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第17話 おかえりなさいませ

 とは言われたものの。

「ロープってどれくらいの長さがあればいいんだ」

「手足縛れるくらい以上あるのがいいけどあるだけでいいぞ」

「わかった」

 フードの人が持っていたと思われる袋を漁る。

 中には布や食べ物、ナイフ、お金、手紙が入っていた。

「なあロープはないな、入ってるのはお金とかナイフとか手紙だけだ」

「じゃあ布みたいなものはないか、無かったらその袋細く切ってひもの替わりになるようにしてくれ」

「布みたいのはあるからそれ持っていくぞ」

 袋の中の布に手を触れると何やら硬いところが。

 何かと思って取り出し広げてみると宝石のようなものが2つも。

「……………なあアルフ布はあったんだが」

「なんだタナカ布があるなら持って来てくれ」

「宝石のようなものがあるんだが」

「宝石か………手紙の他に何か紙入ってないか」

「いやないな」

「そうか…………じゃあタナカはジャイアントラットの解体しておいてくれ俺はこいつに話があるからな」

「わか……………いや解体した事ないしナイフもないぞ」

「ナイフはコイツの荷物のを使えばいいだろ、後ジャイアントラットの解体なんて家畜の解体より簡単だ牙抜いて皮剥いで肉を適当に切り分ければいいだけだろ」

「いややった」

「頼んだぞ」

 と言うとフードの人と話し込み始めた。

 流石に何もしないのは悪いかと思い、袋からナイフを取り出し入って来た所にあるジャイアントラットの亡骸に近付いた。

 どれも血まみれになっておりあまりそばに寄りたくなかったが、その中でも比較的に見た目がいいやつに近づき解体をはじめる。

 まず口の中に手をやり、他のより大きく鋭い牙に手を掛け引っ張るが抜けない。

 なのでナイフで切った方がいいかとナイフを手にするがこれまでの人生生きていた物に直接刃を刺すなどと言う行為は魚位しか無く、手の震えや吐き気もしてくる。

 しかし今は借金のせいでお金を稼ぐ必要があり、ためらうことも出来ないと思いなおすと少しだけ手の震えが収まるような気がしてくる。

 もう死んでいるんだ、もう死んでいるんだと言い聞かせナイフを握り直し、刃を。

「おいタナカ話し終わったぞ、解体しなくても良さそうだ」

「…………はぁ」

「おいおいそんな気合い入ってたんだジャイアントラット解体するだけじゃないか」

「なんでもないよ、でどんな話したんだ」

「いや袋の中の宝石2つと服の下に隠してある宝石1つを譲ってもらう代わりに見逃してやるよって話をだな」

「見逃すって犯罪者か何かなのかその人」

「まあそこら辺は後で説明するよ、けど食料もあんまりないしそこで死んでるのは解体するなって言っているんだが、解体してないよな」

「ああまだしてないぞ」

「わかった……………だそうだ………………………そうか。タナカ外に出るぞ帰り道で説明してやるよ」


 来た道を戻りながらアルフが話始める。

「でださっきのは、公認されてないテイマーだな」

「公認されてないテイマー?」

「ああここら辺ではテイマーやらネクロマンシーやらをギルドで認めないとそれらに関係したことができないんだ」

「関係したことって言うのはモンスターを支配下においたりすることか」

「まあそうだな、でこれらの公認されるのは簡単だが大抵は前線に送り込まれたり、街中で白い目で見られたり、犯罪なんかが起こると一番初めに疑われたりする」

「それらが嫌であのフードの人は」

「ああ多分な、でそれがバレると逮捕されて犯罪者扱いされた上でやっぱり前線送りだ、しかも懲罰部隊らしい。という訳でタナカお前も何も言うなよ」

「わかった。けどさ、それなら魔法使わなきゃいいだけじゃ」

「鈍るとかするんじゃないか。使えないからわからないが」

「まあいいかもう終わったことだし」

「後それらの生き物を支配下に置いたり、何かを呼び出したりする魔法を使えないのは、普通より少し警戒されるぐらいで武器を当たり前のように携帯してる冒険者並みでしかないしな。ギルドに登録した方がいいらしいが」

「なるほどな、手から火が出たりするよりは生き物を支配下において物を盗ませたりと色々できて危険だから仕方ないのか、って冒険者も警戒されてるのかよ。話は変わるが、アルフ今ふと思ったんだけどさ」

「なんだタナカ」

「今回、宝石が色々あって手に入れられたからよかったけどさ、もし見つけられなかったらジャイアントラット30匹位しか居なかったから結局借金に足りないよね」

「…………………えっとそれはだな」

「どうするつもりだったんだ」

「…………………………………あっ外だ疲れたなあ、だいぶ暗いし腹も減ってきたし」

「おいアルフ逃げんなよ、結局どうするつもりだったんだよ」

「おかえりなさいませアルフ様タナカ様、簡単なお食事を用意しておいたので食べてくださいね」

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