第七十二話【俺はどうすればいいんだろう?Ⅱ】
目の前で顔を真っ赤にするシャルテがマジ可愛いっ!
と言う事で続きです。
シャルテは真っ赤な顔であわふたし始めた。そんなシャルテを見ていると、妙に冷静になれる行幸。
通常モードに突入!
「ば、馬鹿!勘違いするな!僕は人間としての行幸が好きなだけだぞ!」
「お前、俺が嫌いなんじゃなかったっけ?」
「…て、天使は人間を嫌いになっちゃ駄目なんだ!」
「いや、俺を魔法世界で殺したし…嫌いって言ってたじゃないか」
「だ、あからあれは愛情の裏返しで…」
「いや、それってヤンデレだから…その愛情は危ないから」
「だ、だから!結論を言うぞ?僕は天使として人間の行幸が特別な感情ではなく好きな訳で…訳だ!」
懸命に否定する姿が妙に可愛い。
「そうか…だからフェロモンの影響を受けて暴走したのか…という事は…やっぱいシャルテは俺「そ、そうだ!フェロモンを解かないと!僕も忙しいから急がなきゃなっ」
行幸の話に被せてきたシャルテ。ここまでくるとわざとらしすぎる。
通常モードの行幸から見た今のシャルテはぶっちゃけ単なるツンデレだ。
そして、そんなシャルテを見ていると答えは一つしか考えられない。確信はないが。
「シャルテ、お前…本当に俺の事が好きになったのか?」
確信が無いのなら聞けばいいじゃないか。っと行幸がストレートにシャルテに聞いた。今度は割り込みなんて出来ないくらいに速攻で聞いた。そう、これがいつもの行幸だ。
シャルテは過去最高に真っ赤になる。耳まで真っ赤である。
「えっ?な、な、何を言ってるんだ?あは…あはは…」
「だから…シャルテは俺を恋愛対象として好きなのかって事を聞いているんだ」
「ば、ば、馬鹿か!な、な、何で、ぼ、僕が!」
天使であるシャルテは基本的には嘘は言えない。たとえここで嘘を言っても後で知らせることになる。自分が知らせなくともリリア姉ぇが行幸に教える羽目になる。
まるで茹蛸のように真っ赤になったシャルテは再び唇をぐっと噛んだ。先ほどの傷がズキッと痛む。
しかし、そんな痛みでもこの緊張は取り払えない。
シャルテは真っ赤な顔であさっての方を見ながら話しを始めた。
「み、行幸は勘違いしてる。ぼ、僕は…ネ、ネカマをやるような奴は…」
「奴は?」
「ネカマをやるようなや…奴は…」
シャルテの頭から湯気が出そうな程に顔が赤い。ここまで赤いなんて…すごすぎだろ。
「リピートはいらないから」
なんだこの行幸!?っていうか、そうだよ。これが行幸なんだっ!
うわーーん!どうしよう…どうしよう…どうしよう…
「き…嫌い!(じゃない…)」
「いま、嫌いって言った後に続けた言葉が聞こえなかった」
「み、行幸?知ってるか?」
「何だよ?」
「き、気にしたら負けって言葉」
「いや、ここはハッキリしておくべきだと思う。シャルテだって、俺に結論を出せって言ったんだぞ?中途半端はよくないだろ?嫌いなら嫌いって言えばいいだけだろ?」
まぁ、もうここまで来てわからないなんて事はない。
シャルテは俺が好きだな。確信した。でもいつから?何で?何があった?うーん…理由だけがわからない…
「き、きら…きらきら!嫌いじゃない!馬鹿っ!」
もはやグテグテなシャルテ。
ダメだ!嫌いって言えない!だって好きなんだよ!うわーーーー!
でも告白なんて出来るか!出来ないんだよ!だって僕は行幸を忘れるんだ…ううう…
シャルテはまた泣き始めてしまった。今回は混乱して涙が出たのだが。
「お、おい、何でまた泣くんだよ?」
そして、シャルテは覚悟を決めた。告白する覚悟を!っというのはない。
答えなくても良い方法は、強引にでもフェロモンを解いて行幸を忘れるしかない!
僕は…フェロモンを消すっ!っと覚悟を決めたのだ。
「おい、今からフェロモンを消すからな!」
シャルテは涙目でそう言うと行幸の頭を両手でガッチリ固定した。
さっきは両肩だったが、顔を背けられるとキスが出来ない。だからこそ顔を固定したのだ。
行幸は焦った表情でシャルテを見る。そして両手でシャルテの両腕を持って外そうとしたがしっかりと頭を掴まれておりはずれない。
そ、そうか俺って力弱かったんだ!っていうか、シャルテにも負けるのか!?
「な、何をする気だよ!フェロモンを消すって?えっ!?」
「こういう相場っていうのはキスに決まってるだろ!」
キスという単語を聞いて顔を赤くする行幸。
いや、そうかなとはさっきから思ってたけど?まさか本当にそうとは!?
「な、何の相場だ!どうしてキスになる!誰が決めたんだよ!」
「行幸の好きなゲームとか漫画の相場だ!あと、決めたのは天使長様だっ!」
「ち、違う方法は?キス以外の方法はないのか?」
「無い!」
「言い切るのか!」
「無いんだから言い切るしか無いだろ!」
「って、待て!そうだ!俺のさっきの質問にまだ答えてないだろ!俺が好きなのかっていう」
「煩い!もうそれは時効!」
「時効までの時間が短すぎる!」
「ええい!黙って僕にキスされろ!天使のキスとかどんだけレアだと思ってるんだ!」
「待てっ!レアとかそういう問題じゃなっ……んっ!ん…」
シャルテの唇が行幸の唇と重なりあった。
思いっきり強引に奪われるかと思っていたキス。いや、強引に奪われました…しかし、唇が触れた瞬間。その予想を裏切りとても優しいキスに変わった。
幸桜のそれとはまた違った柔らかい感触が行幸の唇へ伝わる。
とても暖かい…そして優しい感触…そして、ほんの少し震えるシャルテの唇…
ほんの十数秒の口づけ…でも二人にはとても長く感じる時間。
行幸はシャルテを女性として意識はまったくしていなかった。だが、キスをして始めて女性だと意識をしてしまった。
幸桜とキスをした時と同じくらいに心臓は強く鼓動する。そして、側に寄ったシャルテからは女の子特有の優しい匂いを感じた。
そうだよ…シャルテも女だった…
行幸は両手でシャルテを抱きしめたくなる。そういう衝動に駆られる。しかし、我慢した。何故?わからない。でも我慢した。
「……んっ…はぁはぁ…」
シャルテは唇をゆっくりと離すと興奮しているのか息が出来なかったせいなのか、息を切らしている。
「窒息するかと思った!」
どうやら後者の方だ…というか息くらいしろよ…
「俺のせいじゃないだろ」
「み、行幸のせいだ!僕がフェロモンを消す為にキスをする羽目になったのは行幸が原因なんだからな」
そう言いながらも頬を桜色に染めて照れた表情で行幸を見るシャルテ。その表情はまさに恋する乙女。
こんなシャルテを見ていれば、好きか嫌いかなんて聞かなくても解る。さっきも確信したが、更に確信出来た。うん、こいつは俺の事が好きだ。
でも、どうしてシャルテが俺を好きになったのかは本当にわかんねぇし。
たまにゲームでも、どうして好感度が上がったのかが不明なケースはある。
Aというヒロインを落とそうと頑張っていたのに、Bというヒロインルートに入ってたり…
そう、途中のルート選択を間違ったのか、または俺の対応が間違っていたのかだ。
今回がゲームじゃないので原因を追及できない。しかし…どうして?
シャルテの顔は今だに赤い。
「おい、ちゃんとフェロモン消えたのかよ!」
そしてこの言い方。
「何で俺が知ってるんだよ!」
でもあれだな…シャルテはこんなにも俺に一生懸命なんだ。
俺はシャルテの為にもちゃんと恋愛をしなきゃダメなんだ。
菫や幸桜の為にも答えを出さないといけないんだな…
シャルテと言い合いをしながら行幸は決意した。
「な、何だよ…行幸がそんな事を言うと不安になるじゃないか…」
そう言うと本当に不安そうな顔をするシャルテ。
「いや、それはおかしいだろ…俺がわかるはずないのに…」
確かに、さっきのキスでフェロモン効果が消えたという証拠はない。でも、確認する方法はないと思うんだが…
シャルテは行幸の頭を持ったまま目を瞑り、考え始めた。
「ええと…この手、いいかげん離さないか?」
しかし、シャルテは離さない。離す気配すらない。
目を閉じているシャルテは何故だか、また顔を赤くした。
なんて見とれていると、シャルテは目を開き、そして唇を尖らせながら言う。
「こ、今回は特別なんだからな?フェロモンを解くのに仕方なくなんだからな?」
いや、その言い回しはどういう意味だ?何でまた言う?
「ええと?この場合は俺はどう答えるべきなんだ?」
なんて素直に言ってしまった。
「し、仕方ないな…も、もう一回だけキス…し、してやるよ!」
「おいマテ!」
「だって…不安なんだよ…消えてないと嫌だろ?だから…」
まったくどこまでツンデレなんだ…こいつは。というか、二回もキスをする必要があるのか?
そうだ、リリアを呼べば?確認すればいいじゃないのか?
「おい、シャルテ」
「な、何だよ」
「リリアを呼んで確認すればいいんじゃないのか?」
シャルテはいきなり不満そうな顔になった。表情が呼ぶんじゃないと訴えているように見える。
「い、いいんだよ!僕らだけで解決するんだ!いちいちリリア姉ぇを呼ばなくってもいいんだよ!」
「でも、俺とキスをまたするんだぞ?いやじゃないのかよ」
そう言うとまたまたまた茹蛸のように真っ赤になるシャルテ。
「い、嫌に…嫌にっ!」
「嫌?」
「馬鹿!行幸の馬鹿!大嫌いだったのに!どうしてくれるんだよ!んっ…」
一方的に怒鳴りちらすと、シャルテは行幸の唇を自分の唇で塞いだ。
「んっー!んー!」(もうなんだこのツンデレ!)
シャルテのツンデレに呆れて素直に唇を受け入れてたしまった行幸。これがツンデレの魔力か?
そして、シャルテはというと…複雑な想いで口づけを交わしていた。
想いを表に出すのはだめな事。行幸を好きな事は決してばれちゃダメな事。
でも…キスをしているとどうしてなんだろう?僕は行幸に大好きだって言いたくなる…
ダメだ…僕は…そんな事を言う権利はないんだ。
唇を合わせたシャルテは先ほどまでのツンツンした表情からとても落ち着いた表情へと変化する。
シャルテの心は何か温かいものに包まれていた。
ああ…何だろうこの感覚は…これが好きな人にキスをするっていう事なのかな?
フェロモンの影響を受けてないのに…何故こんな気分になるんだろう?これが恋をしているって事なのかな?
いつの間に僕はこんなにも行幸に心を侵食されていたんだろう。
大嫌いだったはずなのに…いつのまに大好きに変換されていたのだろう。
こんな自分が嫌になる。何で僕が人間に片思いなんかを?
でも…仕方無い。だって好きになってしまったんだし。そう、別に後悔なんてしてない。
あーあ…どうせなら男に戻った行幸とキスしたかったな…って何を考えてるんだよ!
でも…どうせ僕は行幸の事を忘れてしまうんだ…男でも女でも関係ないか…そう、忘れて…しまうんだから…
続く
ツンデレシャルテが可愛すぎて死にそうな作者です。
私はシャルテも菫も幸桜も大好きです。
いや、リリアも好きですよ?行幸は…あれですが…
全員を幸せにしてあげたいのですが…ああっ!
色々と葛藤中です。そして続きをお待ちください。
【大募集】
ご意見。ご感想など!本当に一言でも嬉しいです!
是非今後の参考にもしたいので下さい!作者の我が侭でした。