第35話 うぎゃーーー
異世界転送後11日目のお昼頃から依頼者の村まで出発した、景色は緑が多く長閑であるのだが。
「なあアルフ」
「なんだタナカ」
「こんなに狭い所に5日もいるのか」
「そうだろうな」
「タナカもうちょっと詰めなさいよ荷物多いんだから」
「はいはい分かりましたよイリヤ」
「タナカさん私がもう少し詰めましょうか」
「いやいやリズはいいよ」
今回の旅は、食料は依頼者持ちだし馬車があるから楽なものだと思っていたのだが、馬車には食料の他にも農具やら何やらかにやらの日用品、追加の武器やら鎧後は。
「何タナカこっち見て、何かついてるの」
「いやなんでもない」
イリヤの杖の多さである。彼女1人で10本近くの杖を持ってきておりはっきり言って多過ぎなような気がする。1度はためらったがもう聞いてしまおうと思う。
「やっぱりなんかある」
「何よ」
「装備多すぎと言うか、杖多く持ち込みすぎじゃないか」
「えっ、それはそうこれくらい普通よ普通よ、ね」
「えっあ俺か、俺ソロだったから魔術師の普通がどれくらいかわからないな」
「私もタナカさん達と出会ってから冒険者になったので普通とかはよくわからいです」
「えっと、タナカだって新人だし異世界人なのよねこっちではこれくらい普通よ」
「いや、そうなのかもしれないけどこれ持ってダンジョンとかは入れなくないか、移動も大変そうだし」
「…………………だよね、学校でも杖は2~3本が普通だと言われてたんだけど、ダンジョンから逃げ出した時モンスターに魔術が効かなくて、不安になって」
「そうか」
「だからこんなに持っちきちゃって」
「あの皆さんだいぶ暗くなりそうなのでここらで野営します」
「はいわかりました」
「なので薪取ってきますので準備おねがいします」
「じゃあ俺も行くかリズは食事の準備、タナカとイリヤは寝床の準備しといてくれ」
「わかった」
そう言うとアルフは馬車から降りて依頼者の元へと行った。自分も馬車から降りてテントの準備をしようとしたのだが。
「あっあれ」
「どうかされましたタナカさん」
「動けない」
同じ体制で馬車に揺られ続けたからか理由は良く分からないが、本当に動けなくなっていた。残りの2人が降りる。
「何タナカ私を笑わせようとしてるの、私も落ち着いたからいいよ」
「いや本当に」
「そうだったのですかタナカさん、なら食事の下ごしらえして来ますね」
「私達も準備しましょうタナカ行くわよ」
皆が離れていく。だが本当に動けない。
「助けてくれーーー」
その後どうにかこうにか動けるようになったのは、イリヤのテント設営が終わった頃だった。
「タナカ遅い、私1人で準備させるなんて」
「いや本当に動けなくて」
「そんなわけ無いじゃい」
イリヤが自分の足を触れると、痺れが。
「いてぇ」
気持ち的に飛び跳ねる、が実際は倒れただけであるが。イリヤが黒い笑顔を浮かべる。
「少しは耐えなさいよ」
そう言うとイリヤは、足やらなにやらかにやらを触りまくる。
「うぎゃーーー」
そんな感じで時間を潰していると、薪をとって火をおこし、食事の準備ができていた。メニューは黒パンに干し肉というメニューに千切りキャベツのようなものが入ったサンドになっていた。
「おいタナカ大丈夫か」
「いや、大丈夫だ」
「いやなんかすごくボロボロなんだが」
「大丈夫だ本当に大丈夫だ」
「そうか、じゃあ日の番はタナカと俺が最初、リズとイリヤが後でいいか」
「いいぞ」
ほかの二人も賛同して、アルフと火の番をしてリズとイリヤを起こして寝た。
もうちょっと進めるつもりが…………次回も短いかも




