第43話 走り回ったことはあるかーーー!
外に出るとそこは戦場であった。そこらかしこで悲鳴が聞こえ、煙が上がっているところもある。
「戦場かよ」
「戦場みたいだけど、あれタナカ、タナカのいた世界って平和な所じゃないの」
「いや………………娯楽の劇みたいなので」
「へえそうなの、ひとまずそれは置いといて急いで武器取りにいかないと」
「だな」
街中をスラム街まで走って行こうとするがそこら中でバリケードが築かれていたり乱戦になっていたりしており、市場や武器屋に来た際使った道が使えず裏道やら空いてる道を使ったためにすごく走る。
「タナカ遅い」
「いや……………ちょっと…………待って」
裏道を走っている時に、家から声がする。
「おいこっちだ、早くしろ」
ドアが開く。そこにいたのは、マリアさんであった。その建物にイリヤが飛び込み自分も飛び込む。
「おい大丈夫か」
少し待ってもらって息を整える。
「…………でマリアさんはなんでこんな所に」
「いやこれは……………アルフさんの仲間だし、誰にも話さないか」
「はい」
「ちょっと来てきてくれ」
2階に案内される。そこには錠前がついた豪華な飾り付きのドアがあった。マリアさんは鍵束を準備して錠前ではなく飾りのような所に鍵を指していき、5本位さし回すと鍵が外れる。
「入ってくれ」
中に入るとそこには、宝石やら金細工やら何やらかにやらが……………。
「なに…………これ」「なによ………これ」
「盗品だ」
「盗品か……………まあいいや武器はないか」
「ああそれなら向こうの一角に」
「いやいやいや、盗品だよ盗品気にしようよねタナカ」
「スラム街出身なら仕方ないようなイメージあるからそういうものかなって思うし、今それどころじゃないし、これ借りてっていいですか」
手にしたのは水平二連銃、通称ソードオフショットガン、しかも銃身が切り詰められているタイプである。
「それだけでいいのか」
「後これを」
手にしたのは最初に使っていた元折式単身銃である。
「持っていけ」
「………………それもそうね、じゃあ私も杖を1本貰うわね」
「ああ、いいよ」
イリヤはもらった杖に何かの図形を刻み込んでいる、その間暇なので廊下に出て窓から下を覗きこむとそこには、なにか土でできたゴーレムらしきものが。
「なにかしたにいるんだが」
「あっどうした」
マリアさんが来る。
「ちっ、ゴーレムかよ時間稼ぐぞ」
マリアさんが屋根裏に続くであろうはしごを下ろし登っていく。それについていく。
「挟み撃ちしてここから引き離す、タナカ屋根の上に登ったことは」
「何度か、と言うかなんで」
「こんな所であれの敵にあれが出会って見ろ、建物が崩れる」
「それもそうか」
「釣れた方がこの場所からにげににげるでいいよな」
「ああ」
屋根の上に上がる、約3階分の高さであるが手すりもないのはこわい。辺りを見渡す、大体この辺りの建物は高さがあまり変わっていない、。ゴーレムの後ろに回り込み撃つ。弾がはじかれるがゴーレムがこちらを振り向く。屋根の上での逃走劇が始まる。
「しっ死ぬ」
1人で屋根の上を逃げる、ゴーレムが下の通りを追ってついてくる。1回でも足を滑らせたら、地面に叩きつけられて、その上でゴーレムに潰されて死ぬと言う恐怖が足をすくませる。
「屋根に上ったことあるとは言ったが屋根の雪下ろしぐらいで走り回ったことはあるかーーー!」
叫んだとき足が滑る。体が倒れる。下の方で大きな音が聞こえる。元折単身銃を手放し何かを掴む。銃が下に落ちた音がする。 その音につられて下を見る。ゴーレムいない、下にアルフ達とマリアさんがいる。
「たっ助けてくれ」
「タナカ」「タナカさん」
手が汗ばむ。
「あっやばい」
手が離れる。下に落ちる。
「タナカ」
誰かが手を掴む。上を向く。
「イリヤ」
どこかで外れたのかは知らないが、包帯がとれている。
「ご…………ごめん………無理」
イリヤがこちらに倒れこむ。
「おい」
アルフがついたのか支えられる。そして屋根の上へと持ち上げられる。
「たっ助かったよ3人とも、と言うかなんでアルフ達はここに」
「ああマリアに案内された、後お前達の武器だ」
銃とポーチを渡される。
「ありがとう、それでさふと気になったんだけどさ」
「なんだ」
「この唸り声なに」
何かの唸り声がいつの間にか聞こえ始めていた。
「タナカさん、あれを」
リズに言われて振り向く。
「……………ドラゴン」




