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第60話 返せーーー

 ユーリの勇者宣言によりすべてが終わったかに見えた。が男が喋り出す。

「はっはっはっお前が勇者かならば回答は戦闘だないいだろう」

「戦闘だってこの状態で」

 刀で男をいつでも切れるようにしている。

「ならば切れ、切って見せろ敵になにも語らせるな語らせれば語らせるほど問題が起こるぞ」

「何を、敗けを認めるだけで」

「なら簡単だ切ればいいじゃないと」

 ヤバいような気がしてくる。あの男の口を塞がなければならない。

「タナカ撃てるか」

 声を聞きながら銃を構え、狙う。ユーリが射線に入っている。

「ユーリじゃ」

「なにさ」

 男がしゃべる。

「ここのすべてを滅ぼすためにモンスターを向かわせている、それを防ぎたければ勇者ユーリを殺せ」

 致命的な一言だ。

「何を」

「おっと後ろの男俺を殺せばどうなるかわかっているな」

 言葉ひとつで動きを止められる。

「しかしいい判断だ黙らせればモンスターは来るが一致団結して戦えただろうな」

 最悪だ。このままだとユーリは後ろを気にしなければならいし、かといって避難民だけでモンスター相手はできないくらいのモンスターが来るのだろう。このままだと全滅だ。

「まあここにいる全員に朗報だ2時間の猶予をやろう、それまでに考えな。勇者を殺すかモンスターと戦うか、逃げるか。まあ猶予はやったが勇者を殺すのはいつでもいいぞ俺は寛大だからな」

 男の笑い声だけが響いていた。


「でどうするタナカ俺たちは」

「勇者様は避難民との会議だろう」

「それに比べて私たちは」

「……………放っておかれてる」

 あの後、ユーリは自分達以外の人を集め作戦会議をしている。その間暇なためにだれにも邪魔にならない部屋に戻ってきていた。

「リズが起きるか状況が動くまで荷物整えてますか」

「それもそうね」

「………………それはそうと盾になりそうなものを探している」

「スライムにでも聞いてみるか」

 通信機を使用する。

『どうかしましたか』

『盾ないか』

『ライオットシールドなら』

『頼む』

 通信機を切る。

「メリベル盾あるらしい、だから今届けてもらってる」

「……………ありがとう」

 沈黙が訪れる。ドアが開きそちらを向く。

『今お持ちしました』

 スライムだった。なので言葉を訳す。

『こちらになります』

『ありがとう』

『使用としては12.7mmまで防げますが衝撃までは』

『わかった』

 メリベルに渡す。

「………………ありがとう、軽い」

『他に必要な人は』

「俺はいいかな」

「私も要らないかな」

『後はいいやありがとう助かった』

『いえいえそれでは』

 そのままスライムは去っていった。


 リズも起きずだれも来ず大分時間がたった。

「さすがに決まらなすぎだろ」

「無理もなくないか、引き渡せば安全に過ごせるんだし、ここで歯向かったら延々と追われ続けるんだぞ」

「なら地下の通路で逃げれば」

「多くて無理だと思うけど聞いてみるか」

 通信機を再度使用する。

『何でしょう』

『避難のためにあの通路を使うことは可能か』

『あなた方だけならば、そのシェルターにいる生物すべては許可できません』

『理由は』

『そこまで解放すると毒物等がおかれてしまったらタナカ様を守れなくなる危険性があるので』

『わかった、ありがとう』

 言われたことをある程度分かりやすくして伝える。

「無理か」

「だな」

 少し体を動かしたくなった。

「ちょっと様子見てくる」

「俺もいこう」

「じゃあ私はリズを看てるわ」

「……………いってらっしゃい」


 話し合いをしている部屋の近くまで行く。だが入れてもらえず、離れた所から様子をうかがうも怒声しか聞こえない。

「ここにいても無駄か」

「だな」


 入り口まで行く。例の男が1人柱に縛られていた。警戒している人はいない。

「なあおいあんたら」

「なんだ偽者」

「話があるんだが、って気づかれてたか」

「ああ何となくな」

「まあいい、あんたら世界はほしくないか」

「世界かアルフいる」

「少し欲しい」

「ならこの縄をほどいてくれ」

 後ろからだれかの足音が。

「タナカリズを止めて」

 振り替える。リズがナイフを持って走り込んでくる。

「私の、家族を、返せーーー」

 受け止める。衝撃。遅れて痛み。

「じゃま」

 離れようとする。

「する」

 抱きしめ止めようとする。

「なーーー」

 力の差で負けそうになる。それでも離すわけには。

「リズ落ち着け」

「離せ、離せ」

「リズ」

 叫ぶ。

「落ち着け」

 リズがある程度落ち着く。

「………タナカ……さん」

「ああ」

「私、私」

「落ち着くまでなにも言わなくていい」

「………はい、ありがとう……ございます」

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