第58話 やつが
「リズ知り合い」
「ええはい、あの人は私の父の兄です」
本当におじさんらしい。
「どうしてここに」
「えっと」
リズがこっちを向く。
「タナカさんどう説明すれば」
言われても困る、なぜならあんな手段でここまで来たと言っても納得してもらえないだろうし奴隷になってますとは言えない。
「と言うあなたは」
リズがこちらを向いたからか自分が注目される。
「えっと………仲間です」
「仲間ですか」
「はいそうです、来た手段はちょっと無理矢理来たので聞かないでください」
「…………………冒険者には冒険者なりの理由があると思われるのでわかりました」
助かった、と胸を撫で下ろす。
「それはそうとリズは大丈夫だったか、あいつが借金作って奴隷になったと聞いたときはあいつを殴り倒したが」
「大丈夫でしたよ、タナカさんも皆さんもいい人ですし」
「そうか、それで今日はどうしたんだ」
「あの村の様子を見に行きたくて」
「そうか、ならお仲間さんも来てくれ」
「どこから話そうか、魔王が現れこの辺りが支配されたことはされたことは」
「知ってます」
「その後ある程度は平和だった大きな街は滅ぼされたが村などは放置されていたしかし半年ほど前から村すらも滅ぼし始めた」
「なるほど」
「そしてこの辺りまで滅ぼし始め」
リズが立ち上がる。
「まさか」
「ああその通りだ」
リズが崩れ落ちる。近くにいたので彼女を支える。気を失っているようだ。そのために自分が質問する。
「でその場所は」
「建物のほとんどが破壊されていたが血は多くはなかったらしい」
「それでこの集団は」
「我々はこの辺りの村から集まった抵抗軍だよ、まあ抵抗はできないから避難などが中心だが」
「そうですか、彼女は」
「ここに休ませてくれここの遺跡は部屋が多くてな避難には向いている」
そう言うと彼は出ていった。
「おいタナカどうする」
「まずリズが起きないとどうしようもなくないか、ひとまずそれからだと」
「だよな他のやつは」
「私もそう思うわ」
「…………………私も」
「ユーリは」
辺りを見渡す。
「いない」
「いないな」
「タナカ探してきたら彼女は私たちで面倒見てるわ」
「頼む」
探しにいくために遺跡のなかを移動する。通信機を使いスライムに頼み、監視カメラからも探してもらっている。
「タナカ、ここは居たくないな」
「ああ」
どうしてもあてもなく支援もほとんどなく、いつ助けが来るかわからない避難となっているために重い空気が漂っている。
「こっちにいってみよう」
「そうだな」
人が少ない所を進む。
「いないな」
「そうだな」
食料庫にしているところであった。すべては探していないが警戒している人に聞いても見かけていない為に移動する。
次は武器庫になっていた。ここは警備が厳重であり、ネズミ1匹通すつもりのないようであり聞いても来ていなかった。
「戻るか」
「いないからな」
通信機でスライムに連絡をつけるが見つからないらしい。
割り当てられた部屋に戻る。
「タナカいたの」
「居なかった、それはそうとリズは」
「………………まだ寝てる」
「そうか、話は変わるが魔王って言うのは何」
「それは、わかってる限りだと自ら魔王と名乗りこの辺りを支配したからよ、姿は誰も見たことがないからわからないわ」
「そうなのか」
沈黙が部屋を支配する。することもなく目をつぶる。
カンカンカン
音によって目を開く。いつの間にか寝ていたらしい。リズを見るとまだ寝ている。辺りを見渡すとみんな寝ている。とドアの開く音が。振り替える。ユーリがいた。
「食事」
彼は6人分の食事を持っていた。運ぶのを手伝う。寝ている5人は寝かせておき先に食べる。薄い塩味のスープにジャガイモが入っているだけであった。
「それでユーリどこにいってたんだ」
『テレポートで外に』
『なるほど』
それなら見つからないはずである。
『何もないなただ』
『ただ、どうした』
『何か外が慌ただしいな』
扉を開けると悲鳴やら怒声やらが。
「やつがやつがきギャアーーー」




