第42話 終わったら来ます
異世界転送後20日目、久々に家のベッドで起床した。ベッドと言っても簡易ですごく固いものであるが、外と比べる事もおこがましい位柔らかい寝やすいものであった。
横を見るとアルフはまだ寝ている。日も大分高くなっているためにお昼ぐらいであるために、昨日までの依頼で稼いだ1000G分の宝石を財布代わりの袋に入れ、銃弾の補充に向かうことにした。
家の外では、リズが昨日までの服の洗濯物を干しており、イリヤがのんびりとしている。
「おはよう、二人とも」
「おはようございます、タナカさん」
「おはよータナカ、って眠りすぎじゃないもうお昼ぐらいよ」
「いや疲れがね、今から弾の補充に行くんだけどいかないか」
「私はまだ洗濯があるので、あの食材をいくらか買ってきてくれませんか」
「私は行ってあげてもいいわよ」
「わかったわかった、なんか買ってくるよ。イリヤ行きますか」
「お願いします」
最初に市場を回る。今さらではあるがここら辺は海などが近くにないために肉の方が安い。魚などは前線までの輸送地となっているために手に入るのだが、どうしても輸送費などがかかるのか高くなってしまっており、何か贅沢したいときやお祝いの時など食べられるようだ。また、この手の異世界だと塩が異常に高いなんて時があるが、ここら辺は岩塩が取れるのか知らないが、ある程度安値で手にはいる。
「そう言えばタナカって料理出来るの」
「出来るけど、あんまり凝ったものは作らないよ。肉焼いて、野菜炒めて塩コショウ振るだけ」
「コショウ!高くないの」
「いや向こうの世界だと金貨1枚位で大分買えるよ」
「へぇ、すごくいいわよねタナカが元いた世界」
「住んでたところは命の危険はないし、何かを殺す必要もないところだよ」
「そうなの」
「で、イリヤは料理は」
「………………………リズに習ってる」
「…………………期待してる」
その後適当に食材を買い込んだ。
次は武器屋である。
「いらっしゃいませ、本日のご用はなんでしょうか」
「えっと弾を買いに」
「ああはいご用意しますね他には」
「後爆裂弾を4発ほど」
「ありがとうございます他には」
「イリヤは」
「ないよ」
「分かりました準備しておきますね、その間はお店の商品でも見ていてください」
お店を見て回る。そこには新しく入荷されたS3があったのだが、見た目がM37と言うポンプアクションのショットガンであった。値段を見る、5000G、足りない。
「どうしたのタナカ」
「いや」
「ああS3のレプリカね」
「レプリカなの」
「本物はいつの間にかなくなって、もし見つけたら城を買えるくらいの賞金がかかっているわよ」
「すごいな、それは」
その時誰かが入ってくる、ドアについた鈴のようなものがなる。
「すいません少々お待ちください」
誰かは鎧を着た兵士である、ふらつきながらこちらに近づいてくる。剣に手をかける。
「………………に…………にげ……ろ」
剣を抜く、振りかぶる。
「タナカ危ない」
近くの棚に置いてあった剣を掴む。前に出す。咄嗟のことであり体を支えきれない。後ろに倒れる。さらに切りかかられる。倒れたまま転がる。離れたところで立ち上がる。他の剣を掴む。昔1年だけ習った剣道の構え方で構える。
「………にげ………ろ」
兵士がこちらを向く。
「来るなら……………こい」
兵士が倒れる。
「タナカ大丈夫」
イリヤが後ろからハンマーで叩いていた。
「……………ああ大丈夫」
「あの大丈夫ですか」
スティーブが裏から顔を出す。
「大丈夫です、けど何が」
「タナカ多分だけど操られたんだと思う」
その時外から悲鳴が。
「なあ、操るのってどれだけ大変なの」
「さぁ命令の複雑さによるけどすごく簡単な襲うだけなら20人近く操れるはずよ」
「武器取りに戻らないとな、すいません武器使いました」
「ああ構わないよ、後お代も後でいい」
「ありがとうございます、終わったら来ます」




