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どうしてこうなるんだ!  作者: みずきなな
【どうしてこうなるんだ!】
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第四十五話【俺の予想のしなかった展開Ⅲ】

三人の男共に抵抗する行幸みゆき。しかし、そんな行幸みゆきの努力もむなしく好きにされてしまう。このまま行幸みゆきはヤラレルのか!

 秋葉原駅の構内で男三人に抱き付かれている行幸みゆき

 傍から見ればかなり怪しいシチュエーション。

 行幸みゆきに絡んでいる三人の男達は、いくら行幸みゆきが文句を言っても笑顔で、それも平気な顔をして行幸みゆきに触れたりしている。

 人前なのに乳まで揉んでいる始末だ。

 ここまで躊躇を無くす事が出来るとは、フェロモン効果恐るべしである。

 

「放せよっ! あっ! また俺の胸を触りやがったな!」

 

 嫌がるも、その場から脱出がなかなか出来ない行幸みゆき

 体が自分の意志とは関係なく震えているのに気が付く。

 

 く、くそっ! 男だったらこんな奴らになんて力負けしねーのに!

 

 しかし、どんなに力を振り絞っても引き離す事が出来ない。

 

 やばい、このままじゃマジで『ヤラレル』

 

 行幸みゆきは周囲に助けを求めるような視線を送った。

 しかし、横目でちらちらと行幸みゆきを見ながら、人々は関わらないように往来している。

 

 誰か、誰か助けてくれよ……

 

 しかし、それを声に出せない行幸みゆき

 こんな場面でも声を出す事に躊躇する。

 助けを求める事が恥ずかしい。いや、単に行幸みゆきがヘタレなのである。恥ずかしいなんて思っている事が単なる自分勝手な言い訳だ。

 結局はなすがまま、顔を真っ赤にして震える行幸みゆき

 

 何だよこれ……こんなのってありかよ?

 何で俺がこんな目にあわないといけないんだよ……

 これも罰だっていうのか? だからリリアは俺を見捨てて消えたのか?

 そうじゃなかったら助けてくれよ……リリア、シャルテ、誰もいいから助けてくれよぉ。

 

 行幸みゆきは目を閉じて唇をかみ締めた。


A「そろそろ移動しよう!」

B「そうだな!」

C「俺の家と言う名の休憩施設へレッツゴーだ!」


 ダメだ……もう終わりだ……俺、女になっちゃう……


 半場諦めていたその時だった。聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「わ、私の行幸みゆきから手を離せぇぇ!」

 

 突然響いた女性の声にハッと目を見開く行幸みゆき

すると、目の前で仁王立ちする幸桜こはるの姿があった。

 

「こ、幸桜こはる!」

 

 よく見れば幸桜こはるは肩で息をしている。きっとここまで走って来たのだろうか?

 そしてすごい形相で三人を睨んでいる。

 

 ABC「「「お前は誰だ!」」」

 

 幸桜こはると対峙する三人。そして見事にハモったな。

 

「よくも行幸みゆきを酷い目に遭わせたわね……」

 

 A「何の事かな?」

 B「酷い? 俺達は別に酷い事なんてしてないよ」

 C「俺達の邪魔をするとただじゃすまねーぞ!」

 

 幸桜こはる有無を言わさず三人を突き飛ばした。

 

 A「うっ」

 B「うわっ」

 C「ごふっ」

 

 見事な三連コンボが炸裂。そして三人を行幸みゆきから引き離す事に成功した。

 しかし、幸桜こはるの力では三人を倒す事は出来ない。

 三人は不敵な笑みを浮かべると、再び行幸みゆきへと近寄る。

 

 ABC「「「邪魔をしないでくれる?」」」

 

 ここでも見事にハモる三人。ここにきて無意味に息が合ってきているのか?

 

「じゃ、邪魔って何よ! 行幸みゆきはあんたらの物じゃないんだから!」

 

 幸桜こはるは震える声で三人に文句を言った。

 

 こ、幸桜こはる……

 

 自分と三人の間に両手を広げて立ち、そして自分を庇ってくれている幸桜こはる

 そんな幸桜こはるを見ていた行幸みゆきは自分が恥ずかしくなった。

 

 何で俺は妹に助けてもらってるんだよ? なんで回りに助けを求めなかったんだよ? マジで情けない……

 

 A「だいたい、お前は誰だよ」

 B「俺達はミユキさんに用事があるんだよ」

 C「馬鹿野郎! 行幸みゆきはさっき俺のものになったんだよ!」

 

「わ、私は行幸みゆきの妹よ! 私のお兄ちゃんに触らないでよ!」

 

 何気にお兄ちゃんと言ってしまった幸桜こはる。いや、正しいよ? 正しいけど……っと、早速三人が反応した。

 

 A「妹さんなの?」

 B「えっ? お兄ちゃん?」

 C「お兄ちゃんって何だ? ミユキは、俺のミユキは女だ! 俺の女だ!」

 

 思わず口を右手で塞ぐ幸桜こはる。そして行幸みゆきの方を振り返る。

 

「大丈夫だ、俺はお前のお兄ちゃんだろ?」

 

 行幸みゆきは笑顔でそう答えると、今度は幸桜こはるの前へと出た。

 

「おいお前ら! 真面目にお前ら迷惑なんだよ! これ以上俺につきまとうなら警察を呼ぶぞ!」

 

 行幸みゆきが啖呵をきると同時に、ちょっと太い男性の声が後ろから聞こえた。

 

「君達はここで何をしてるのかな? ちょっと話しを聞かせてもらおうか?」

 

 行幸みゆき幸桜こはるが振り返ると、そこには警察官の姿が。

 

 本気でおまわりさんがキタ。流石に見るに見かねた通行人が通報してくれたのか?

 

 暴走三人組みも警察官には敵わずそのまま任意同行という名の元で連れてゆかれた。

 警察官は若い男性が助けて欲しいと通報してきたと言っていた。

 そして、先程までそこにいたのだが、気がついたらもういなかったと言っていた。

 若い男性って誰だ? お礼くらい言いたかったな。本気で危なかったし……

 

 幸桜こはる行幸みゆきは軽い事情徴収の後で解放された。

 

幸桜こはるありがとう。助かったよ」

 

 お礼を言いながら幸桜こはるを見ると、緊張から解放されて落ち着いたからか、瞳が涙で潤んでいた。

 

幸桜こはる? 大丈夫か?」

 

 しかし、返事は返って来ない。それ所かすごい形相で睨まれた。

 

「えっ? えっと? どうしたんだ?」

 

 幸桜こはるは見る見る不満そうな表情に変化する。

 

 どうしたんだこいつ? えっと…何でそんな顔になる?

 

 行幸みゆきには幸桜こはるが不満そうになる原因がまったくわかっていなかった。

 幸桜こはるは無言のまま行幸みゆきの左手を取る。

 

「何だ?」

 

 そして手を引っ張り早足で移動を始めた。

 

「お、おい? どうしたんだよ?」

 

 幸桜こはるは駅の構内を出ると人気の少ない裏手の路地へと移動した。

 そして人気が無い場所に来ると行幸みゆきを壁際に立たせる。

 

幸桜こはる? もしかして怒ってるのか?」

 

 行幸みゆきはストレートに聞いた。すると再び睨まれる。


 これは確実に怒っている?


 行幸みゆきは何故怒っているのかを考える。しかし、残念ながらその原因が多すぎて特定できない。

 

幸桜こはる、あのさ、怒ってるよな?」

「怒ってるよ……」

「どうしてだ? 俺が男に絡まれてたからか?」

「……」

 

 返事が無い。無言で睨む幸桜こはる。どうやら答えは違うらしい。

 

「どうしてだよ? 言ってみろよ」

 

 しかし、幸桜こはるは何も言わない。

 そして嫌な空気が流れる。おまけに時間も流れる。

 幸桜こはるが口を開いたのはそれから数分後だった。

 

行幸みゆき……なんで連絡くれなかったのよ」

 

 その言葉を聞いて行幸みゆきはハッとする。思いだした。

 原因はそれかっ! 確かに電話するって約束した気がする。

 

「あっ、そっか! 電話するって約束してたっけ? ごめん! 色々あって出来なかったんだ」

「……嘘だ」

「嘘じゃないって! 本当に色々あったんだよ!」

「絶対嘘だ……」

「本当に嘘じゃないって!」

「じゃあ、私の事なんて忘れてたんだ……」

 

 幸桜こはるの瞳からは涙がぼろぼろと溢れ出す。

 

「ば、馬鹿! お前の事を忘れるなんてあるはずないだろ!」

「でも、連絡くれなかった…ずっと電話が出来ないなんてないでしょ…」

「うっ…えっと…ごめん」

 

 確かに正直わすれていた。言い訳も出来ない。

 

「お兄ちゃんの馬鹿……私、心配したんだから…なかなか戻って来ないから探したんだから…」

「本当にごめん」

「お兄ちゃんっ!」

 

 幸桜こはるは泣きながら行幸みゆきに抱きついた。

 

「へっ!?」

 

 ぐっと正面から抱きつかれると自分の胸に幸桜こはるの胸が当たる。

 ふにゅっと柔らかい感触。男では味わう事の出来ない異様な感覚。

 今までに感じた事の無い柔らかいもの同士の感触になんともいえない気持ちになる行幸みゆき

 そしてこんな状況なのに変な妄想が始まった。

 

 そういえば、俺は自分の胸もまだ揉んでない。

 折角女になったのに俺はこの体を堪能していない。

 前は幸桜こはるに邪魔をされて例のものを目視もしていない。

 やっぱり男に戻る前にせっかくだし、女を堪能しておきたいよな。

 待てよ? でもどうなんだ? 自分の体だぞ? 自分の体を堪能するってちょっと変態っぽくないか?

 いや、容姿は俺じゃないんだ。要するには、別人の体を俺が操っているようなものなんだ!

 ここはきっちり堪能させて貰おうじゃないか!

 

「本当に……ほんとに心配したんだから…」

 

 本気で心配してくれていた幸桜こはるの言葉に我に返る行幸みゆき

 

 俺は何を考えてるんだ? 幸桜こはるがこんなに心配してくれているのに堪能だと?

 堪能するなんて後でいいじゃないか……っと結局は堪能はするらしい。

 そうだよ、幸桜こはるにちゃんと誤らないと。

 

「本当にごめん」

「もういいよ……行幸みゆきが無事ならいいよ……」

 

 じわっと肩に滲む液体。そう、幸桜こはるの涙。

 行幸みゆき幸桜こはるをぎゅっと抱きしめ返してあげた。

 そして気が付く。幸桜こはるの体が震えている。

 

 そうか、そうだよな……こいつ、きっと怖かったんだろうな。

 だいたいこいつはそんなに勇気がある奴じゃない。それなのに……

 本当にありがとな、幸桜こはる

 

幸桜こはる、本当にありがとう。そしてごめん」

「お兄ちゃん……」


 ゆっくりと顔をあげる幸桜こはる。少し前に出ればキスが出来そうな距離に二人の顔は接近する。もはや傍からみればカップルである。百合だが。


「あ、あれだ……こんなに良い妹を持って、俺って幸せだよ……」

 

 その一言に幸桜こはるは頬を頬を染めて照れた。

 

「何だ? 照れてるのか?」

「だ、だって……そんな事を行幸みゆきに言われた事ないし…」

「そりゃ、あまり口に出して言える事じゃないだろ? 俺だって恥ずかしいし」

「でも嬉しい……」

「んっ?」

「お兄ちゃんにそういう風に想っていてもらえたって……嬉しいよ…」

 

 幸桜こはるは潤んだ瞳で行幸みゆきを見つめた。

 行幸みゆきも笑顔で幸桜こはるを見つめてしまう。

 

「よし、体が冷えただろ? 俺が暖かい飲み物をおごってやるよ」

「うん、でも本当はずっとこのままで……(いたい」

「んっ? 何か言ったか?」

「ううん、行こうか? でもあれだよ? 飲み物だけじゃ済まないからね?」


 小悪魔的に怒りながら笑う幸桜こはる。その表情に行幸みゆきはドキッとしてしまう。


 そうだ、こいつは俺が好きなんだった……これってヤバイのか?


 しかし、行幸みゆきの心配を余所に、行幸みゆきから幸桜こはるの方から離れた。


 やっぱ、暴走してフェロモンも効果なくなってるし、あの記憶もないんだ。

 俺が注意すれば大丈夫だな。


「ちょっと待って! 俺もあまり持ち合わせが無いんだよ」

「駄目っ! ほらいくよ!」

「ちょ、ちょっと待って!」


 すっと自然と手を伸ばす幸桜こはる。その手を意識もせずに普通に持つ行幸みゆき。 

 そして、そのまま二人は仲良く手を繋ぎ喫茶店へ向かった。

 

 マジで幸桜こはるには感謝だよ。

 

 笑顔の妹を見て、助けてくれた事に感謝し、そして愛おしいと思う行幸みゆきだった。

 しかし、今回のイベントが重大なフラグを立てる要因になった事をまだ行幸みゆきは知らなかった。

 

 続く

オフ会って名前では無くってキャラの名前で呼んでしまいますよね?

傍からみるとすごく怪しいのでしょうね。

秋葉原であれば大丈夫なのかな?

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