空腹のあまり話もする気が起きない。
「タナカさん大丈夫ですか」
「大丈夫だと言いたいけどね、さすがに辛い」
「何か採ってきましょうか」
「いや採ってこなくていいよ、そういうリズは大丈夫なの」
「はい大丈夫です」
「すごいな」
素直に感心してしまう。
「奴隷の食事などはこんなのがたまにありましたので」
「なるほど」
最近忘れぎみなのだがリズは奴隷であった。
「はぁ何時着くんだが」
それからも歩き続け日が傾きかけた頃、やっと野営地が着く。そしてそのまま食べ物をもらうために並ぶ。
「タナカ大丈夫」
「お腹………空いた」
食事を渡される。今日もメニューは変わらず小さな黒パンとスープだ、心が折れそうになる。すぐに食べ終わり横になり寝る。
異世界転送後219日目空腹で目が覚める、まだ辺りは暗い。
「さすがに腹が減ったよ、なんか探すか」
野営地は森の開けた場所にあるので少しいけば森の中である。森の中に入ると前にリズに聞いた食べられる野草などを探す。が全てが同じに見え区別がつかない。
「わかるか、こんなもん」
野営地に戻ろうとするとそちらの方から金属と金属がぶつかる音が。走り戻る。すぐにアルフ達と合流する。
「何があった」
「そう言うタナカは何処に行ってたのよ、心配したじゃない」
「食べられるものないかと森の中に、それは悪かったけどひとまず何が起こったか教えてくれない」
「反乱みたいです、タナカさん」
「反乱か、問題は食料って所か」
「ええ、事の発端はユーリさん達先行部隊の方が豪華な食事をしていたことみたいです、それがどこかから噂として流れこのような状態に」
「なるほど、でどうしようか」
「タナカさんが参加していたら参加する予定でしたが」
「じゃあ様子でもみてますか」
5人で森の中に入る。アルフが袋を漁る。
「おいタナカ、ほれ」
何か渡される、干し肉に黒パンだ。
「いやどこから」
「レジスタンスと別に動いてたときの余り物、すっかり忘れてた」
「早く言えよ」
「はは、悪い悪い」
干し肉と黒パンを食べる。すぐに食べ終わり、満腹となる。
「さてどうしようか」
「待たないかすぐに蹴りつくだろう」
アルフがそう言うのと同じくらいのタイミングでユーリ達先行部隊が戻ってくる。見た限り、ほぼ女性しかいない。しかも美人だ。
「タナカ」
イリアの声だが怒りがこもっている。
「何か妙なこと考えてない」
「いやいやいや考えてませんよこれっぽっちも」
「………タナカにイリアそんなことしてる場合なの」
「そうねメリベル」
イリアの怒りが多少収まる。ユーリ達の様子をうかがうと、ユーリが誰かをとらえてそいつに何か言う。
「………あれ食事担当のレジスタンス」
「なるほど、ってなんで知ってるんだ」
「………食事配給するように話したときに見た」
「そうか」
そいつを何か言い終わるとユーリが叫ぶ。
「みんな聞いてくれ食事担当のベイカーが君達の食料を懐にいれていたのだが、もうしないと約束してくれた、だから君達の食事はこれからよくなるはずだ、だからこれ以上の反乱はやめてくれ」




