第3話 なんで人だけなんだよーー
そして目を開けた。
どうせ森の中とかだろうと思いながら。
「……………もう………………いい……その場所早くどいてくれませんか転送事故が起こると悪いので」
「……はっ………あっはい退けます」
辺りを見渡すとそこは森の中でもなく、かと言ってもどこかの儀式場でもなくただただ人が大勢いる建物の中だった。
「えっ」
ドンと後ろからなにかぶつかる。
「おいおい兄ちゃんこんなところに突っ立ってるとあぶねえぞ」
振り返るとそこにいるのは鬼でも犬耳付きの人でもなくただの禿げたおっさんだった。
「あれぇ」
それから1時間ほど街を歩き回った。
異世界転生基本セットのおかげか会話は困らないし字も読めたし書けそうだ、剣を腰に付け鎧を着込んでいる人がいたり中心部には見たことがない大きな城があるからあの自称女神が間違えて元の世界に戻したというわけでもない、けどそれでも。
「なんで人だけなんだよーー」
そうなんでかはわからないが『人』ばかりなのだ。猫耳がついてたり、ありえないほど小さかったり、逆に大きかったりする人がいないのだ。
「なんでだよ!あの自称女神には言ってなかったがちょっとそういうのに期待してたんだよ、なのに残念だよ」
叫んでも答える人はなく、変なものを見る視線が増えただけであった。
「はぁ、さっき聞いたギルドに行ってみますか」
移動中暇だし自己紹介をしておこう。
まぁなんだ、こちらの世界に来た時に持っていた袋の中に金貨と『暇なときでも観測者と言うか我々に自己紹介位しておいてくれよ』と書いてある紙が入っていたからなんだが。
名前はタナカミツオ漢字で書けば田中満雄だな。
年齢は19歳。大学生兼転送者、大学はそのなんだ遊び呆けてます。身長は170台体重は最近測っていないからわからないが無茶なくらい太っていないし痩せてもいないから平均体重だろう多分、顔は10人中誰も振り向かないレベルだな。
そろそろギルド前だからこれくらいにしておくか。
ギルドは鍛冶屋や雑貨屋なんかが多くある地区の中にあった。
外見は体育館みたいな感じになっており、鎧を着込んでいるもの、血がついた服を着ているもの、今からどこかに行こうとしているもの、酒のようなものを飲みながら談笑しているものなどがおり騒がしかった。
そして受付には行列が。
「えっ」
「おい並ぶなら早く並べよ、こっちはジャイアントラット討伐して来て疲れてんだよ」
「……ああはいすいません」
「しっかしこの行列に驚くなんて新人か田舎者位しかいないんだがどっちだ」
「えっと新人かつ田舎者で」
「で夢を持って冒険者になろうとここに来たってやつか」
「はいそうですね」
「じゃあ覚えとけ今はこの国は戦争中で兵士の数が足りないのは知ってるな」
「えっと………はい」
「それで今は魔物狩りは冒険者だけがやってる状態だ。だから稼ぎ放題ってわけよ」
「そうなんですか………でなんでそんなことを自分に」
「いや新人教育兼暇つぶしだな。まぁなんだ流石に並びすぎだろこれ」
「そうですよね」
「でお前名前は」
「タナカです。あなたは」
「俺はソロでやってるアルフだ。得意な武器は剣だな。そんでもって冒険者歴は1年の中堅どころだ」
「1年で中堅なんですか」
「おいおいお前はどんだけ田舎から出てきたんだか知らないが冒険者なんt「次の方どうぞ」とお前呼ばれてるぞ早くいけ」
「あっはい。ありがとうございますアルフさん今度何か奢りますよ」
「おお期待せずに待ってるぞ」
そうしてやっとたどり着いた受付、そこにはイケメンの男が
「それで本日の御用は」
「…チッ、あっはい今日は冒険者の登録に」
「ああ登録ですね。それではこちらの紙にサインを」
「はい………………書きました」
「はいありがとうございます。ではこちらの水晶に手を置いてください」
「はい」
「じゃあ少しの間動かないでくださいね。ってあれ表示されない………壊れてんのかなおーい水晶余ってないか」
「……はーいただ今持っていきます」
「ミーヤか、一応三個くらい持ってきてくれ」
そしてそこには女神がいた身長は150台赤髪でFカップ程の女神が。
「タナカさん待たせましたね。また水晶に手を置いてもらえますか」
「……………あっはい」
「はいすいませんねってこれも壊れてるのか」
残りの二つも壊れていたようで何も起こる様子はなかった。
「全部故障か、忙しすぎて点検できていなかったのか。あっタナカさんはこれを持って鑑定室に行ってください」
「はいわかりました」
「鑑定室は右手の方にありますよ」
そしてそこにはまた行列が
「……………もういや」