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第33話 ほどいてくれないかな

「ほらさっさと歩け」

 ナイフを突き付けられたまま、来た道を戻らされる。

「……………………あのさ」

「喋るな、次喋ったら刺す」

 ナイフを突きつけられるのは怖いが、道は分かるしむしろ向かう筈であると思われるスラム街の方が顔を知ってる人もいるし、何されてるんだろうと言う感じの方が強い。と言うかスラム街に入ってきてから、ちょっとこっち見て忍び笑いしてる奴らも増えてきた。その内の1人が笑いをこらえながら話しかける。

「何やってるんだマリア」

「誘拐だよ誘拐、3日前ケルベロスに襲われてアルフとその仲間に助けられたらしい話を聞いて、安全な街に引っ越そうと思ってなコイツの持ち物とコイツ自身を売ってそれの予算にしてやるのさ」

「そんな事コイツの前で言っていいのかよ」

「それがさ、聞いてくれよコイツ挑発されても怒りもしなかっただぜ。しかも逃げ出そうとするし」

「そりゃ笑えるな」

「だろう、こいつにもアルフと一緒に立ち向かって至近距離で銃弾を叩き込んでみせたタナカみたいな行動とってみせろよ」

 辺りの笑い声が大きくなる。目の前の男は盛大に笑っている。

「アハハハハハハだな、でこれからどうするんだ」

「今からか、コイツから仲間の情報を聞いてそいつらに身代金渡させてその上で売って大金持ってほかの街にでも住むさ」

「そりゃよさそうだ、なあ俺も一枚噛ませてくれよ」

「だめだ、コイツの装備の感じだと新人だからあんまり金無いパーティーだろ、お前に分ける金なんてねぇーよ、けどコイツの………………」

「分かった分かった」

 そう言いながら彼が顔を近づけてくる。

「(なあちょっとからかうためにパーティーのメンバーあの帽子のねぇちゃんの名前だけ上げてくれないか)」

「(…………………分かった)」

「何こそこそやってんだ、おら早くいくぞ」


 連れてこられたのは前に捕まった小屋であった。持ち物を取り上げられた上で、

「おら早く入れ」

 中に入れられる。前と同じで真っ暗闇であり、前と違い1人である事。話相手もいないので1人暇である。


 どれくらいたっただろうか、数分かもしれないし数時間かもしれないが、だいぶ待ってまた扉が開く。

「早く出て来い」

 またナイフを突き付けられ、歩かされる。

 そしてまた同じ建物に連れ込まれ、取り調べが始まる。が今度は彼女1人である。

「でお前の仲間はどこだ」

「…………えっとその」

「早く言いなさい」

「…………………………」

 無言でナイフを突きつけられる。

「………………………リズ」

「リズって言うんだな」

「………………………………ああ」

 突き付けられたナイフが離されるとどこかに行こうとする。しかしその直前にドアが開く。

「お姉ちゃん何やってるの」

「えっなんでここに、と言うか一緒のは誰」

「タナカさん大丈夫ですか」

 S4を彼女に突き付けながらリズが飛び込んでくる。

「えっタナカ、コイツがタナカ」

「リズお姉ちゃん大丈夫だから銃をおろしてお願い」

「だけど」

 沈黙が訪れる。

「あのさ、ほどいてくれないかな」


 全員に話を聞いた所、マリアさんは街中で仕事をしていた為、顔を知らず自分を誘拐し妹さんとこの街から離れる予算を得ようとしたらしい。それで途中で男と取引し自分の持ち物を売る約束をする。

 その時リズは例のカバンの作り方を妹さん達スラムの少年少女に教えていて、休憩時間と称してスラム街をうろついていると男が話しかけて来て自分が誘拐知って今に至ったらしい。

「大丈夫でしたかタナカさん」

「ああ、大丈夫だが」

 向こうで少女説教をされてるマリアさんが。

「マリア姉ちゃんもうやめようよね、アルフさんが新しいお仕事になりそうなもの持ってきてくれたんだし」

「けど、いつもいつもアイツの世話になってちゃ」

「だからって泥棒するのはダメじゃない、姉ちゃんもアルフさんから仕事しないかって誘われてるんでしょ」

「あいつの仕事って……………何見てるんだよどっか行ってろよ」

 気付かれてしまった。

「じゃあ帰ろうかリズ」

「そうですね」

「そういえば荷物は」

「誘拐の話を聞いた時に渡されたので家においてありますよタナカさん」

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