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どうしてこうなるんだ!  作者: みずきなな
【どうしてこうなるんだ!】
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第七十三話【俺のするべき事は決まった!しかし何故?】

幸桜こはるだけではなく、シャルテとまで口づけを交わしてしまった行幸みゆき。そして、罪悪感の無さは何だ?幸桜こはるがこの状況を見たらどれほど激怒するか!なんて事は一切考えていない二人のやりとりは続くのだった。

 口付けを交わしているシャルテの瞳から一筋の涙が流れた。

 それからしばらくして、シャルテはゆっくりと行幸みゆきの顔を抑えていた手を離した。そして、そのまま唇も離す。


「くそっ!理由は言わないけど涙が出たじゃないか!何で僕が行幸みゆきなんかとキスしなきゃいけないんだ!」


「理由を言えよ。俺とキスするのがそんなに嫌だったのか?」


 行幸みゆきがそう言うと、シャルテは涙を拭いながら顔を赤くして俯く。


「ぼ、僕のファーストキスを奪った罪は重大だからな!」


「マテ!嫌だったのかって聞いたのに何でそんな事をカミングアウトするんだ!ってちょっと待て!おまえ、ファーストキスだったのか?」


「な、何だよ!天使はキスの経験が無いとダメなんて法律ないだろ!」


「確かにない」


「…これでフェロモン効果は切れたはずだ。よな?」


 なんだかなぁ…会話がちぐはぐにだろ?


「よな?って…本当に大丈夫なのか?」


「んー…むむ…むー」


 シャルテの顔がまた赤くなる。


「シャルテ?」


「ふ、不安なら…も、もう一回ならしてやってもいいぞ…」


 もじもじと体を動かしつつ、そしてチラチラと俺を見る。

 ここまでくるとほとんど漫画の世界だな…お前、ちょっとツンデレすぎるだろ…


「あ、いや、いい。お前のキスはレアなんだろ?三回もしたらレアじゃなくなるじゃないか」


「そ、そうだよな?レアだしな…」


「キスで効果が切れるなら、きっと一回目のキスで効果が切れてるはずだろ」


「そ、そうなのか?」


「お前がキスでフェロモン効果が切れるっていったんだろ!」


「そ、そうだけど…心配じゃないのか?」


「心配じゃないと言ったら嘘になる。せっかくフェロモン効果が切れるって言うのなら、やっぱり切りたいからな…」


「だ、だろ?だから嫌だけど…念のために…もう一回やっとく?」


 シャルテの表情はキスをせがむ彼女っぽさが垣間見えた…

 こいつ、言ってる事と表情が一致してないぞ!


「いや、いいって!レアなんだろ?もし、効果が出てなかったらにしよう」


 流石にこれ以上こいつとキスをすると、俺がこいつに感情移入しそうで怖いからな…


「そ、そっか…ま、まぁ…僕もしたかった訳じゃないから…ほ、本当だからな!」


 なんて返事をしつつも、顔はちょっと不満そうなシャルテ。

 そしてシャルテは右手で自分の胸をぐっと押さえた。すこし苦しそうな表情を見せる。


 その瞬間だった!『ピコーン!』っと今までとは違う何かフラグの立った音が聞こえた。

 な、何だこの音は?まさか…


 シャルテを見るとハッとした表情になっている。

 もしかしたら、シャルテも音に気が付いた?聞こえたのか?


 その音が鳴ったせいなのか、シャルテは先ほどまでの赤い顔から一転して、青い顔になった。

 そして慌てふためいた感じに行幸みゆきに向かって言う。


「ぼ、僕はそろそろ天界に戻るから!」


 シャルテは行幸みゆきに背中を見せると、急いで離れていこうとする。


「天界に戻る?まだお前に話しがあるんだ。待てって!」


 さっきの青ざめた表情のシャルテを見ていると、永遠にシャルテに逢えなくなるんじゃないか。

 行幸みゆきはそういう不安に襲われた。だから、思わず手を伸ばしてシャルテの左手をぐっと掴む。

 手を捕まれた瞬間、シャルテの足が止まった。


「待てって!まだいいだろ?あと少しくらい時間あるだろ?」


 振り返るシャルテ。無言で唇を噛みながら行幸みゆきを見る。

 先ほどまでのツンデレが嘘のように大人しく、そして悲しい顔だ。


 絶対に何かがあるんだ!そう思った行幸みゆきは笑顔をつくり、シャルテに向かって言った。


「ほら、こっちに来いよ。もう少しだけ話を聞かせろよ…な、いいだろ?」


 ぐっと手を引っ張る行幸みゆき。するとシャルテはその掴んだ行幸みゆきの左手に自分の右手を重ねた。


「何だよ?いくらシャルテでも、両手で捕まれたら俺も恥ずかしいだろ?」


 そんな事をわざとらしく言って見る。

 しかし、シャルテは『ぶんっ』っと行幸みゆきの手を振り切った。そして行幸みゆきの方を向いたまま後退を始める。


「おいおい!待てって!」


 行幸みゆきは慌ててシャルテを追っかけようとした。しかし、まるで金縛りにあったかのように体が動かない。


「!?!!」


 そして、声までもが出せなくなった。

 すると、先ほどまで無言だったシャルテの口は開いた。


「…ごめん。行幸みゆきには束縛魔法がかかったんだ。僕とキスをすると束縛魔法がかかるようにしておいたんだ。リリア姉ぇに頼んで」


 おい待て!束縛魔法だと!?どういう事だ!


「何でそんなに驚いてるんだ?僕は天使だぞ?普通じゃない事が起こっても当たり前じゃないか」


 確かにそうだけど、なんで俺に束縛魔法を?


行幸みゆき…ありがとうな。僕は行幸みゆきと出会えてよかったよ。出会いは最悪だったけど…最後は最高だった」


 そう言って涙目でくすくすと笑うシャルテ。


「……!」(最後!?どういう意味だ)


 何も言葉を返せない行幸みゆき


行幸みゆき…絶対に幸せになれよ?僕がここまでしてやったんだぞ?だから…幸せになれよ…なれ!絶対だぞ!約束だかんな!」


「…!」(待てよ!なんだその言い草は!)と言い返したかったが、やはり言葉が出ない。


「…もう待てないんだ…ごめん」


 行幸みゆきは驚いた。シャルテからまるで言葉が通じているような返事が返ってきたからだ。


 えっ?何で俺の考えが通じてるんだ?俺の心が読めるのか?

 するとニコリとシャルテが微笑んだ。


 そ、そうか!天使?思念か!

 ニコリと再び微笑んだシャルテ。


「さぁ、行幸みゆき、次のステージに行こう!」


 その言葉と同時にシャルテの真上から光が差す。

 それはシャルテを包み込み、そしてシャルテの体も光を放ち始めた。

 シャルテは両手を広げると天を仰ぎ、そして目を閉じた。

 体を包み込むように優しい光がシャルテを包み込む。

 細かい光の粒子がシャルテの周囲を螺旋を描くかのようにくるくると廻る。


 行幸みゆきはその美しさに思わず見とれてしまった。


 シャルテがゆっくりと目を開いた。瞳がゆっくりと青色へと変化する。それは本当に透き通った青。今にも呑み込まれてしまいそうな美しい瞳。

 そして肩まであった黒髪も変化を始める。徐々にエメラルドグリーンへと変化をしてゆく。


 何が起こってるんだ?シャルテの姿が変ってゆくなんて…

 行幸みゆきは訳もわからずにシャルテを見つめるしか出来なかった。


 光に包まれたシャルテの頭上には黄金色こがねいろに輝く輪が現れた。

 そして、輪の周囲には黄金色の光の粒子が舞う。まるで宙を舞う蛍のようにとても綺麗だ。

 知らない間にシャルテの服も白いドレスへと変化していた。


 見とれている行幸みゆきの脳裏に、天使だったときのあの可愛いらしシャルテの声が響く。


行幸みゆき、ちゃんと恋愛しろよ?そして男に戻れよ?僕のファーストキスをを奪った唯一の男なんだからな?レアなんだからな?』


 そう思念を送ってきたシャルテの表情は、笑顔だったがどこから寂しげな笑顔だった。


『じゃあ!バイバイ…』


 シャ、シャルテ!


 行幸みゆきは懸命に思念を送ったが返事はなかった。


 シャルテの背中に大きな美しい真っ白な羽根がぶわっと広がる。そして、その翼を広げそのまま天へと向かって昇ってゆく。

 一切こちらを振り返る事もなくシャルテの姿は空中で消失した。

 しばらくして、光は先ほどまでの事が嘘だったように消えた。そして、周囲には静けさが戻る。


「シャルテ!」


 あれ?声が出る?

 しかし、いくら声が出るようになっても、もうシャルテは居ない。


 何だよ『バイバイ』って!まさかもう二度と逢えないとか言わないよな?

 まさかな…あいつは恋愛を司る天使だろ?俺の恋愛対象者の担当のはずだよな?


 行幸みゆきは空を見上げた。しかし、やはりシャルテの姿はそこには無い。


「ふぅ…」と溜息が漏れた。そして、行幸みゆきの脳裏には先ほど聞こえた音が思い出される。


 そうだ、あの音は…あの音は何だったんだろう?

 シャルテが消える前に聞こえたあの音だ。まるで俺の残機が一機増えたようなあの音だよ。

 いや、実際には増えないぞ?ものの例えだぞ?増えたら怖いだろ。行幸みゆき×2とか…

 まぁ、そんな冗談はさておき、本当にあの音は何だったんだ?今までに聞いた音とはぜんぜん違った。それに、シャルテにも聞こえていたみたいだし。

 まさか、シャルテが俺の恋愛対象者になったとか?

 …いや…恋愛対象者になった音とは微妙に違った気がする。でも、暴走とはまったく違う音だったよな。

 そうだ、シャルテは一回は暴走してるんだ。だから暴走するなんてありえないのか…

 うーん…


 悩んでいる行幸みゆきの肩をぽんぽんと誰か叩く。

 慌てて行幸みゆきが振り向いた。するとそこには長身の美しい女性が立っている。


 行幸みゆきはその女性の全身を見る。

 女性は何故かメイド服を着ており、透き通る青い瞳に銀色のロングヘア。おっきな胸が存在感抜群だ。

 とても見覚えがあるぞ?特にこの胸!っていうか何でここに居るんだよ!


「リリア!」


「こんばんは、行幸みゆきさん」


 深々と頭を下げるメイド姿の女性。そう、それは人間の姿のリリアだった。


 続く

シャルテが去りました。そしてまたリリアが登場しました!

という事で…ヒロイン考察その2です!リリア!

えっ?リリアはヒロインなのか?その質問はするどいですね…

この小説のヒロインはすみれ幸桜こはる、シャルテです。ええ、シャルテも一応はヒロインです。

リリアは?リリアは準ヒロインな位置だったり…

という事で、リリアです!

リリアは天使です。(そのまんまじゃないか)

そして、シャルテに比べてですが、心の奥は結構ダークだったりします。

天然なふりをして行幸みゆきが困るような言動を平気で言ったりします。

シャルテと違って演技派なので、行幸みゆきは本気で天然だと思っているかも?

リリアの最近のお気に入りは、行幸みゆきの脳内情報からえっちい事を引き出す。

そう、縛る、弄る、その他もろもろ…

え、いや?あの…リリアってけっこうエッチですよ?天使だけど…

いや、真面目ですよ?うん…でも真面目だからエッチじゃないってないでしょ?

そんなこんなで次回はすみれ幸桜こはるですね。

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