第九十一話【俺の本当の最終決戦(菫《すみれ》編)Ⅳ】
俺がベンチに座っていると、目の前を幸せそうなカップルが何組も駅へ向かって歩いてゆく。
なんだよ、リア充まみれじゃないか…という俺も、今日はリア充か…
菫…さっきの告白…くっそ破壊力ありすぎだ! まったく…
「行幸…おまたせ…」
左の方から菫の声が聞こえた。俺は顔を声の方向へと向ける。
「遅い! すげー待ったんだからな? って…えぇえええええええええええええええええええええ! す、菫? なのか?」
「うん…そうだよ?」
俺が驚いている理由。それは…
菫はコスプレではなく衣装チェンジしてきたのだ!
いつもの素っ気無いダボダボパーカーに赤渕眼鏡じゃない…
俺はあまりの変貌に目を奪われた。前のオフ会の時の格好なんか比じゃない…マジで…菫がこんな格好を?
前に見たホワイトの衣装はどっちかというと大人系だった。
しかし、今の衣装は花柄のボリュームスカートにトップスイン。
その上にはピンクのチュニックを羽織っていてすごく清楚な感じだった。
他の人がどうこう思うのは問題じゃない。そう、今の菫の服装は、純粋に俺の好みにどストライクだったのだ。
何でここまで俺の好きな衣装を!?
(※菫の二年間の情報収集の賜物です)
「に、似合うかな?」
「似合うというか…俺には勿体ない位に可愛いすぎるよ」
ぶっちゃけ本音です。マジで周囲の視線が集まるくらいに可愛い。
「あ、ありがとう…」
最後にこれ? 最後にこの格好? もったいない…
でも、最初からこれだったら俺は死んでたかもしれないし…
そんなこんなで、二人で駅まで歩き始める。
もちろん菫は俺と腕を組んで頭をすり寄せている。
言葉は交わさないが、というか、緊張して言葉が出ない。
俺達は周囲から見れば間違いなく超絶イチャイチャカップルに見えているんだろうな。
それも、彼女が超可愛いのに、何で男があれなんだよ! と思われているな、これは…
俺も秋葉でそういうカップルを見た時によく思ってるな…それ。
「行幸…」
「えっ?な、何だよ?」
「私ね…幸せだよ…」
ドキッ! い、今その言葉を言いますか!?
「あ、ありがとうございます」
思わず敬語でお礼をしてしまったぁ!
緊張したまま駅の改札前に到着。ここで菫とはお別れだ。
ちなみに、俺の住んでいるのは両国だ。電車は不便だったりするので今日は自転車で来てたりする。(分裂してたので二人で一緒に来た)
「じゃあまたな? 菫」
俺がそう言ったのに、菫は改札へ向かわない。
「菫? どうした?」
菫は改札へ向かうどころか、イキナリ俺にぎゅっと抱きついてきた!
胸がすっげー存在感をアピールしてます!
「す、菫!?」
ここは駅の中だぞ!? 人が見てる! 見てる! 見てるって!
ここでまた菫の衝撃的な一言が炸裂!
「わ………私をお持ち帰りしてください!」
うああぁあ!
壁があったら頭をガンガンしたい! 台詞に破壊力ありすぎるぅぅ! ありすぎるだろ! ああっぁぁぁぁぁ!
だ、駄目だぞ? 俺、冷静になれ…いくら菫がOKでもここで持って帰っちゃ駄目なんだ…
そうだ! 菫はまだ彼女じゃないんだ!
俺の心の中で、「いいじゃん? ここまで来たら食っちゃえよ? 本人はその気なんだぜ?」なんて言ってる奴がいる!
やめろ! 俺はそういう人間じゃない! たぶん!
「す、菫…そ、それは流石に却下だ。それに…言ってる意味わかってんのか?」
俺がそう聞くと菫は顔を真っ赤にした。
ああ、やっぱり解ってるのね…
「だ、大丈夫だよ? 今日は安全日だし…」
うがぁあぁあ!
ま、待って! 待ってくれ! 違う! 俺が聞きたかったのはそういう事じゃない!
あ・ん・ぜ・ん・び!? 交通安全日? って自分でボケてどうするんだよぉぉ!
や、やばい…理性が飛びそうだ…誰か冷水を…頭から冷水をかけてくれ!
「す、菫さん? それってここで言っちゃ駄目な事だからね? どうしてそういう事を言うのかな? いつもの菫なら絶対に言わないよね?」
ついつい子供をあやすかのように聞いてしまった。
「え…っと…だって…愛ちゃんが…そういうのって…重要だからって…」
おい! 愛とかいう友達をいますぐここに連れて来い! そして俺の前に正座させろぉぉぉ!
「え、えっと…それは確かに重要かもしれない…だけど、今はいらない情報だからな? あと、今日はお願いだから素直に帰ってくれるか?」
「で、でも……私は…」
「大丈夫だ! 俺はそんな事をしなくても菫の事が好きだから!」
「えっ? す…好き?」
……あ、あれ? 何か勢いで好きとか言ってるしぃぃぃ!
「ほ、本当なの?」
ここまで来たら引けない…っていうか…俺は…菫が…
うん…そうだよ。俺は菫が好きなんだ!
「嘘を言ってどうするんだよ」
「本当の本当に?」
「だから…本当だよ…」
「やだ…嬉しい…」
俺の目の前で菫が目頭を押さえて俯いた。そして…
「私も…私も行幸が好きだよ…大好き!」
構内に菫の告白が響いた。俺は咄嗟に周囲を見渡す。
ここは『ねずみーらんど』の帰り客で賑わう構内だ。誰かに聞かれたかもしれない…
なんて俺の予想は甘かった。聞かれているじゃない。見られた挙げ句に聞かれまくってた。
人々が俺達を取り囲んでジッと見ている。周囲の視線が痛い。
なんかずっげー蔑んだ目で見られてる…主に独身男子と独身女子から。
カップルは笑顔だけど、その笑顔も「あらあら、こんな所でやりすぎじゃない?」って笑顔に感じる。
「行幸! 私やっぱり帰りたくないよ。今日は行幸とずっと一緒にいたいよ…」
聞き耳を立てれば十分に聞こえるだろうボリュームで菫は追撃。
どうしてこういう状況なのに菫は動揺せずに言うかな?
これって普通の男子ならかなり美味しい展開だと思うよ? でも、今日の目的は違うよな!?
それに…あとちょっとで俺は…そ、そうだよ! って、ここじゃまずい!移動だっ!
俺は菫の手を引いて大移動を開始した。と言いつつ駅からちょっと外に出ただけだが。
「菫、さっきの話だけど、駄目だからな? 今日は本当に帰った方がいいから」
「何で? デートをしたら、本当なら一緒に朝を迎えるんでしょ?」
「だから、その情報は間違ってるからな? 素直に信じるなよ…本当に自分の体を大事にしてくれよ!」
菫は初心? 無知? 常識しらず? お嬢様? そうだよ…全部だよ…
こんなに恐ろしい程の台詞を吐けるのは…お嬢様で、無知で、常識しらずで、初心で、恋愛経験もないアニメオタクなコスプレイヤーだからなんだ。
「行幸だから頑張って言ってるのに…」
「頑張ってくれて嬉しい。俺だから言ってくれるって言って貰えて嬉しい。でも駄目だっ! 今日は駄目なんだよ! 解ってくれよ」
俺が強めの口調で言うと、菫はビクッとして体を竦めた。
「わ、わかったわよ…行幸がそう言うなら…今日は帰るから…」
菫は相当不満そうだったが、やっと家に帰ると言ってくれた。
俺は改札まで一緒に行く。
「じゃあ…行幸…またね…」
「ああ、気をつけて帰れよ?」
菫は意気消沈した寂しそうな顔で何度もこちらを振り向いていた。が…そのままトイレに消えた。
トイレかよ…
俺は自転車だし、駐輪場へ行くか。
しかし、変な事を吹き込みまくりやがって…その愛っていう奴は!
今度あったらとっちめてやるからな!
☆★☆★☆★☆★
その頃の愛ちゃん。
「今頃は何をしてるのかなぁ…えへへへ…」
「もしかしてセクロスしてたりぃ? きゃぁぁあ! もうっ! エヘヘヘ…私の男を落とす必勝テクニックを伝授したしね!」
「菫もこれでやっとロストバージンなのかな? うわぁぁ!」
「もうもうもう! 愛ちゃんの恋愛テクニック伝授は完璧だねっ! キラッ!」
「…………」
「私も早く彼氏つくらなきゃ…」(がくり)
クシャミすらしていなかった。
☆★☆★☆★☆★
トイレを出た菫は改札を見るが行幸の姿はもうなかった。
肩を落し大きな溜息をつきながらホームへ上がる階段に向かう菫。
そして、階段を一段上がったその時だった。
「君、可愛いね! ねぇ今日は一人なの? ねぇねぇ、これからどっか行かない?」
いきなりナンパされた。
「えっ?」
「マジで可愛いじゃん! ねぇねぇ一人なんだよね? じゃあどっか行こうぜ!」
「おいおい、何ナンパして…って可愛いじゃん!」
「だろ?」
男が二人に増えた。
菫は焦りながら改札の方を見る。やっぱり行幸の姿はない。
「お前ら何よぉ? かわいい子を見つけちゃったん?」
「見つけたぞ? ほら、この子だ」
男が三人に増えた。
「可愛い…」
「わ、私、忙しいので…」
そう言って菫が階段を上がろうとした時、男の一人が菫の手を掴んだ。
「いいじゃん? 逃げ無くってもさ?」
菫の右手首に見知らぬ男の手の感触が伝わる。
そして、その瞬間、菫の腕に鳥肌がバーっと現れて広がる。背筋はゾッと寒気が走る。
「は、離してよ!」
手を振り払おうとする菫。しかし、なかなか手を振り払えない。
☆★☆★☆★☆★
いや…今日の菫ってマジですげー可愛いかったな。
可愛い予想はしてたけど、あんなに可愛いとは思ってもなかった。っていうかさ…俺にはマジで勿体ないくらいだよなぁ…
不思議だよな? 幸桜もだけど、何でこんな俺がいいんだ?
俺が女だったら、絶対に俺なんかを好きにならないんだけどな。
シャルテも何でこんな俺なんかを好きに…って…そうだ、シャルテだよ…
あいつも何で俺なんか好きになっちまったんだろうな?
天使の癖しやがって俺なんか好きになりやがって…
俺の為に記憶を無くしやがって……
ふぅ…まぁ…シャルテは今の方がよかったのかもな…
俺を融合させた時のあの冷たい対応。あれは完璧に忘れてたな…
でも仕方ないよな。これでよかったんだ…
そうだ…あの時にシャルテがすっげー体調を悪そうになってたよな?
あの後、大丈夫だったのか?
そうだ、また合体する時にリリアか天使長に聞いてみるか…
っと…鍵は…自転車の鍵ってどこに入れたっけ?
あ、あれ?
ポケットの中も? 財布の中も? 探してみたけど見つからないのよ~って! まてーーー!
あれ!? 無い…無い!? あれ? な、なんで?
時計を見ると時間はもう夜八時近い。
やばい! 俺は元が女の方なんだよ…あ
ともうちょっとで女に戻るじゃないか!?
リリアの魔法の効果時間リミットを忘れてたぜ…
しかし、鍵はどこいったんだ? 無いと帰れないから探さなきゃ駄目だけど…でも、なんか女には戻りそうだし…
ど、どうする?
でもやっぱり鍵がなきゃどうしようもないだろ!?
くそ! 駅か? 菫に切符を買ってやった時か? あああああ! 戻るか!
☆★☆★☆★☆★
俺が駅に入ると何か騒々しい。同時に僅かにだが菫の声が聞こえた。
俺は思わずその方向を見る。するとそこには男数人に絡まれている菫の姿が。
「菫!?」
あいつ、何で男に絡まれてるんだよ!
俺は無意識に改札へと突き進んでいた。そしてスイカを取り出して改札を通ろうとする。
ピポーンピポーンっとけたたましく鳴り響く改札不法侵入のアラーム。
タッチ失敗? スイカがエラー吐きやがった!
「くそったれぇぇぇ!」
俺はそれを無視して男に絡まれている菫の元へ向かった。(おいおい)
その瞬間だった。俺の体にいきなり異変が…体に痛みが走る。
やばい…これって女に戻る前兆?
俺は慌てて男子トイレに駆け込んだ。
一刻を争うのは解っている。だけど、まさか人前で女になれない。
すると、個室に飛び込むと同時に俺は女の体に戻った。危機一髪だった。
そして、同時にドンドンと個室を叩く駅員。
やばい…さっきのアラームで来たのか?
(不法侵入をしたのだから駅員が追ってきて当たり前です)
くそ!こんな時に!色々と面倒だな!
でも、あれ? 今の俺って男じゃないし、女だし、さっきと別人だよな?
俺は上着を脱いでトイレのタンクの上に置いた。
そして、ぶかぶかになったズボンの裾を折りたたみ腕を捲くる。
俺は小さく深呼吸をして個室から飛び出した。
上着がないとちょっと寒いが仕方ない!
俺(女)が個室から出ると、周囲には焦る男性客。
そりゃ俺は女だしここは男子トイレだしな。
そして駅員も驚いている。しかし、今の俺にはそんなの関係ねぇ!
「さ、さっき男性が私の個室から隣に移りました!」
ごめん、隣で唸ってた人。
俺はトイレを飛び出して階段を見るがもう菫がいない。
急いで階段の上り口まで行く。
いたっ! 上に引っ張られてる! くそったれがぁぁ!
周囲を見るが、誰も助けようなんてしていない。
まったく、世の中の男共は女が困ってるのに見て見ぬふりか?
相手が三人だからって、無視するのか?
菫が嫌がってるのが見えないのか?
せめて駅員にくらい伝えようとか思わないのか?
あーーー! くそったれ! やってやるよ! 俺が!
「そ、その女から手を離せぇぇぇ!」
俺は勢いよく一人の男に体当たりした。が、女の俺は非力だった。
ぜんぜん、まったくもって倒れやしない。 ダメージ0?
「なんだこの女!?」
体当たりをかました男が俺を睨んだ。俺は睨み返す。
しかし、俺ってこんなに度胸があったっけ? まぁいいか…
って!? へっ?
「おい、てめぇ! 何してんだよ!」
俺の体が宙に浮く。
しまった! 襟首を掴まれた!?
その瞬間だった。俺の服のボタンが勢いよくはじけ飛んだ。
そして…バリバリと音をたてて服の前が開く。
俺の豊満な胸が「ぷるるん」と露わになった…
「う? うわぁぁぁあああああ!」
俺は大声で叫びながら胸を隠す。
あっ、えっと、キャーは流石に無理だから、うわぁぁぁです。
流石の男達も、まさかノーブラでぽろりされるなんて思ってもいなかったのだろう。焦る焦る。
いや、俺も狙ってた訳じゃないけど…
俺が胸を隠して騒いでいると流石に男達はその場から逃げ出していった。
でも、何だろう? いきなり俺の体から力が抜ける感じがする…
あ、あれ? 何だこれは? ふぁぁぁ…力が…
俺はへたへたと力なく階段に座り込んでしまった。
そこへ菫が駆け寄ってきた。
「み、行幸? 行幸だよね?」
「あ…ああ…女にもどっちゃったけどな…」
そこへ駅員がやって来た。改札で警報が鳴ったのは男だ。だから俺を捕まえる為に来たんじゃない。
さっきも言ったが、今の俺は女。おまけに痴漢されて胸が丸見えになった被害者だ。
「み、行幸! 力をぬいちゃ駄目だって! 胸が出てるよ! 隠して!」
「あっ! し、しまった!」
やばい…すっげー気が抜けてた! これが腰が抜けたってやつなのか?
抜けてないけど、すっげー脱力感だ。おまけに俺、震えてるし…
「何してるのよ…もうぅ…」
菫は自分の上着を俺にかけてくれた。
しかし…かなりの奴に俺の胸が見られたな。
おい、そこの固まってるサラリーマンさん。見ただろ?
もしかして、今日のおかずは俺の胸ですか?(おい)
☆★☆★☆★☆★
俺達は駅務室に連れてこられた。
俺はなんとか誤解を解くと服を直した。
結局、駅務室から出たのは午後十時近かった。
「行幸…ごめんね」
「いや、仕方ないって…でもよかったよ。菫が変な奴らに連れていかれなくってさ…」
「それって…もしかして、私を心配してくれたの?」
「ば、馬鹿、当たり前だろ!」
「行幸…」
菫は俺を唐突にぎゅっと抱くと「本当にありがとう…」と耳元で囁いた。
「い、いいから! 離せって! 女同士だぞ!?」
「私は別にいいけど?」
「俺がよくない!」
菫は楽しそうに笑った。
「さて…そろそろ俺は家にもどら…戻れないじゃないか! そうだ! 鍵だよ! 自転車の鍵をなくしたんだ!」
「えっ?」
俺は慌てて改札前に戻る。改札の前には鍵らしきものは落ちていなかった。
今度は駅員に聞いてみたが見つからなかった。
「ねずみーらんどの中で無くなったのか? それじゃぁ今日は探すのは無理だな…」
俺は落胆してしまった。すると、俺の肩に何かが触れる。顔を上げると、菫が俺の肩を抱いていた。
「ねぇ、私と一緒に帰ろうよ」
「へっ!?」
「私ね? やっぱり行幸にお持ち帰りされようなかーって思って」
「ま、また馬鹿な事を!」
俺が怒ったのに、菫は声を出して笑った。
「今の行幸は女の子だよ? だったらエッチな事は出来ないんだよ?」
言われてみればそうだ。と言うと思ったら大間違いだ!
お前もオタクなら知ってるだろ? BLともう一つのジャンルがある事を! そうだ! GLだ! ガールズラブだ! 女同士だ! 百合カップルだ!
シャルテの事例もあるし、女同士だからって安心は出来ないんだぞ?
俺、ちょっと気持ちいいの知ってるし…じゃない!そうじゃない!
「いやいや、駄目だ。それでも駄目だ!」
「何で?」
「い、いや…女同士でも………い、いや、あれだよ! やっぱり別行動がいいと思うんだ!」
顔が熱い。ちょっと赤くなってるのか?
なんて思ってたら、菫の顔まで真っ赤!? って? えっ? まさか!
「ば、馬鹿! 私はそういう趣味はないからね!」
やっぱり知ってるのですね!
「誰もお前にそういう趣味があるって言ってないだろ?」
「で、でも、そういう事を考えた訳でしょ? 女同士で絡むとか…」
「考えたというか、そういう事があったら困るなって言っただけだ! 俺は別にお前と百合カップルになるなんて言った訳じゃない!」
「み、行幸のエッチ!」
どうしてそうなる…
そして…
俺はタクシー代を菫に貸してもらってアパートに戻った。
ちなみに、菫も俺のアパートまでは一緒にタクシーで戻った。
しかし、そのまま家へと戻って行った。というか戻させた。
でも、菫さ、なんで財布に二十万も入ってたんだ?
続く