第54話 お願いします
ギルドへと向かう道の途中、イリヤに話しかける。
「なあ、ハーフエルフってなんだ」
「えっと説明してなかったっけ」
「無い」
「ごめんタナカ忘れてた」
ハーフエルフの説明が始まる。
「ハーフエルフって言うのは親の片方がエルフでもう片方がそれ以外の種族の間に生まれてきた子供を指すわ」
「と言うことはイリヤも」
「そう父が、母は人間だったわ」
「なるほど、それで差別と言うのは」
「街とかにいるエルフは違うんだけどね、エルフのみの集落なんかだと外からの者に対して危険視するしその子どもが差別されるのは日常茶飯事よ」
「なるほど」
もとの世界で聞いたが、多分そ外から新しい病気だかが持ち込まれてしまったら全滅してしまう危険があるために、差別やら危険視の形で現れるのだろう。
「まあ、母の方に似たのか本当にエルフっぽくはないけどエルフの血は引いてるわよ」
「なるほどな」
イリヤをよく見てもエルフかどうか分からない、と言うかエルフを見たこと無いから比べようがない。
「後ついでに言うとメリベルはドワーフよ」
「…………………は」
「………………気付いてないの」
「気付きませんでした」
「………………背が高いから仕方ないか」
アルフの方を向く。
「えっタナカ気付いてなかったのか」
「見たこともないのに気付けるかよ、ついでに聞くがアルフは人間だよな」
「そうだな」
「リズは獣人」
「はいそうですねタナカさん」
「よし覚えた早くギルドで報酬貰おう」
ギルドに着き、いつも通り並び受付へとたどり着く。ミーヤさんであった。
「おはようございます、本日のご用は何でしょうタナカさん」
「えっと報酬をもらいに」
「では指輪を」
指輪をはずし渡す。
「……………はい確認しました、使いのものが来て依頼終了の連絡もうけています。こちらをどうぞ」
宝石と証明書だ。中を確認する。そこには10000Gの文字が。
「タナカいくらだった」
アルフに見せる。
「1万か治療代引くと1人頭1000G位か、けどまあこれからの予定で変わるかな」
ギルドの片隅に集まる。
「ひとまずこれからどうするかだが」
「私の村に戻りたいのですがタナカさん確認してもらってもよろしいですか」
「わかった」
少し離れる。
『なあ電車のことなんだけど』
『はい確認しました完璧に使えますよタナカミツオ様』
みんなの元に戻る。
「使えるらしい」
「本当ですかタナカさん」
「ああ今確認した」
「じゃあ予定は決まったな今日このお金を使って準備して明日遺跡に行こう」
それからは、弾やら食料やらを買えるだけ買い、どこかの店に入り食事をとり家に帰り寝ようとした。
「タナカさん話したいことが」
リズに呼ばれる。
「なに」
「約束叶えてくれてありがとうございます」
「いいよいいよたまたまみたいな感じだったし」
「それでも」
「そんな気にすることないよ」
「…………それでも」
「明日早いからもう寝ようよ、しかもまだ連れてってないから叶えきってないし」
「そうですか」
「それじゃあおやすみ」
「………おやすみなさいタナカさん」
なかなか眠りにつけない。またドアをノックする音が。アルフの方を向くが熟睡している。仕方ないので出る。
「あっタナカ」
「どうしたのイリヤ」
「メリベル助けてくれたお礼しないと思って」
「いいよいいよ、まだイリヤの仲間全員助けてないし」
「それでも」
「明日早いからもう寝よ」
部屋に戻りドアを閉めようとする。しかしイリヤが入る。
「なにも渡せないからせめて」
「………………は、いやいやいやいや体は大事にと言いますかなんと言いますか」
「何よマッサージしてあげようって言うのに嫌なの」
「…………なんだマッサージか」
「嫌なの」
「お願いします」
イリヤのマッサージは大変気持ちよくいつのまにか眠りについてしまっていた。




