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第78話 結婚してください

 食が進む。大分早い段階で始めた為か、あらかた食べ終わっても外はあまり暗くない。イリアに話し掛けられる。

「ねえタナカ外に来てくれない」

「ここじゃダメなの」

「いいから」


 イリアに外に連れ出される。何となくであるがイリアの顔が赤い。

「ねえタナカ、リズのことどう思ってる」

「どうって言ってもな、大切な仲間だよ」

「それだけなの」

「それだけなのって言われても」

 信頼なんかもあるし告白的なものはされた気がするのだが、あれは本当に告白であったのか疑問が残るものであるので、はっきりと答えられない。依存されてるって言えばそうであるのだが。

「本当なのよね」

「えっと、ああ、うん」

「なら私はタナカが好き」

「…………えっとなんで」

「始めて会った時、売られるんじゃないかって時に助けてくれて、こんな火傷を負ってもきれいだって言ってくれて、私の仲間を助けるために命までかけてくれる人を嫌いになれるわけないじゃない」

「なるほど」

「だからタナカ、結婚してください」

「………えっ」

 今イリアは何て言った。

「えっと今何て言った」

「結婚しよ、タナカ」

 聞き間違いではなかった、付き合ってくださいとかではなく、それを通り越して結婚してくださいと。

「いやいやいやいや、結婚、結婚なの、付き合ってくださいとかじゃなくて」

「どうしたのタナカ、もしかしていやなの」

「そうではないんだけどさ、早すぎないか、普通は付き合ってくださいとかじゃないの、それ通り越しちゃダメじゃないの」

「付き合うって言われても、あれタナカの世界ではそうなの」

「そうなの、お互いを知るために色々と必要なんだから付き合うと言うことになるの」

「なら問題ないわね、一緒に住んでるし、色々な所へ一緒にいってるし」

 言われてしまえばそうだ。お互いを知っている所か、命すら預けてる。

「それにずっと一緒にいられないかもしれないし」

 それにこの世界は命の価値が本当に安い。その為に結婚を急ぐ必要があるのかもしれない。

「だから結婚してタナカと一緒になりたい、ダメ」

 答えは早く出さないといけない、だが唐突すぎて答えがまとまらない、唇が乾いてくる。もうふて寝してしまいたい。

「ってね、ごめん私も急ぎすぎた、答えは全てが終わってから聞くわ。じゃあねおやすみ」

 そう言うとイリアは宿に戻っていった。自分も戻ってしまいたいが、足が地面に根を張ったようになってしまっていて動けない。

「結婚とかどうすればいいだよもう」

「タナカさんどうかなさいましたか」

「うわっ」

 驚く。声の方を向くとリズがいた。

「そんなに驚かれても」

「いやごめん、悩みごとしてて」

「そうですか、なんなら相談に乗りましょうか」

「いやいいよ、自分だけで解決するよ」

「そうですか、それでしたら早くお休みになられた方がもう大分辺りも暗くなってきましたし」

「ああわかった、おやすみリズ」

「おやすみなさいタナカさん」

 リズとの会話でわかったことがある、今夜は寝られそうにないことそしてメリベルも話がありそうなことだ。リズが宿に戻り、メリベルが入れ替わって来る。

「………タナカ今暇」

「ああ」

「………ならタナカ始めて会ったとき助けてくれてありがとう」

「前にも聞いた気がするんだけど」

「………ちゃんと言いたくて」

「そうなんだ」

「………後イリアとも会わせてくれて」

 そう言うと顔を近づける。頬に柔らかい感触。

「………じゃあおやすみ」

 メリベルも宿に戻っていく。

「……………………もうどうすればいいんだよ」

 そう呟くのが精一杯になっていた。

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