第三十一話【俺の決戦の日~兄妹は似たもの同士?】・
三人組の告白から逃れた行幸だったが…そして、まぁ何だ間だと女になっても思考は男でしたっ!意味は本文を読んでも理解できない可能性があります!(この文章は変更するかもですね!作者)
「何!? 三人に告白されたっ!? どういう事なの?」
驚く幸桜の声が電話から響く。
耳が痛いっ!
あまりの声の多きさに行幸は思わず携帯を耳から離す。
「ちょっ! 声が大きいぞ!」
行幸も思わず大声で返した。
と、言い返した所で人の視線を感じる。ちらりと横目で通路を見るとこちらを見る人影が。
見られた? やばい、ここじゃ注目の的になるな。
「ちょっと待ってろ。移動するから」
「えっ!? 何? 移動?」
行幸は幸桜の声が漏れる携帯を右手で押える。
そしてトイレの横にある階段ホールへと小走りで移動した。
ここはエレベーター移動がメインの商用ビルだ。思ったとおり階段ホールには誰もいない。
一応、周囲を確認してから行幸は話を再開した。
「よし、いいぞ」
「いいって何よ?」
「幸桜の声が大きすぎて携帯から漏れてたんだよ」
「何? 私の声が大きいって言うの? 行幸の声だって十分大きかったじゃないのよ」
「それはお前が大きい声を出すからだろ!」
「ほらっ! また大声になった!」
「だからっ!……」
って待て……俺は何を言い合いしてるんだ?
ホールに響く自分の声を聞いて、行幸は我に戻った。
「えっと……話を戻すぞ」
「何よ? 脱線させたのは行幸でしょ?」
「うぐ……お前だって…」
ここで色々と反論したいがまた言い合いになる事は間違いない。
ここは我慢だな。
「……で、何? 三人に告白されたまでは聞いたわ」
幸桜もすこしは理解したのか話を戻してきた。
「そうだよ、三人の男に告白されたんだよ。付き合って欲しいって言われた」
「イキナリ三人って凄いね。それってフェロモン効果の影響かな?」
「そうだろうな……」
「でも、どうするの? そんな状態じゃ行幸を前から好だった男が見つけられないんじゃないの?」
「くっ……そうなんだよなぁ」
確かに幸桜の言う通りだった。こんな落ち着かない状態で見つけられるとは思えない。
「そうね、こうなったら今回は無理をしてまで探さない方がいいと思うんだけど?」
「でも、今日を逃すと探す機会が無いだろ?」
「そうだけどさ……」
「だったら無理をしてでも今日探した方がいいんじゃないのか?」
「でも……」
「でも何だよ?」
「あれだよ……行幸のフェロモンって……だから……ええと……感情を高めるんだよね?」
「ああ、そうだよ」
「だとしたらさ……」
「だとしたら?」
「……」
「幸桜?」
しばらくの沈黙。そして重々しい幸桜の声が携帯から聞こえる。
「行幸が……きっと襲われちゃう……」
「……え?」
襲われる? 俺が?
「お、襲われるって何だよ? どうしてそうなるんだよ?」
「私は考えたの。もしも私が感情が高ぶってそういう状況だとどうなるかって……」
「な、何だよそれ!?」
行幸の脳裏に幸桜の裸体がリピートされた。
「あれだよ? 仮定での話だと思って聞いてね?」
「あ、ああ」
「もしも、もしも私が行幸を好きで、だ、抱きたいとか前から思ってたとしたらさ……感情が高ぶったら……ほ、ほら、襲っちゃうでしょ!?」
幸桜に迫られたシーンが鮮明に蘇る。
「ま、待て! どうして抱きたいと思っていたのに、抱く前に襲うんだだよ!」
「え!? だ、だから、いや、そこは……ほら……えっと……」
幸桜は言葉に詰まった。
そして、行幸の脳裏では昨晩の出来事が何度もリピートされていた。
全裸の幸桜の姿が鮮明に蘇っていた。
そういえば幸桜は昨日、俺を襲いそうになってたよな。
いや、待てよ? 逆に考えると……もしかして……
……ま、まさか幸桜は俺に襲って欲しいのか!? そういう願望があるのか!?
行幸の妄想スキルが全力で発動してしまった。
待て! 実の妹に襲って欲しいとか思われるとか無いだろ!
でも……絶対無いとは限らない。
待て! あったら駄目だろ! き、近親相姦は禁断だぁぁ!
そんな行幸を危ない妄想モードから現実に引き戻したのは幸桜の声だった。
「ちょ、ちょっと! 黙らないでよ! 私は実の妹なんだからね? 行幸を襲ったりする訳ないでしょ! もしかして、何か変な事でも考えてるんじゃないの!?」
完璧に言い当てられて額から汗が吹き出る行幸。
「ば、馬鹿! 何で俺が変な事を考えなきゃいけないんだよ!」
しかしちゃんと言い訳は返してみた。
「動揺してる!? 行幸って実は変態? 私に襲って欲しい訳!?」
いや待て、現実に昨日お前は俺を襲ってきてただろ! なんて言えるか!
「ば、馬鹿か! 俺はお前の兄貴だぞ? 俺がお前を襲うなんて無い!」
「え? お、襲う? お兄ちゃんが私を襲う想像をしてたの!?」
しまった……間違えたぁぁ……
「ば、馬鹿! 間違っただけだ! 幸桜を俺が襲う訳ないだろ!」
「………」
「おい? どうした?」
「そうよね……そんな事は無いよね……ありえないよね……」
どうしてそこでテンションが下がるんだよ?
それじゃ俺に襲って欲しいって言ってるようなもんじゃないか。
おかしい、幸桜に対するフェロモン効果は切れてるはずなのに。
今の幸桜は感情の変化は無いはずなのに……っていうかまさか本音?
「ねぇ…脱線しちゃったし…話を戻そうか…」
テンションがすっかり落ちた幸桜が落ちついたというより、落ち込んだ声で話を続けた。
まぁあれだよな、幸桜が俺を好きなのは事実だし……
そう考えれば、俺に襲って欲しいとかいう願望も多少はありえるのか?
「行幸? 聞いてる?」
おっと……話をちゃんとしておかないとな。
幸桜は妹だ。いくら俺を好きだって解っても俺は何も出来ないし、しちゃだめなんだよ。
昨日はフェロモン効果であった事故なんだ。そう、あれは事故。
「えっと……じゃあどうすればいいんだよ?」
「そうね、あれよっ、行幸を好きな男の人がもう一人いるんでしょ?」
「あ、ああ…フロワードの事か?」
「そう! その人。まずはその人を誘い出して、そして今日中に振るの」
「え? 今日中にフロワードを振るのか?」
「そう。きっと行幸を好きな人は、行幸に出逢って、そしてフェロモンの影響を受けて、多分じっとして居られなくなるはずだから。だからここで行幸が何かしなくっても相手から何か行動を起すと思うの」
確かに、俺のフェロモンの影響を受けたのであればじっとして居られなくなって行動を起こすかもしれないな。
「確かにな」
行動を起こすか……行動ねぇ……
もやもやと行幸の頭に浮かんでくる裸体。それはまたもや幸桜の裸だった。
ば、馬鹿か! 何でいちいち妹の裸が思い浮かんで来るんだよ! それも何度も何度も! っていうか、ぶっちゃけると脳裏に焼きついた妹の裸が離れない。
くそっ! 実の妹なのに……先週プレイしてたエロゲーの裸は焼きついて無いのに! 何故だっ!
なんて考えている間も妹の裸体は脳内をめぐっていた。
そうだよ……仕方無いよな? あれだけ生々しかったんだ。
目の前で繰り広げられるエロゲー顔負けの妹から襲われるシーンだぞ?
今まで彼女が居ない俺=リアルで女体を見る環境の無い俺だった。
そうだよ! あれを忘れろと言う方が無理だっ!
『ぱらららりーん!』※効果音
行幸は開き直るを覚えた!
「……っ!?」
あれ? 幸桜が何か言ってるな? やべ、聞いてなかった。
「ねえ! ちょっと! 聞いてるの?」
「あ、ごめん、聞いてたよ?」
行幸は嘘をついた!
「そういう事よ、解った? とりあえずはフロワードさんをそうやって誘い出すの」
……ええと? そういう事ってどういう事だ?
どうやら聞いてない間にそういう事の説明があったらしい。が、聞いてないものは聞いてない。
「……えっと」
「……まさか聞いてなかったとかないよね?」
体中から汗が吹き出る。
「い、いや? あれだ、再確認しようかなって」
「確認? 誘う出す方法の?」
「そ、そうだよ……えっと……どうやってだっけ? もう一度説明してくれ」
「……言ったでしょ? 行幸の体を使ってよ」
「………え?」
カラダ? ソレッテドウイウイミデスカ?
視線が自然と自分の胸にいってしまう。
オッパイ? モシカシテオッパイ?
「行幸のその卑怯な胸のついた体を使って誘うのよ」
「ちょ、ちょっと待てくれ!」
「あれ? 聞いてたんじゃないの?」
「ええと……多分……記憶に残らないレベルで聞いてた」
「……何それ?」
「ええと、耳には入ってたはず」
「な、何よ! それって聞いてないって事じゃん!」
ヤバイ! バレタ!
「ご、ごめん」
「もうっ! 二度も説明するのが面倒だから簡単に言うからね?」
「え?」
「相手にこう言うのよ」
『フロワード、一緒にこのまま何処かに行かない?』
「はい?」
『二人っきりになりたいな…』
「……ちょ、ちょっと待て貰えますか?」
「何よ?」
「いや……ええと……あれだよ」
二人っきりって、もしかして俺がフロワードとホテルに直行して親密な関係になれと!?
同時にホテルで抱かれる自分の姿を妄想してしまった。
「ま、まだそういのって早いだろっ! 出合って間もないのにっ!」
行幸は思わず大声を出す。階段ホールに行幸の声が響き渡る。
「何がよっ! 何が出合って間のないのよ!」
「いや…」
「もしかしてまた何か変な事でも考えたの!?」
はい、正解っ!
「お、お前が変な想像をさせるような事を言うからだろ!」
「やっぱり変な妄想したんだ!? 卑猥だ! 変態だ! 変人だっ!」
妹に散々に言われる兄の図。
「ち、違う! 多分違う!」
「また動揺してるし……解りやすっ」
「な、何が解りやすっだよ!」
そんなやり取りを繰り返した結果、行幸は幸桜の作戦に乗り、今日中にフロワードを振る事に専念する事にした。
ちなみに幸桜の言っていたのは単なる誘い出しトークでした……まる。
「じゃあ、うまくやるのよ?」
「大丈夫だよ」
「本当かなぁ…でも…信じてる…じゃあまた後でね」
「ああ…」
液晶画面に切断表示が出てから幸桜からの電話を切った。
その時だった。右横から人の気配を感じる。
ゆっくりと顔を右へと向けると、そこにはホワイトの姿があった。
ホワイトは冷静な表情で行幸の事をじっと見ている。
ま、まさか聞いてたのか? 会話を聞かれたのか?
行幸はオドオドと動揺し、手に汗を握る。
しかし、ここで動揺してても仕方ない。なんとかその動揺を押さえながら笑顔をつくった。
「あ、えっと…何でここホワイト……」
行幸の話を切るようにホワイトが割り込んで話を始めた。
「今のは誰との電話だったのかな?」
「へっ?」
「だ・れ・と・の、電話だったの?」
笑顔の中に見える厳しい視線に、行幸は思わず答えてしまう。
「い、妹です!」
「ふーん…そっか…妹さんかぁ」
何だろう…ホワイトから感じるこの何とも言い表せない冷たい感じ……
「そ、そうです…」
「で? 何を話していたのかな?」
何だこれ? 何かやばい気がする…逃げよう。
「えっと! 私、戻りますから!」
行幸は思わずその場から逃げ出した。
そしてその場に残されたホワイト、いや菫は……
「そうなんだ……」
先ほどの冷静な表情とはうって代わり顔を火照らせ胸を押さえる。
「私の敵は…フロワードだったのね……あげない…私のだもん…行幸は私のものだから…」
菫の感情は急激に高ぶり始めていた。
★☆★☆★☆
「戻りました……」
行幸はオフ会の席に戻った。すると、待ってました! と言わんがばかりに先ほど告白してきた三人組みがやって来た。
行幸は即座に三人に断りを入れる。しかし何度も言い寄られる。
そして行幸は三人に向かってハッキリと言いきった。
「私、好きな人がいるんです!」
その一言で三人は撃沈……しなかった!
流石である。フェロモン効果抜群である! まさに麻薬である!
三人の告白版、火事場の馬鹿力といった所だろうか?
三人は諦める事なく行幸に突進してくる。もちろん言葉で。
流石の行幸もそこをなんとか凌ぐ程度で、フロワードには近寄れなくなってしまった。
しかし、そこにやって来たのはフロワードだった。
「おい! もう辞めろよ? ミユキが嫌がってるだろ!」
フロワードは遂に三人のやり方に見かねたのか、三人と行幸の間に割って入る。
何とか三人から逃れた行幸。というかこれはラッキー…
「フロワード、ありがとう…これ…」
行幸はメモを取り出すと、それをそっとフロワードに渡す。
「後で読んでね…私はもう出るから」
そして行幸はフロワードに耳打ちするとオフ会の会場を後にした。
行幸が立ち去った後、フロワードはそのメモを見た。
するとメモにはこう書いてあった。
【先に出ています。後で少しお話がしたいです。○○○で待っています】
一瞬、え? という驚きの表情を浮かべたフロワード。そして周囲を確認してからそっとそのメモをポケットに入れた。
「これでオフ会は終了とします! あとは自由行動でお願いします」
主催者からのオフ会終了コール。
「やっと終わった…」
溜息をつき、安堵の表情の女の子が約一名。
そう、その場に何故か最後まで残っていたシャルテだ。
「ええと…あれ?」
シャルテは周囲を見渡す。そして見る見る顔色が悪くなる。
菫も行幸も居ない!?
何度も周囲を見渡すが、二人の姿は確認出来ない。
しまったっ!
最初は気を張っていたシャルテだったが、行幸が自力で脱出してからは安心してしまい、ついつい監視を怠っていたのだ。
くそっ! まだ遠くには行ってないはずだ!
まるで刑事のような言葉を残し、シャルテは慌ててオフ会の会場を飛び出した。
「行幸は何処だっ!」
そして、ホワイトはオフ会の会場から忽然と姿を消していた。
続く
後書きが思い浮かばない!
じゃあ一つだけ質問をします。
Q行幸と幸桜は本当に兄妹ですか?
Aはい
つまらなかったです…ごめんなさい。
そしてまた思いついたら後書きも修正します!
次回もちょっと時間かかるかもですが、お待ちください。