↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてこうなるんだ!  作者: みずきなな
【どうしてこうなるんだ!】
93/120

第八十六話【俺の本当の最終決戦(幸桜《こはる》編)Ⅱ】

 あ…あっ!や、やばっ!

 何を俺は言ってるんだよ?好きとか!? いや、事実だ、事実だけど、今がそれを言うタイミングか?


「行幸《みゆき》…今…なんて?」


 ここで『冗談だよ』とか言ったら幸桜《こはる》とは終了フラグが立ちそうだよな…

 …って馬鹿か!?

 こんな涙目で『本当に?』って顔されて、そんな事を言えるはずないだろ!? 

 すげー俺は馬鹿だ! 深く考えないですぐに言葉にする。

 女の子を傷つけまいとして、優しい言葉や期待してるだろうなっていう言葉を投げかける。

 でも、これって自己防衛なんだよ。

 現実には俺が傷つきたくない。嫌われたくないだけなんだ。

 今までこれで何度失敗してると思うんだ?

 考えなきゃわかんねーのか? 

 こういう状況に追い込まれないと理解できないのか?


「ねぇ…それって本当?本当なの?」


 どうするんだよ俺?

 このまま黙って流すのか? そうしたらそれでも終了フラグが立つぞ?

 …俺はどうなんだ? 今いった事はどうなんだ?


「俺は…」

「……うん」


 自分の気持ちに正直になれ!

 ………好きなんだろ?


「お前が好きだって言ったんだよ!」


 幸桜《こはる》の瞳からツーッと頬を涙が流れ落ちた。


「…本当に本当に?」

「だから…嘘を言ってどうするんだよ…」

「それって妹としてじゃなくって…私を一人の女性として好きって事で…いいの?」

「………そ、そうだよ…女性としてだよ」


 幸桜《こはる》はそう言うと両手で顔を覆うと震えながら俯いた。


「…嬉しい……私…行幸《みゆき》に一回も好きだって言われた事が無かったから…だからすごく嬉しい…」


 幸桜《こはる》の足元にポタポタと雫が垂れている。

 俺が何か声をかけようかとした時。幸桜《こはる》が勢い良く抱き付いて来た。


「私も!私も好き!行幸《みゆき》が大好きっ!大好きだから!」


 周囲に聞こえる程の大きな声で俺が大好きコールをした幸桜《こはる》は、その勢いに任せてキスをしてきた!

 俺は動揺していたのと、イキナリのキスに避ける事すら出来ず、そのまま幸桜《こはる》の唇を受け入れてしまった。

 すると、後ろから『パチパチ』と拍手が聞こえるじゃないか。

 拍手だと!?えっ?


 ゆっくりと後ろを振り返る。すると…

 はい、後ろに人がいましたっ!それもカップルです!それも笑顔で拍手してます!


 俺は恥ずかしさのあまり、慌てて幸桜《こはる》を引き離した。


「やだっ!やだっ!もっとするぅぅ!」


 だだをこねてキスをおねだりする幸桜《こはる》。

 いや、可愛いよ?可愛いけど今はそれ所じゃない!

 見られてるんだって!


「あ、後でな?」


 後ろのカップルをちらりと見た。

 すると、顔を見合わせるとお互いに頷く。そして、その場を後にしようとしているじゃないか!

 なんという気遣いの出来るカップルなんだ。

 なんて感心してる場合じゃないだろ!


「ま、待って下さい!もう俺達は行くので大丈夫です!」


 何がどう大丈夫なのかは不明だが。


「えぇーーーー」


 幸桜《こはる》は不満そうな声をあげた。


「あ、いえ、彼女さんがまだこちらに居たい様子ですし…」


 カップルの女性の方が優しくそう言ってくれた。

 しかし、いつ後ろからまたカップルか来るか解らない。

 こんな場所にずっといても超絶はずかしいだけじゃないか!


「だ、大丈夫ですから!」


 俺は不満そうな幸桜《こはる》の手を引いてそこを後にした。

 ちなみに、気遣いカップルとのすれ違いざまに、二人に『お幸せに』っと言われてしまった。

 もう、思わず恥ずかしくって顔が熱くなる。


 それにしても気がつかなかった。いつからあそこに人が?

 っていうか、ここはおもいっきりデートスポットだ。

 それもあそこはカップルが来る場所。

 普通に考えても人が来ない訳がない! 馬鹿か俺は!?


 俺は顔がすっげー熱いまま、また別のカップルとすれ違う。

 やばいやばい…俺達が二人きりになれたのは運が良かったんだな。


「後で…また…してね?」

「は、はぁ?」

「さっき言ってたじゃん…キス…」


 真っ赤でとっても恥ずかしそうな中にも幸せそうな幸桜《こはる》。

 はい、言いました! さっき、勢いで言うのがダメだとか考えてたのに、また勢いで言いました…


「あ…わ、わかった…」


 俺はそれしか言えなかった。



 ☆★☆★☆★☆★



 俺達はとても静かな港町の浜辺をイメージした場所にやってきた。

 ここにはあまり人気はなく、本当に穴場的な場所だ。

 幸桜《こはる》は「こっち来て」っと俺の腕を引っ張ってゆく。

 そして、丁度二人が腰掛られるベンチを見つけると、そこに座った。


「ねぇ…行幸《みゆき》、知ってた?」

「何をだよ?」

「私ね? 行幸《みゆき》に告白してからちょっと変えた事があるんだ…」

「変えた事? って何だよ?」

「うん。何だと思う?」


 俺は考えた。変えた事?

 俺を好きになったとか? 積極的になったとか? 服装を変えたとか?

 って!待て待て!変わった事が多すぎて、答えがわかんねー!

 とりあえず何かを言ってみるか。


「洋服とか?」

「ブブー!」

「違うのか?」

「変えたけど、そんなんじゃない」


 いや、変えたのは何かなんだから、正解じゃないのか?

 しかし、洋服じゃないとすると? 感情が変わったなんて当たり前だし…

 そうか! やっぱり明るくなったって事か!

 …って…昔はこのくらい明るかった記憶があるな…


「わかんないの?」


 全然まったく解らない。怒られるかもしれないけど…


「すまん…降参」


 でも、幸桜《こはる》はそんな回答にも怒る事は無かった。ニコリと微笑むと、答えはね…と続ける。


「私が行幸《みゆき》に告白してから…実はお兄ちゃんって呼んでないんだよ?」

「えっ? そうだったっけ?」

「うん…あれからはずっと行幸《みゆき》って呼んでるんだ」


 あれ? そうだったっけ?

 でも、そう言われて見ればそうかもしれない!

 確かに、最近はお兄ちゃんってまったく呼ばれなくなった。前はほとんどがお兄ちゃんだったのに。


「何でだよ?」

「だって…あたり前でしょ?」


 幸桜《こはる》の顔が赤くなったぞ?


「だって…行幸《みゆき》は…もうお兄ちゃんじゃないもん…私の大好きな、大好きな、一人の男性なんだもん…」


 うごぉおおおおぉぉおおおおおお!

 破壊力抜群の台詞すぎ!

 幸桜《こはる》! お前はいったいどのギャルゲーのヒロインだ! っていう位に強烈すぎる…

 やばい…幸桜《こはる》にこんな能力があったとは…(能力って何ですか?)


「行幸《みゆき》、顔が真っ赤」

「えっ?」

「もしかして…照れてるの?」

「ば、馬鹿か!誰がっ!」


 ごめんなさい!照れました!

 っていうか、ごめん、俺は今になって幸桜《こはる》を他の男に取られなくってよかったなんて思ってるよ。

 って! 待て! 待て!

 まだ幸桜《こはる》を選んだ訳じゃないんだぞ!?

 でも、これはあれなのか? 俺はやっぱり幸桜《こはる》に惹かれてるって事なのか?


「照れてる行幸《みゆき》も可愛いね!」


 まるで小悪魔ジャマイカ。

 この小悪魔めっ!なんだその笑顔は!


「お、お兄ちゃんをからかうのもいい加減にしなさい!」


『ガン』っといきなり頭をバッグで殴られた。


「いてぇぇぇ!何すんだよ!」

「お兄ちゃんじゃないでしょ!」


 とても不服そうな顔で俺を見る幸桜《こはる》。

 やっぱり「兄妹」を想像させる単語は聞きたくないらしい。


「ごめん…」

「次にまた言ったら…おしおきだからね?」

「はいはい…」

「ハイは一回でいいです!」

「ハイ!」

「よろしい!」


 年下の幸桜《こはる》に言い負かされてるな…俺…


「どうしよう…」

「んっ?どうしたんだよ?」

「幸せなんだもん…」


 幸桜《こはる》はそう言うと俺の肩にトンと頭を寄せて来た。


「お、おい?幸桜《こはる》?」

「幸せなんだもん!」


 可愛すぎて、俺は幸桜《こはる》の肩を抱いてしまった…


 そしてしばらく俺達は港を見ていた。

 何故だろう? 幸桜《こはる》と一緒だからなのか、寒さを感じなかった。

 しばらく経ってから、幸桜《こはる》の小さな声で「ねぇ」と聞こえた。

 俺が幸桜《こはる》に目をやると、幸桜《こはる》が俺を見詰めている。


「私ね…ついこの前までは行幸《みゆき》とデートが出来るなんて思ってもなかったんだ。ずっと、ずっと夢には見ていたけど、それが叶う日がくるなんて…思ってもなかったんだ」

「俺も…まさかこういう展開になるとは思ってなかったよ」

「行幸《みゆき》は私の事なんて相手にもしてくれないんだって思ってたんだ」

「事実、そうだったかもしれない」

「だよね…」

「だな…」

「でも…でも…こうやって……」


 幸桜《こはる》は右手で瞳に溢れそうな涙を拭う。


「やだ…今日の私ってすぐ泣いちゃうよ。…おっかしいなぁ…何してんだろ…もう本当にやだなぁ…」


 本当に今日は幸桜《こはる》はよく泣く。

 でも、こんなに喜んでくれると俺も一緒にいて嬉しくなる。そして、幸桜《こはる》の愛情をすごく感じる。

 俺を本気で好きなんだって…


「大丈夫だって。昔のお前は泣き虫だっただろ?」

「もうっ!それって私が小学校とかでしょ?今と一緒にしないでよ…」


 そう言いながら、幸桜《こはる》は子犬のように体を寄せてきた。


「幸桜《こはる》?」

「………」


 たまに目の前を通るカップルが笑みを浮かべながら過ぎていった。

 たまに目の前を通る男のグループは睨みつけてきやがった。

 たまに目の前を通り女性のカップルが羨ましそうに見ていった。


 実感。

 俺達は本気でリア充実シネ状態なカップルなんだ。


 しかし、まさか俺がこんなゲームみたいな恋愛をするなんてなぁ…

 妹なのに血が繋がってなくって、実は昔から思われててって、現実的じゃなさすぎるだろ?

 でも、それが現実なんだよな…

 そして…やっぱり幸桜《こはる》は可愛い…

 ずっと俺は幸桜《こはる》を見てれば…でも俺は駄目な奴だ。

 こんな時にふと他の女性のことを思い出す。

 幸桜《こはる》が好きだとと思うと、じゃあ菫《すみれ》はどうなんだて思ってしまう。

 おまけにシャルテやリリアの顔まで浮かんでくる始末だ。


 あいつらはどうなってるんだろう?

 菫《すみれ》とのデートはうまくいってるのかな?

 俺は圧倒的に幸桜《こはる》にやられてるんだけど、あっちはどういう感じになってるんだ?

 って!気にしたら駄目なのにきになる!

 やっぱり俺って駄目人間だ。

 もしかして、俺って幸桜《こはる》も菫《すみれ》も両方とも手に入れたいのか?

 いや、シャルテやリリアも…

 って何だこのハーレムエンド願望は!

 これじゃ駄目男すぎだろ? おまけにデート中なのに…

 落ち着こう…落ち着け落ち着け…


 目線を落とすと、そこには幸せそうな幸桜《こはる》の姿がある。


 そうだよ…今は幸桜《こはる》とデート中なんだぞ。

 今は幸桜《こはる》の事を考えないと…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。