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どうしてこうなるんだ!  作者: みずきなな
【どうしてこうなるんだ!】
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第三十四話【俺の決戦の日~正しい選択枝とは?③】

フロワードから告白を受けた行幸みゆき。ちょっと焦ったが何だか反応が普通?なんて事で進む二人の愛のドラマ(では無いけど)。カップル成立なるか(だから目的が違う)愛と幸桜こはるも出るよ?

 フロワードからのイキナリの告白に戸惑う行幸みゆき

 深呼吸をしても胸の鼓動はドキドキと強く体に響き渡る。

 フロワードに会う前から告白されるだろうという予想はしていた。

 しかし、こうも突然に告白をされてしまうとは……。

 それも想定外のタイミング。

 

 行幸みゆきは懸命に返事を考える。

 だが、うまい返事が浮かんでこない。いや、どう答えるとうまく事が運ぶのかが解らない。

 まさかここでいきなりうまく振るなんて出来るはずもない。


 どうすればいいんだよ……


 本気で行幸みゆきは困惑した。

 

「ミユキ?」

 

 そんな困惑した表情の行幸みゆきを見て気まずそうなフロワード。

 

「あ…えっと……」

 

 早くうまい返事を……なんて思う程にどんどんと考えが纏まらなくなる行幸みゆき

 頭がいますぐに破裂しそうな位に混乱している。そして顔がめっちゃ熱い。


 くそ……結局あれかよ? いくら大量の恋愛系ゲームをこなしていても無駄なのかよ。

 そうだよな、リアルと現実は違うんだよな。わかってるけどさ。


 行幸みゆきは現実という世界を痛感した。

 

「ちょ、ちょっと待ってね」

 

 しかし返事をしなければならないのは事実だ。

 頭を悩ます。本気で考える。

 もし選択が無い恋愛ゲームが発売されたら俺には絶対解けないな。

 

 あまりにも困っている行幸みゆきを見てフロワードが唇を噛んだ。

 そして「ふぅ」と溜息をつく。

 

「フロワード?」

 

 フロワードは小さく顔を左右に振った。 


「ごめん……」


 突然謝るフロワード。行幸みゆきは何度も瞬きをしてフロワードを見る。


「な、なんだ?」

「本当にごめん……」

 

 そして、フロワードは頭を下げた。

 

「え? な、何で謝るんだよ?」

「困らせちゃったよな? いきなり告白するとかさ、俺ってどうしちゃったんだろうな……」

「え、えっと……」

 

 フロワードが冷静になってる?

 まさか、まだ俺のフェロモンの影響を完全には受けきっていないのか?

 じゃあさっきの告白は素面で言ったのか?

 いやいや、自分でも故意に言った雰囲気じゃなかったし。


 ま、まさかフェロモンに打ち勝ったのか? そうだとすると凄いんだけど?

 

「よく考えればいきなり告白とかおかしいよな?」

「ええと…まぁ…そうかも?」

 

 くそ……返事に困る。

 

「俺さ、本当は告白なんてするつもりはなかったんだ」

「う、うん」


 やっぱりそうなのか?


「でも君といるとさ、こう……胸の奥から熱いものが本当に込み上げて来たんだ…」

 

 熱いもの……ってフェロモン効果?

 

「なんて言うか……感情が抑えられなくなったんだよ」

 

 やっぱりフェロモンの影響を受けてるじゃん!

 

「こんな気持ちになったのは始めてなんだ」

「う、うん」


 そりゃフェロモンの影響受けてるからな。


「何かこう……普段の俺じゃないような……どうしてこんな気持ちになれたのか不思議だよ」

「う、うん?」

 

 くそ、確実に俺のフェロモンの影響は受けてる。

 でもフロワードは最初に比べてかなり冷静になってるよな? って事は、もう俺のフェロモン効果が切れたのか?

 

「本当に一方的すぎたよ、ごめん」

「いや、そんな事ないことも無いけど……」

 

 やばい、何だろう? フロワードがすごくかわいそうになってきた。

 フロワードにとっての俺は一緒にMMOを遊んでいる一人の女性なんだよな。

 そして……好意を寄せている女性なんだよな。

 でも、俺は本当は男でネカマなんだ。


「でもな、ミユキ」


 俺がネカマじゃなきゃこんな事にはならなかったんだ。

 まさかフロワードが本気で告白している相手が本当は男だったなんて知ったら……。

 ここまできて言えるはずない。本当の事なんて。

 やっぱり俺はフロワードをちゃんと振るんだ。それが一番いいんだ。それしかないんだ。

 

「でも、俺の気持ちに嘘はないから。ミユキが好きだから!」

「うん……」

 

 マジの告白だよこれ。

 本当にごめんなフロワード。

 でも、考えてみれば俺のフォロモン効果を受てこの程度で収まったなんてラッキーなんじゃないのか?

 それに、たぶんフロワードは俺を落とせないって薄々は感じてるんじゃないのか?


「困ってるな、ミユキ」

「あ、いや、なんて言うか……」


 この反応。そしてこの台詞。

 もしかすると、うまく話をすればフロワードを上手に振れるかもしれないんじゃ?

 でも良かった。店長みたいな変な暴走とか、幸桜こはるみたいなぷっつん暴走しなくて良かったよ。

 俺のフェロモンの影響も多種多様なんだな。

 

「本当に俺って迷惑だよな?」

 

 フロワードは再び苦笑した。

 

「そんな事ないよ? 俺は迷惑なんて思ってない」

 

 ミユキの言葉で少し笑顔が戻るフロワード。

 

「本当に?」

「ここで嘘をついてどうするんだよ?」

 

 よし、このままの流れで普通に断れそうじゃないか。

 フロワードは良い奴だし、それにフェロモンの効果を受けてもこの程度だし、普通に断ればそのまま諦めてくれるんじゃないのか?

 

「そう言ってくれると嬉しいな……あ、あのさ、ミユキ……」

 

 ちょっと照れ顔のフロワード。


 あ、なんかやばい感じがする。ささっと断る方向の話にもっていかないと。

 

「待って! ただ迷惑じゃないって、そう思っただけだよ?」

「あ、そ、そうだよな? わかってるよ」

「わかってるならいいけど……」

 

 そしてしばらくの沈黙。

 隣の大通りを行き交う車の騒音だけが二人の耳に入ってきた。

 

 

 ★☆★☆★☆

 

 

 橋から少し離れた場所で息を切らしている愛。

 全力疾走で走り、息が切れ、背中で息をしながら胸を押さえて苦しんでいた。

 

「はぁはぁ……な、なんで私がこんな事を?」

 

 荒い息のままで周囲を見渡す。

 愛は片手には紙袋を持ち、そして胸を押さえる手にはハンカチが握られている。

 

「まったく、私は陸上部じゃないんだから……はぁはぁ」

「陸上部だったら今頃このハンカチを渡せたかもしれないのに……ぜぇぜぇ」

「やっぱり陸上部に入ればよかったかな? ふぅふぅ」

「でも陸上女子ってどうなんだろ? モテるかな? はぁはぁ」

「まぁ今はそんな事よりもこのハンカチの持ち主を捜さないと……ふぅふぅ」

「くそっ! 陸上部め! はぁはぁ」

 

 別に陸上部だからどうしたという事も無いだろうが、そこをやたらと気にする愛である。

 いえ、ちょっと影響を受けた漫画が陸上選手が主役だっただけです。

 あと、苦しいなら落ち着いてから独り言は言いましょう。

 

「あの子はどこへ行ったのかな?」

 

 あたりを見渡すが、周囲はすっかり暗くなっていて遠くまでは見えない状態だ。

 要するに、このまま探してもらちもあかない状態。

 

 明日も仕事なのにっ……早く帰ってからこれがプレイしたいのにっ!

 愛が覗き込むピンクの紙袋。思わずニヤリと笑みがこぼれる。

 ええと…中身は察してください。

 

 限定版! CD付きっ! 予約しないで買えたのが奇跡っ!

 ああっ! 神様ありがとう!

 という事であの子にハンカチを渡さないとね。神様にお礼だよ。


 何か理由がおかしいが、まぁそれが愛である。

 しかし、愛が追いかけているのは神様ではないが天使だ。大はずれでは無い所がびっくりである。

 

「よしっ! もしかするとあっちかも!」

 

 愛はハンカチを握り締めると勢い良く橋の方向へと走り出した。

 

 

 ★☆★☆★☆

 

 

 とあるファーストフード店の中。

 窓際のカウンター席では幸桜こはるがイライラしながら携帯を見ていた。

 

「もう外も暗くなってきたのに、行幸みゆきは何してんのよ」

 

 行幸みゆきにフロワードを振れと伝えてから一時間が経過しても連絡が無い。

 最後にあった電話はうまく振る方法は無いかって相談だった。

 でも私は『私、付き合った事ないし、振った事ないから知らない』なんて答えてしまった。でも……本当だし……


 幸桜こはるには本当に一度も恋人が存在していた事がなかった。もちろん男性経験もない。

 もちろんそれは行幸みゆきが好きなのだから、本気で兄を異性として好きになってしまったから仕方のない事だった。

 

 幸桜こはるはコーラが入ったコップに刺さったストローを吸った。

 ずずずっと音がするが液体が口に入ってこない。

 はい、飲み終わってます。

 飲物すら切れた状態に余計にイライラする幸桜こはる

 

 もうっ! そんなに短時間で振れるなんて思ってないわよ!

 ……でも……連絡くらいくれてもいいんじゃないのかな……


 コップに刺さったストローをくるくると回す。

 コップの中から氷がかき混ぜられる音が聞こえる。


 今度はこっちから電話をしてみようかな……でも、もし振らないといけない相手と一緒だったらどうしよう? うぐぐ…

 そんな事を考えて電話を出来ずにいた。

 

「あーーーもうっ!」

 

 思わず声が漏れる。そして注目の的になる。

 そして結果、恥ずかしくなって赤面する幸桜こはる

 真っ赤になって萎縮した幸桜こはるの横に一人の男がやってきた。

 

「おい! ここが空いてるぞ!」

「おう! いくいく。その席とっておいてくれよ」

 

 目をやると左の席に二人の男が座ろうとしている。

 そして、二人の男は席に座ると同時にポテトを頬張りながら話を始めた。

 

「それにしてもさっきの女、おかしかったよな?」

「ああ、いったい何だっていうんだよな? 俺たちが親切で声をかけてやったのにさ、ナンパだと思ってたよな?」

 

 何よ、この軽そうな男達は……まったく……

 親切とか言いつつも本当にナンパだったんじゃないの?

 

「そりゃあれだよ、最初は可愛いからって理由で声をかけたって言うのは認めるけどさ?」

「ああ、俺もそれは認める」

「でも、お前らじゃ俺の役に立たないとか、お前は何様だよ? だよな?」

「ああ、それに自分の事を俺とか言ってたぞ? あの顔で俺だぞ? 似合わねぇよ」

「おまけに胸が目当てか! とかさ……まぁでかかったけど……それでも何だよなだよな?」

「ああ、確かにでかいのは俺も認める! でも、あの言い方は無いな」

「本当にだよ」

 

 大きな声ねまったく。そんな話をそんな大声で話してて恥ずかしくないのかな?

 そしてにしてもナンパ相手も酷い女だったみたいね。

 まぁ貴方達レベルじゃそんな女しかナンパ出来ないんでしょうけどね。

 

「でもさ、実は俺の中でありかなって思ったんだよな」

「ああ、俺も思ったよ」

「可愛いかったよな……」

「ああ、可愛かった……」

「でも、残念だよなぁ」

「ああ、そうだな……あの子って彼氏いるんだよな? あの後、電話してたもんな?」

「そうそう、携帯で男を振る方法とか聞いてたよな? でっかい声でさ」

 

 何よ? あんたらこそでっかい声じゃないのよ。まったく……って? あれ? 携帯で男を振る方法?

 

「何かさ、付き合った事が無いから知らないだっ! とか怒ってたよな」

「ああ、怒ってたな」

 

 まさか……この二人がナンパしたのって……

 

「あの子の名前なんって言うんだろうなぁ?」

「おい、もう気にするなよ、どうせもう逢えなんだし」

「なんだよ? ちょっと気になっただけだろ?」

「そういや幸桜こはるって聞こえたけど、あれは電話の相手だよな?」

「たぶん女友達か何かじゃねぇの?」

 

 え!? 私の名前? 私と同じ名前の人ってぶっちゃけ滅多にいないわよね?

 という事はやっぱり!? この二人がナンパしたのは行幸みゆき!?

 

「まぁ、今回は仕方ねぇよな……相手が悪かったんだよ」

「ああ、気にするな。また別の女をナンパしようぜ。あの子は秋葉原系の女じゃなかったし」

「で、行幸みゆきとどこであったの?」

 

 突然会話に割り込んできた女の声に、男二人が一斉に振り向く。

 

「「え!?」」

 

 後には女子高生にしか見えない(いえ、女子高生で正解)女が立っていた。

 

「な、何だよお前?」

「私は貴方達がナンパした女性の妹です」

「はあ!? 妹?」

 

 驚く二人組。そして怪訝な表情で幸桜こはるの胸を見る。


「お前があの子の妹?」


 判断基準が胸らしい。幸桜こはるは視線に気がつきつつも気にせずに質問を続けた。

 

「教えて欲しいの。行幸みゆきはどこにいたの?」

「えっ? いや、えっと? どこだっけ?」

「あ、あ……えっと……あれは確か……ええと」

 

 

 ★☆★☆★☆

 

 

 再び橋の上。

 沈黙は続いていた。

 行幸みゆきは沈黙の後に起こる事を考える。


 なんか空気がやばいぞ?

 これってたぶん告白寸前の沈黙なんじゃないのか?

 ゲームでもこういうシーンってあるよな?


 俺のさっきの対応でこいつ、少し勘違いされたかもしれない。

 このままじゃ、きっと聞いてくるはずだ。

 フロワードは俺に自分が好きかって聞いてくるはずだ。

 そして、俺につき合って欲しいって言ってくるはずだ。


 ぐっと拳に力を込める。


 その時は俺は絶対に断る! 振ってみせる!

ヒロインいんたびゅー(無理に読む必要なしです!)


今日は久々に行幸みゆきさんに来て頂きました!

(はい、拍手を御願いします!)

ぱちぱちぱち…

「おい作者」

「はい?」

「聞いておきたい事がある」

「え?まだ戻らないよ?」

「違う!質問を予想して勝手に答えるな!っていうかそれってショックだから!今言うなよ!」

「あ、ごめんね」

「く…ちゃんと質問を聞け!」

「はい…どうぞ」

「まず、俺はヒロインじゃない!」

「あぁ…解ってます」

「じゃあ何で今回はヒロインいんたびゅーなんだよ!」

「そういう名をした主人公インタビューです」

「…作者おかしいよな」

「うん、自覚してます」

(駄目だ…こいつ)

「で、もう一つ!」

「はい?」

「ジャンル…コメディーだけど…コメディーじゃないと思うんだ」

「あっ…それは言ったらだめです…」

「もしかして自覚あるのか?」

「ふっ…大丈夫…私にコメディーを書くセンスと能力が無かっただけだから」

「作者…(ェ」

という事で、コメディージャンルなのに笑いが無い!という突っ込みは無しで、これからも宜しく御願いします!

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