第39話 だが急がなければ前線の仲間が
「という訳で潜入したわけだが」
「タナカさん誰もいないのですが」
作戦開始して真似事であるがほふく前進ゆっくり静かにこっそりと行動しているのだが誰もいない。
「いやなんで、こういう時に警戒するんじゃないのしかも村人全員捕まってるなら冒険者いるってバレてるんじゃないの」
「タナカさんそれだけしゃべるとバレるのでは」
「ごめん」
時間を掛けてこそこそと移動し、ちょうど半分ほどの行程を進むと曲がり角から村の中心の広場が見える。
「リズストップ火焚いてある」
「分かりました」
物陰に隠れる。
「リズ先にいけ」
銃を構える。
「分かりました」
「で向こうについたら警戒してくれ自分も行く」
「分かりました」
「じゃあ3、2、1」
リズが物陰から飛び出し駆けていく。誰もこちらを振り返らない。そしてリズが物陰に隠れる、リズがこちらを向き指で合図を出す。
(3、2、1)
「行きますか」
物陰から飛び出し駆けていく。気付かれたら終わりだと言う思いが足を急かす。そして物陰に飛び込む。物陰についても落ち着かない。
「タナカさん大丈夫ですよ、気付かれてません」
「…………よかった」
その言葉でやっと落ち着き、背中に嫌な汗が今更ながら流れ出しているのに気づく。
少し息を落ち着ける。
「よし、じゃあ行きますか」
移動を再開する。
さらに時間をかけ村長宅の前までたどり着いた。玄関から侵入するためにショットガンを構える。リズに頼んで少しずつドアを開ける。自分から見えるところに誰もいないことを確認。完全にドアを開け、反対側も誰もいないことを確認させる。その後中に入る。階段を登る前に全ての部屋を1つずつ同じ方法で確認して行き、1階に誰もいないことを確認。階段を上り2階へと進む。2階でも1つずつ同じ方法で確認して行き、誰もいないことを確認するとやっと落ち着く。
「疲れた」
「タナカさん確認方法とかはどこで」
「サバイバルゲームとかでも部屋があるからそれで、本職の人とは大違いだよ」
「そうですがお上手でしたよ」
「ありがとう、じゃあ後の仕事こなしますか」
2階の村長の寝室だと思われるところから広場を覗く。村人は全員座らせられており立っているのが3人。
「リズ立ってるの3人だけだよね」
「ええそうですね」
それを確認すると背負ってきたS2を構える。肩と手で銃を固定し、アイアンサイトで狙いを定める。遠すぎて、どこに当たるかわからないために少し下を狙う。安全装置を外し単射に替え最後の確認としてもう一度のぞき込む。アルフとイリヤらしき影があるのを確認すると、引き金に指をかける。そして絞り込むように引き金を、引く。
狙っていた人が倒れる、それと同じタイミングでアルフが突入、自分もアルフを支援するために狙いを定めようとするのだが、3人以上いないのか誰も何も来ない。広場でアルフが手を振っていて、下での決着もすぐについたらしくすぐに終わっていた。
「おうタナカおつかれ」
「アルフお疲れ」
3人とも生きていた。
「でさコイ」
「ちょっといいかな」
少佐さんが話しかけてくる。
「急ぎの依頼があるのだが、護衛の依頼を頼みたい」
「いいですよ、いいよなタナカ」
「自分は構わないけど、寝たい」
「そうかなら、移動中に睡眠をとってくれ。自分の依頼はこの手紙を街へと届けたい」
「少佐さんはテイマーなんですよねモンスターは」
「この手紙を手に入れるために無茶してな全て失ってしまった、だが急がなければ前線の仲間が」
「中身をお聞きしても」
「構わない。教団を名乗るやつが街を襲うという予告が届いていてなそれを倒すために兵が街に集結しているのだが、それ自体が偽装で手薄になる前線への輸送物資を襲うと言うのが本当の計画らしいのだそれを早く知らせなければ」
「そうですか」
「頼むこの通りだ」
少佐さんが頭を下げる。
「どうする」
「あれはやってもいいぜタナカ」
そこにリズとイリヤも来たので事情を説明し、意見を求める。
「私はタナカさんの意見に従いますが、できればやりたいです」
「私もやっていいわよ」
「わかった、少佐さんやります」
「ありがとう、馬車はもう借りてある後は荷物を積み込んで出発するぞ」
荷物を積み込み、教団の関係者と思われる3人を村に縛って監視しておくように頼み、依頼内容を確認した上で村を離れた。




