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第63話 協力してくれますか

 異世界転送後30日目、朝目覚める。辺りを見渡す。何と言うか森のなかであった。

「タナカさん起きられましたか」

「起きた、けど他のみんなは」

「覚えていらっしゃらないのですか」

 思い返す。

「思い出した、必死に逃げてる内にバラバラに森に飛び込んで逃げたんだ」

「そうです」

 寝ぼけて忘れていたのかやっと思い出す。モンスターの数が多いからバラバラに逃げリズの村があった場所で合流と言うことになったんだ。

「なあ場所は伝えてあっても合流できるのか」

「私はここからでも行けますから着いたら何か分かりやすく煙でもあげましょう」

「それならいいや」

 荷物をあさりチューブを取りだし食べる。

「リズは食事は」

「もういただきました」

「そっか」

 すぐに食べきる。ちょっと離れ生理現象を済ませ、森のなかを移動する。


「なあリズの村ってどんな所だったんだ」

「どんなところと言われましても」

「いや獣人だけの村だったとか」

「いえ、人間と獣人が半分半分位いましたよ」

「そうなのか、ならさ何か名物とかなかったの」

「どちらかと言えば狩りが中心で、作物は自分達の生きるために必要な分しか作ってませんでした」

「そうなのか」

「どうしてそのようなことを」

「いや、美味しいものがあれば全部終わったら食べに来ようかなって」

「そうですか」

「しっかし森の中って距離感わからないなどれくらい歩いたんだろうか」

「後もうそろそろかと思いますよ」

「そうなのか、よくわかるね」

「ええまあそうですね、けどタナカさんもし私の家族が居なかったら」

「そのときは見つかるまで付き合うよ、イリアとも似た様な約束したし」

「イリアさんともですか」

「ああ、あれ言ってなかったっけ」

「ええ聞いていませんが」

「そうか、けど今はリズの方が大事」

「そうですか、そろそろ着く頃ですね」

 リズにそう言われると開けた場所に出る。建物は崩れていたりするものはあるが、半数以上は原型を留めていた。

「ここが私の住んでいた村です」

「そうか」

 言われても、漫画とかでよく見る村であり違いがわからない。けど人が住み崩れた建物がなければ住みやすそうに思える。

「あのタナカさん私の家に行ってみても」

「ああ俺も行くよ」


 リズに案内されて、彼女が住んでいた家に行く。そこは崩れておらず普通に生活できそうであった。

「ただいま」

 リズが家に入る時小さくそういうのが聞こえた。

「ここが私の家でした所です」

 中も何と言うか、漫画やらゲームやらでよく見る家である。

「へえそうなのか」

「ちょっとここで待っていてください、他の部屋も見てきたいので」

「ああいいよ」

 リズが2階に上がって行く。自分は居間と言うかリビングで待つ。辺りを見渡しても写真のようなものは当たり前だがなく、荒らされた様子もない。少し蜘蛛の巣が目立つくらいであった。椅子に座りのんびりと待つ。ついでに弾の数を数えるためにバッグのなかを覗く。

「ヤバイな数ないや」

 ショットガンの弾が後9発と爆裂弾が1発、S2の弾がだいたい90発程しか入っていない。S2の弾をマガジンに込める。

 込め終わるが、リズは降りてこない。さすがに勝手に移動するわけにもいかず、壁を見ているのだがさすがに飽きる。仕方ないのでリズに声をかける。

「ちょっと外見てきてもいいか」

 少し待つが返事がない。大きな声で声をかける。

「ちょっと外見てくるぞ」

 やはり返事がない。気になり始める。

「リズ大丈夫か」

 階段によると上から奇妙な音がする。

「おいリズ上がるぞ」

 2階に上がる。後はひとつの部屋から聞こえる。

「中にはいるぞ」

 ドアを開け入ると、リズがこちらを背に泣いていた。

「おいリズどうした」

 近づく。リズは2枚の紙を持っていた。

「………タナカさん、すいませんまだ1人」

「ああ」

 振り返り、部屋から出ようとする。

 衝撃。

「ごめんなさい、やっぱり私を1人にしないでください」

 泣きながらリズが抱きついてくる。

「いや構わないけど、どうした」

 涙ながら持っていた紙を渡してくる。受けとる。

「読んでください」

 読む。手紙の1枚目にはリズの父親の娘に対する謝罪から始まっていた。借金のためにリズに身売りをさせてしまったことに対しての謝罪だ。ある程度読み飛ばす。そして2枚目にはこの村に何が起こったと続いていた。内容としては、魔王軍の前哨基地設営の為人手を無理矢理徴収していること。その基地がここら辺で一番大きな街であると言うこと。魔王が直接来るらしいので助かる見込みも、助けられる見込みもないことそしてその事を娘に知らせないで欲しいと言うことであった。

 読み終わり、リズになんて声をかければいいかわからない。リズの方に振り返り抱き締める。リズが少しずつ落ち着く。

「タナカさん」

「なんだ」

「もし」

 リズは何かを決意した顔つきになっている。

「もし魔王を倒して家族を救うっていったら協力してくれますか」

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