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どうしてこうなるんだ!  作者: みずきなな
【どうしてこうなるんだ!】
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第四十二話【俺の知らない場所で菫が立ち直ってたし②】

愛はいろいろと自動暴走です。すみれは愛と一緒だと元気になれるみたい?

 すみれが全てを話し終えた時、愛は顔を顰めてすみれをじっと見ていた。

 

すみれ、まさか薬とかやってないよね?」

 

 目を細めてじっとすみれを見る愛。すみれはびくっと体を震わす。

 

「や、やってる訳ないでしょ! って言うか、何よ? やっぱり信じてくれないんだ!」

 

 そして、顔を真っ赤にして怒りながら反論する。

 

「冗談、冗談だって! 信じてるよ」

 

 そんなすみれを愛はなだめた。

 

「本当に?」

「本当だよ。でも不思議ね? 要するに、すみれが想っていた事が勝手に行動に表れた訳でしょ? 体が勝手に動いたんでしょ?」

「まぁ…そういう感じかなぁ」

「そして何? 思考も暴走っぽい感じだったんだよね? まるで酔ってるような感覚なのかな?」

「私はお酒飲まないし、酔ってる感覚はよくわかんないけど、でもそうなのかも。考えてみれば行幸みゆきが妹と付き合うとかありえないよね? 何で私ったら疑ったのかな? おかしいよね?」

「確かにオカシイね。そんなゲームでしか無いようなシチュエーションを信じるとかさ」


 すみれは小さくため息をついた。


「あと、私が行幸みゆきに告白するとかおかしいよね……」

「うーん、でもまぁそれはよかったんじゃない?」

「やだよ! あんな状態で告白とか……もう最低だよ…」

「まぁしちゃったものは仕方ないよね?」

「うぅーん……」

 

 すみれは今度は深くって大きな溜息をついた。


「ほらほら、ため息ばっかついてると幸せ逃げるわよ?」

「……私が逃げたんだけどね」


 誰がネガティブ方向でうまく返せと言った!?

 

「そ、そうだね。すみれは結局その場から逃げ出しちゃった訳だよね?」

「うん…」

「返事も聞いて無い訳だ?」

「うん…」

「どうせなら聞けば良かったのに」

「簡単に言わないでよ! あの時の私は本気で狂ってんだよ? 聞けるはず無いでしょ! 聞けるはずないよ…」

 

 またしても沈むすみれを見て、愛はちょっとだけ笑顔を見せた。

 

「でもさ、最後に彼に言われた言葉は大収穫じゃないのかな?」

 

 すみれは『えっ?』と言う顔で愛を見る。

 

「ほら、そんな顔しないの。ええと? 『俺みたいなオタクな男に彼女なんて出来るはずないって思ってた』だっけ?」

「そんな感じだったと思うけど……それがなんで大収穫なの?」

「あれ? その言葉ですみれは何も思わなかったの?」

「どういう意味?」

「まったく、すみれも鈍感だなぁ」

「ど、鈍感って!?」

「だって鈍感じゃないのよ」

「私は鈍感なんかじゃないよ!」

「じゃあ天然なの?」

「うぐぐ……」

 

 半起こり、半泣き状態のすみれに向かって、満面に笑みで愛は言い放った。

 

「その台詞から察するに、あなたらってまさに両思いじゃない」

「えっ!?」

「ほらね? だから鈍感って言ったのよ」

「えっ!? どういう事? どうしてそうなるの?」

 

 すみれの顔が一気に真っ赤になった。

 

「考えてみなよ。何でそういう事を彼が言ったのか」

「ええと…何でだろ?」

「『出来るはずないって思ってた』って言ってるって事は、あからさまに『出来る可能性ができた』って思ってたんじゃない? だから、すみれがちゃんと告白すればすみれを彼女にできるって思ってたんだと思うよ?」

「えっ? 嘘だ」

「まぁ、でもあれよね。ちゃんと返事もらった訳じゃないし、すみれは逃げ出しちゃった訳だよね?」

「う、うん…」

「ええと…そうだ! 今からでも電話してみれば? で、きちんと逢って話すればいいじゃん?」

 

 すみれはまた真っ赤になる。

 

「で、出来るはずないでしょ! 恥ずかしいよ」

 

 愛は周囲を見渡して小さく溜息をつく。

 

「それ以上の事をやっちゃった訳でしょ!? 今さら何が恥ずかしいのよ」

「だって……」

「あとさ……」

 

 愛はちょっと顔を赤らめて周囲を再度見渡す。

 

「女装喫茶で恋愛話をしている私たちも、けっこう恥ずかしいと思うんだけど?」

 

 すみれはハッとして周囲を見渡す。

 すると、とってもマッチョなウェイトレスが笑顔でこっちを見てた。

 

「ご、ごめん、私が落ち込んでたからこんな所に……」

「いいよ、いいよ。私もいい人生経験になったわ」

「そして、目覚めるの?」

「えっ?」

「愛ちゃんって、こういうのも好きそうなんだもん」

「なっ!? 無いわよ! 私は百合の気はあっても、女装男子は好きじゃなっ……い?」

 

 話しの途中ですみれが表情がとても特殊なものを見る目に変わっていた。

 

「あ、愛ちゃんって……百合だったんだ……」

 

 しまったっ! 私はなんて事を!?

 

「だ、だからっ! リアルで百合じゃなくって、そういう系のライトノベルとか漫画とか好きなだけだから!」

「そ、そういう事にしておくね?」

「ちょ、ちょっとーーー」

「わ、私は行幸みゆきが好きなのでごめんなさい!」

「な、なんで私が振られてるのよ!?」

 

 あんな、こんな、そんなで二十分が経過した。

 

「あはは!」

 

 すみれにいつの間にか笑顔が戻っていた。

 笑顔が戻ったすみれを見て、愛は安どの表情で口を開いた。

 

「とりあえず、すみれも少し元気になったみたいだしよかった」

「あ、うん…ありがとう。すこし元気になれた」

「よかった。あれだよ? さっきの話なんだけどさ、今日は嫌ならまた明日にでも電話すればいいじゃない? 明後日でもいいしさ」

「うん、わかった。でもその前にバイトでも逢うんだよね。でも……本音で逢うのがすっごく恥ずかしいなぁ」

「何よ? まったくもう。両思いの癖に!」

「ちょ、ちょっと! まだそうじゃないって! からかわないでよ!」

「だってフラグ立ってるし! 成立前提じゃないのこれ?」

「まだわかんないじゃん!」


 真っ赤な顔のすみれに愛の笑いがちょっと消えた。

 私だって早くフラグ立てたいよ……たくさ。

 ちょっと羨ましいなんて思っていた愛です。


「愛ちゃん?」 

「あ、えっ? ううん、立ててないよ?」

「……へっ? 何の事?」


 まさか恋愛フラグが羨ましくって、自分に立ってないのが悔しいだなんて言えない。焦る愛。


「み、操を?」

「えっ!?」

「わ、私も今の彼氏(脳内妄想)にだけ愛の操を立てようって誓ったの!」

「そっか、うん、愛ちゃんは彼氏いるもんね。だからこんなに恋愛相談が上手なんだよね」


 そういう設定なだけですっ!

 心の涙を流す愛。


「で、でもさ、結果オーライじゃん。これでやっとすみれにも彼女が出来る訳だしね!」

「待って! ちょっと言葉が違う! 行幸みゆきは男だよ! 彼女じゃないよ、彼氏だよっ!」

「あっ! ごめんごめん」

「でも、本当にうまくいくのかな?」

「まだ不安なの? でも、ここまで来てたらうまくいくんじゃない? そうだ! あと、これで両思いなら彼氏は男に戻れるんでしょ?」

「えっ?」

 

 すみれの顔が再び青く変化する。

 

「えっ? まさか違うの!?」

「そ、そうだ……私と付き合ったら行幸みゆきは男に戻れないかも!?」

 

 そう、すみれは自分が恋愛対象の二人目だとは知る余地も無い。

 だから、恋愛対象者を振らないと男に戻れないと今だに思っていたのだ。

 

行幸みゆきは恋愛対象の人と振らないと戻れないの。だから、私とカップルになっても男に戻れないの!」

「ナニソレ!? そうなの?」

 

 そんな真剣に話しをする二人に迫る影。

 その影は不気味に、そしてゆっくりと二人に近寄る。

 そして、躊躇なくにゅっと頬骨の浮かびあがった笑顔を二人の間に割り込ませた。

 

「お時間になりましたが、延長されますか?」

「「ひぃ!」」

 

 すみれと愛は慌てて顔を引いた。気持ちも思い切り引いた。むっちゃ動揺した。変な意味でドキドキした。

 

「え、延長する?」

 

 首を横に振るすみれ。それも懸命に振っている。それを見た愛は即決した。

 

「出ます!」

 

 愛がそう言いきると、ハスキーボイスのウェイトレスは笑顔で去った。

 レジに向かう愛。なけなしの金を払う。そして二人は店を出た。

 

 外はすっかり暗くなっていた。それでも秋葉原の街は明るい。

 周囲はビル群のネオンの明かりに照らされている。

 そのままゆっくりと駅へと向かう二人。

 その途中で愛はすみれに向かって言った。

 

「今日さ、うちに来ない?」

 

 愛はニコリと笑顔を浮かべる。

 

「えっ? 愛ちゃんの家?」

 

 すみれは驚いた表情で愛を見返す。

 愛が自分の家へ誘ってくれた事なんて一度も無かったからだ。

 そんな愛が私を誘ってくれている。

 

「そうだよ? 私のマイホーーームへ!」

「でも、ほら、悪いし」

「ほらっ、こういう時はさ、なんていうか……いっぱい話したほうが元気も出るじゃん?」

 

 笑顔にも恥ずかしさが見える愛。そんな愛を見て、すみれも笑顔を見せた。

 

「うんっ。じゃあお邪魔…しようかな」

 

 と! その時だった! 愛の持つ紙袋がビリビリと音を立てて裂けた。その中からパソコンゲームが道路へと転がる。

 

「あっ、何か落ちたよ?」

 

 すみれがそれに手を伸ばした所で、それより素早く愛の手が伸びた。

 

「だ、ダイジョウブ! 私が拾うから!」

 

 慌ててゲームを拾い上げる愛。

 しかしすみれはしっかりと見ていたのだ。そのゲームのタイトルを。

 引き攣らせたすみれの表情を見て愛も表情を引き攣らせた。

 

「え、えっと……まさか見た?」

 

 愛はソフトを無理矢理バックへと押し込み終えると苦笑いする。そしてすみれも苦笑いし返す。

 

「や、やっぱり私はマンションに戻ろうかなぁ……」

「ま、待って! 大丈夫! 私は変な事はしないしっ!」

「いや、そういう問題じゃなくって……お邪魔かなぁって……」

「じゃ、邪魔じゃないよ!」

「でもぉ……」


 チラチラとすみれがバッグを見詰めた。


「うう……ごめんなさい……私はこういうのが好きなんだよぉ」

 

 そのパソコンゲームのタイトルは『メイド姿の弟に奉公させてあげる《限定版》』と『弟が女の子になりました』だった。

 

「ええと? 愛ちゃんってさぁ……もしかして女装男子って好きなのかな?」

「……きょ、興味ある」

「そっか……」

「ダイジョウブ! 私は女の子も好きだからっ!」

 

 まさにこれは余計な一言だった。

 すみれは再び引いている。

 

「だ、大丈夫だって! 私は何もしないからっほんと……」

 

 おどおどする愛を見ていたすみれはぷっと吹き出した。

 

「冗談だよ、冗談」

「えっ!?」

「愛ちゃんがどんな趣味だって別に気にしてないよ? 私だって変わった趣味を持ってるし、行幸みゆきだって……えっと、店員割引でそういう変なゲームをたまに買ってるしね」

 

 愛はそこで首を横に振った。

 

「まって! これはエロゲーじゃないのよ! R15なのっ! それに、これはあくまでもシチュエーションを楽しむ為のゲーム! 世の中の男子の性処理に利用するようなゲームと一緒にしないでっ!」

 

 これを大声で言いいました。はい、注目の的です。

 

「あ、愛ちゃんっ!」

 

 愛は周囲を見渡すと、ゆでだこのように顔が真っ赤になる。

 そしてがつっとすみれの手を持つと走りだした。

 

「ご、ごめんっ、熱くなっちゃった」

「いいけどっ! 右手は痛いんだった……」

「あっ、ごめんっ!」

 

 そして二人は愛のアパートへと向かった。

 

 続く

 

 

 その後の愛の心の声をお聞きください。

 

「だって! あの喫茶店で女装男子に興味があるって言うとさ…… いいわよ! 別にいいわよ! 私はマニアックすぎるわよ! ええ、どうせ私はマニアよ! 百合もBLも女装男子もOKよ! 私だって男装するもの! …………うう、三次元彼氏が欲しいよぉ」

 

 以上です。

愛です…私は貧乳だけど形はいいと思います。

いえ、貧乳に見えるだけです!身長が高いからバランスが悪いだけです!

だって…Bだもん!(ギリギリ)

成長はこれ以上は無理だけどね…

ああっ…おっぱい星人の彼氏が出来たら私はどうなるんだろう…

そ、そうか!愛に胸の大きさとか身長は関係ないわよね!

と…まずはその彼氏を捜す作業を頑張らないと…

作者です。愛ちゃんに彼氏は出来ません。

あっ、そうそう、質問なんですが。愛ちゃんは経験終わってます?もしかしてまだって事はないd……ごふっ

この後、作者を見た者はいない。

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