第77話 カンパーイ
異世界転送後216日目、朝を迎える。見知らぬベッドに寝かされており、たどり着いたと同時に倒れ、運ばれたようであった。
「おうタナカ起きたか」
「ああって痛っ」
全身が筋肉痛であった。多少は動かせるがかなり痛い。
「おいおい大丈夫かよ」
「いや動けそうにない」
「まあいいや明日までには治せよ」
「早く治したいけど、なんで明日まで」
「いや明日ユーリをリーダーとして魔王城に進攻するんだが、あれ昨日話したが聞いてないのか」
「聞いてない、と言うか意識失うみたいに倒れなかったか」
「そうか、なら今話したから問題ないな」
「問題だらけな気もするが」
「まああんまり気にするな、イリアにメリベルも呼んでくるお前と話したそうにしてたし」
「ああ、わかった」
そう言うとアルフは部屋からでていった。自分の服を見ると下着1枚だけで素っ裸であった。イリア達が来る前に着替えときたかったが、動けそうにない。
「タナカ入るわよ」
「ああ」
仕方ないので部屋に入れる。イリアとメリベル、それにリズだ。
「あれアルフは」
「………食事とりにいかせた」
「そうか」
「そんなことよりもタナカ怪我差大丈夫なの」
「問題ない、けど今は筋肉痛がきついかな」
「そうなの、魔王と戦って地面に落ちた時動いてなかったし、血もたくさん出てたし」
あの時大量出血もしていたらしい。
「それはそうと今から魔王城に進攻するって聞いたんだが本当なのか」
「………それは本当」
「魔王の目的が世界滅亡って言うのはタナカは聞いてる」
「リズから聞いた」
「それを遺跡にいた人に話したら、その人達がレジスタンスでこの街に移動して、周辺の村の人たちをまとめあげて軍隊にして明日進攻するんだけど」
「食料とかの物資は」
「………ユーリが神から授かった力で解決するって」
チートで無理矢理運ぶらしい。
「でイリアやメリベルも行くのか」
「ええ」
「………行くけど」
2人とも行くらしい、ここまでなにも話していないリズに聞く。
「リズはどうしたい」
「私は………」
「そう言えばタナカはどうするの」
「どうするって行くけど」
「タナカさんが行くなら私も」
「けど魔王はユーリに任せるよめんどくさいし、世界の危機なんて規模が大きすぎるからどうしようもないし、他にすることあるし」
「………他にすることって」
「まあ色々」
リズの家族を助ける、それだけのためなのだがリズ以外もいるし一応ごまかす。
「………運ぶものがあればユーリに言うと簡単に運べる」
「いやいいよ、自分の荷物は自分で運ぶよ」
重いのは嫌だが、魔王はユーリの事を見分けていたみたいだし、集中砲火に巻き込まれたくない。
「タナカは預けた方がいいんじゃない」
「とっさに武器取り出せないと怖くない、後逃げる時とか」
「………私もそう思うから預けてない」
「私も自分で持とうかな」
「タナカとか誰でもいいから開けてくれないか」
部屋の外からアルフの声がする。リズがドアを開く。そこには様々な料理を持ったアルフがいた。
「余り物が多かったから貰ってきた」
「さすがに貰いすぎじゃ」
「まあいいじゃないか、じゃ飲み物渡すぞ」
アルフから飲み物をもらう。酒ではないが紫色の飲み物だ。
「持ったな、じゃあ再開を祝してカンパーイ」




