第19話 初ダンジョン攻略した訳だから酒飲んで祝おうぜ
朝食をとり、荷物をまとめ、焚き火に土をかぶせ消火し街へと戻り始めた。
「なあ今回は仕方ないとしても、こんなに荷物重くなったりするから、馬車とか使えないのか」
「馬車使うにしてもコストがかかるしな」
「コストって買う時ぐらいしかかかんないじゃないか」
「おいおいタナカ維持するための費用がかかるだろ。こういった外にいる時はいいけれど街にいるときにはエサ代とか、馬を預かってもらうために馬小屋にお金預けたりするんだが、多めに払わないとしっかり面倒見てもらえないかもしれないし、何より俺らのパーティー馬を扱える人がいない俺は無理だし、タナカも無理だろ」
「無理だな、リズは」
「私も無理です、元居た所だと馬の番をしたり馬車を操ったりする人が別にいましたし」
「つまり馬を扱える人を入れないと馬車が操縦できない、まあ安い馬車で1000G位かかるしひとまず二人の防具買わないといけないだろ。それまだただの服だし」
「いやアルフが来てるそれだって服だろ」
と言って、アルフの服に注目してみるが見る限りただの茶色の服にしか見えない。
「いやこれ革鎧だぞ、見てわからないか」
「すまん分からない」
「そうなのか、まあけどただの服来てるよりはマシだぞ、厚いからぶつかられても痛み抑えられるし、ただの服より頑丈だからジャイアントラットに引っかかれたくらいで破れたりしないし」
「そうなのか」
「そうだな、後せめて弾入れとくポーチぐらいは買わないとな」
「それはそうだな、ポケットに入れてみてるのだがすぐ取り出せないし、たまに落とすしでやってられない」
「だからそれ買わないといけないんだがこの宝石がいくらになるかに期待だな」
「借金が無ければ買えそうなのにな」
そんな話をしている内に街へとつながるもんが見えてきた。
「よしタナカはリズと一緒にギルドで鑑定しといてくれ」
「分かりました」「わかったでお前は」
「俺は準備してくる」
「……………いや何の」
「じゃあよろしく」
そう言うと風のようにアルフは去っていった。
「………………行こうかリズ」
「はいわかりました」
前に来たように人が大勢出入りしている冒険者ギルドにたどり着き、前と同じように列に並び鑑定室へとたどり着いた。今更ではあるが周りを見渡すと小部屋へと続くドアが5つありその前に並んでいる。それでドアが開いたら次の人が入っていき鑑定してもらう感じだ。部屋の中だがテーブルがひとつあるだけでそれ以外は何もなかった。
ドアが開き冒険者が外に出てきたので、中へと入る。
「こんにちは~本日は何の御用ですか~」
中には前の時も担当してもらったフィーネさんがいた。
「今回は鑑定ですね」
「そうですか~では指輪をお出しください~」
「はい………………これです」
「ありがとうございます~確認しますね~、タナカさんでしたか~今日の御用はなんですか~」
「鑑定をお願いしたいのですが」
「そうですか~では机の上に鑑定するものを出してください~」
「分かりました」
机の上に背負ってきたジャイアントラットの牙やら皮やらが入った袋と宝石を出す。
「宝石もあるのですか~鑑定書お付けしときますか~」
「えっと…………ハイお願いします」
「分かりました~では準備してくるので少々お待ちください~」
そう言うとフィーネさんは、自分たちが入ってきた方と反対のドアから出ていった。
「えっとなリズ聞きたいことがあるんだが」
「なんでしょうタナカ様」
「鑑定書って何」
「えっとですね見たことないのですか」
「………………見たことないな、貧乏だったし」
「そうですか、では説明させていただきますね。鑑定書はその宝石の価値がどれくらいであるかを示したもので、鑑定書と宝石でゴールドの代わりに支払うことができるようになります」
「なるほど、高価な物を買うときはすごく便利そうだ」
「他にも持ち運びが楽になったりしますね」
「けどさ、鑑定書ごまかしたり、鑑定された宝石と違う宝石出されたら困らないか」
「鑑定書のごまかしはあるようですが鑑定書をかけるのは、鑑定士のみであり、ギルドで認められた人物であり、少しでも気になるならギルドに言えば、その人直筆のサインと比較できますし、大抵の商人はその街のギルドにいる鑑定士のサインは、把握してるので偽造は難しいかと、後鑑定書と宝石には魔法によって同じ印が付けられるので間違って出したりするのは、簡単にバレてしまいますね」
「なるほどなあ、ありがとうリズ」
そんな話をしているうちにフィーネさんが戻ってきた。
「じゃあ鑑定始めますね」
鑑定結果としてはジャイアントラットが15匹分で150G宝石が1つ500Gで全部合わせて1650Gになったのだが宝石の鑑定書料が1つ30Gで1560Gとなった。
「鑑定終わりますね~それではこちらを受付へと渡してください~」
「分かりました」
「ああ名乗ってませんでした~フィーネです~よろしくお願いします~タナカさん~」
「よろしくお願いします」
そして、また行列を乗り越え受付へとたどり着く。
「えっと鑑定から渡されたものです」
「はい分かりました……………確認のため指輪を出していただけますか」
「はいこれで」
「では確認しますね………………あれあの少々お待ちください」
そうして少しまたされると、ミーヤさんが来た。
「すいませんタナカさん」
「ミーヤさんなにかしたんですか」
「いえ、少しこちらの手違いがありまして。あっ書類の方は確認しました、こちらがジャイアントラットの買取額になる60Gです」
「そうなんですか」
「それでは頑張ってくださいねタナカさん」
「はい」
そうしてギルドから出るとそこには、アルフがいた。
「おうタナカにリズ、借金返しに行くついでに酒飲みいくぞ」
「いやいや、お前のせいでこんな訳になったわけだし少しは反省を」
「そんな硬いこというなよ、でお硬いタナカはほっといてリズいくらくらいになった」
「1500G程ですが、タナカ様の仰るように少しは反省した方がよろしいのでは無いでしょうか」
「2人とも硬すぎるな、せっかくの初ダンジョン攻略した訳だから酒飲んで祝おうぜ」
結局酒場に向かうことになったのであった。




