第31話 ササキ式銃
異世界転送9日目、昨日はあのまま寝てしまった。しかしそれのおかげか筋肉痛も落ち着き動けるところまで回復できたと思う。
「おはようございます、タナカさん」
「おはようリズ」
「アルフさんから伝言があります『銃は見つけたが、お前が元々持っていた方は折れていた。後報酬の500Gだ』だそうです。でこちらがその品になります」
「そうこれが」
そこには、銃身が曲がったり穴があき、引き金がない元折単銃と傷だらけの多分動くS2とそのマガジン、後報酬の500Gの証明書付きの宝石があった。
「今日は報酬で武器とか買いに行かないとな」
「お供します」
S2に紐をつけ背負い、マガジンをポケットにつっこみ、報酬を財布替わりの袋に入れた所で新しく作ってもらった服をどうしていいか分からなくなる。
「なあこの服なんだけど」
「ここに置いといていいらしいですよ、後お礼としてこの建物自由に使っていいらしいですし」
「そうなのか」
そういう訳なので自分が寝ていたベッド脇に服が入った袋を置き改めて部屋を見渡す。小さな家であるためにトイレと部屋2つしかなく、その二つの部屋もベッド2つずつおいてあるだけの質素な部屋である。例えるなら『ヨ』の横線を太くして下の横線を半分にしたような建物であり、玄関は上と中の横線の中間あたりにある。また2階や地下もないが、トイレは水洗式であった。またそれぞれの部屋にはそれぞれ鍵なしのドアがあり、また玄関のドアには鍵がついている。
「なあドアの鍵はどこにあるんだ」
「鍵は私が預かってますよタナカさん」
「そうかならついでに合鍵作ったりしに行かないとな。じゃ行きますか」
玄関の鍵を閉め出発する。
朝食を屋台で2人分計4Gで買い、いつもの武器屋を訪れた。
「いらっしやいませ、本日の御用は」
「修理と買い物に」
「分かりました、では修理して欲しいモノを出してください」
背負ってきたS2を見せる。
「これはたいへん珍しい『ササキ式銃2型』ではないですか」
「そうなんですか」
「ええ、100年前にいた勇者ササキはご存知ですよね」
「はい」
「彼は6つの武器を使って大量のモンスターを倒しその戦いを見た多くの人が真似て作ったのがこちらになります」
「6つもあるんですか」
「ええ勇者ササキはそれぞれ、ライトマシンガン、アサルトライフル、ショットガン、サブマシンガン、ヘビーマシンガン、シーフォーと呼んでいたのですが最後のシーフォーだけは、戦いの中で失われてしまったのです」
「それで」
「その直後は銃が流行りました、しかしすぐにショットガン、ヘビーマシンガン以外はモンスターを倒す力が弱く使われなくなり数を減らし、さらにヘビーマシンガンも、大型過ぎて大手顧客の冒険者受けが悪く、また魔法が発達したことで無理に持っていく必要がなくなった為に数を減らしました」
「じゃあショットガンは」
「ショットガンつまりS3は他の銃より大きな弾を使用でき、かと言ってS5のように重くないので好まれていたのですが、一定以上の威力がです廃れかけていたのですが、5年前新たな弾丸がどこからか制作され始め、注目を集め始めています」
「へぇ、どんな弾」
「こちらの爆裂弾になりますね、1発100Gからになります」
「高っ!普通の弾の100倍かよ」
「どうです、お買いになりますか」
「いやいや買わないよ、点検終わりましたか」
「終わりましたよ」
「ありがとうございます」
ついでと称して武器を見て回る、そして1つの銃に目が止まる。
「どうかしましたか、タナカさん」
「いや、上下二連銃があってさ」
「その武器を知っているのですか」
「知ってるというか有名な銃と言うか、ただ前回の銃の銃身を2つ重ねただけの銃なんだけど、リロード回数も減るしこれ一丁だけだと不安だし」
値段を見る300Gであり買える。なので弾それぞれ20G分づつを買い修理代10Gと合わせて350Gほどで購入した。またあまり売れない品であるS2の弾が売れたので、サービスでマガジンをいくらかつけてもらった。
「荷物が多い」
「少し持ちましょうか」
「お願いします、後は鍵と革だな」
「革ですか」
「いやマガジンポーチやら作って貰いたくてさ、お願いできる」
「いいですよ、けど見たことないので手伝ってくださいね」
「ああいいよ」
鍵は家具屋で合鍵を作ってもらえ、革は布屋で買えた。合計150Gであった。
「じゃあ帰ろうか」
「そうですね」




