第4話 なんでギルドたらい回しにされてるんだよ
「…………はははやっと着いた」
鑑定室の列に並んで5時間ほど、特に面白いこともなく話しかけてくれる人もなくただただ無言で立っている5時間であった。
「なんだよなんで5時間もかかるんだよ、魔法とか使えば一発だろ」
「まぁそうなんですけど〜、牙を武器に鍛えたいから一本残してくれとか〜、はぁこんな値段だともう少し高いはずだろジャイアントラットだぞ中堅どころ以上しか狩れないんだぞとか〜、めんどくさいんですよね〜」
「…………なんか後者は知ってるやつのような、あっこれ受付でこちらに渡すように頼まれました。そしていきなり話に入らないでください驚きます」
「ごめんなさいね〜、何しろジャイアントラットはパーティー組めば冒険者なら誰でも倒せますし〜ソロでも〜能力高ければ新人でも倒せますし〜はっきり言えばうるさいんですよね〜。ああ受付からですか水晶が壊れて測定できないなんてついてないですね〜Luck値低いんですかね〜」
「………えっとLuck値ですか」
「はい〜そう言えば新人さんでしたね〜この水晶は体内に流れている〜魔力に反応して〜その人の持っている〜能力を数値化する〜スグレモノなんですね〜」
「これで測れない人は?」
「いませんよ〜当たり前じゃないですか〜この世界の人はもちろん〜300年前に異世界から来たらしい勇者様でも測れましたから〜じゃあ受付の時と同じように〜水晶に手を置いてもらえますか〜」
「……………はい」
「はい〜ありがとうございます〜…………ってあれ〜測れませんね〜じゃあ少し精度は落ちますが〜鑑定魔法で〜測りますね〜」
「えっと鑑定魔法とは」
「鑑定魔法はですね〜物や人に魔法をかけて〜そのなかにある魔力働きかけて〜それがどんな性質とか本物かどうかとか強さとかを判断する〜魔法ですね〜無許可に人にかけると違法なので〜こちらにサインをしてくださいね〜」
「えっと…………………書けました」
「はい〜タナカさんですね〜じゃあ魔法をかけますね〜」
そう言うと彼女は何かをつぶやき始める。それは小さすぎてほとんど聞こえない。聞こえたのは謎の音のようなものだった。
「あれ〜鑑定魔法も効かないですね〜ではこちらの紙を持ってこの奥の〜マスター室にお進みください〜」
「はぁわかりました」
「それでは次の方〜どうぞ〜」
そして奥へと進みマスター室へとたどり着く。
だがそこにはまた行列が。
「またかよ!そしてなんでギルドたらい回しにされてるんだよ」