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どうしてこうなるんだ!  作者: みずきなな
【どうしてこうなるんだ!】
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第二十五話 【俺がこの先どういう風になるのか教えろ!②】・

アパートに近寄る一人の女性…ってすみれです。すみれ幸桜こはるとのアパート玄関の攻防戦!そして総司令である行幸みゆきの運命は!?あれ?これって戦争ものじゃないですね…これは違う!

 だ、駄目だ! これを『ファーストキス』だと認定しては駄目だ!

 

「ま、待て! 今のは唇がたまたま、それも一瞬触れただけだろ? あれは通常だとキスだとは認定されない! そう! 全日本キス判定協議会があったとしても、あれは『基準時間に達していないためにキスとは認定しません』となるはずだぞ! あと、俺たちは家族だぞ? 兄妹だぞ? あ、そうだ! 海外では挨拶の代わりに口付けを交わすじゃないか! そう思えばいいんだ! 兄妹がたまたま基準時間外の挨拶代わりの口付けをした! これだろ!」

「馬鹿……」

「うぐ…」

 

 冗談半分のいい訳も今の幸桜こはるには通用しない。

 幸桜こはるはゆっくりと起き上がると『ふぅ』と溜息をついた。

 もうこうなったら言い訳なんて言えない。ここは男らしく謝るしかない。

 行幸みゆきは頭を下げた。

 

「ご、ごめん! 俺はそういうつもりはなかったんだよ」 

「本当に最低! 行幸みゆきが相手だなんて……」

 

 これは諦めよう……

 幸桜こはるがさっきのをファーストキスだと認めたのであれば仕方ないだろ。俺も認めざる得ない。

 でも考えてみろ。昨日のあのシチュエーションからのキスよりは何倍もましだろ。これは一種の事故みたいなものだしな……そう事故だよ。そう思うしかない。


 以外とポジティブな行幸みゆきだった。

 

「俺が相手でごめんな?」

「本当に!」

「マジごめん」

「もう…何度も謝んないでよ!」

 

 幸桜こはるは頭を項垂れて、再びため息をついた。

 

「ねえ……行幸みゆきは……私とキスしたのが嫌だった?」

 

 寂しげな声の幸桜こはる行幸みゆき罪悪感ざいあくかんを再び感じた。

 別に妹とのキスが嫌な訳では無い。しかし行幸みゆきの本音は恋人とファーストキスをしたかっただけだ。

 始めてのキスの相手は、やはり兄妹というのはどうなんだと……

 だけど、幸桜こはるの質問に対しての答えは一つだ。

 

「嫌っていう訳じゃない。けどさ……」

「そっか、嫌なんだね……私こそごめんね……こんな私は相手で……」

 

 先ほどは文句を言っていたはずの幸桜こはるの態度が急転した。

 急にションボリして声を震わせて謝ってきた。

 

「違う! 嫌なんじゃ無い! ただ俺とお前は兄弟だし……だから!」

「いいよ。無理しなくっても……」

「無理なんてしてないじゃないか!」

「いいの! やっぱりさっきのは事故! あんなのキスじゃないよ! それに行幸みゆきはあれでしょ? 初めてじゃないでしょ? あんなのキスのうちに入らないでしょ?」

「え? あ…ああ…」


 とか答えた行幸みゆきだったが……


 幸桜こはるは俺の事を何も解ってない。

 俺は高校からパソコンに目覚めて散々三次元リアルを避けていた。

 ゲームで経験はいろいろとした。恋愛も結婚も……

 MMOでもエロゲーでも俺はそういう方向での経験は豊富だ。

 だけど、俺にはリアルの経験地は無い。リアルで女の子とどうこうした事はまったくない。

 ここで威張ってどうするんだよ?

 でも、この歳になってファーストキスだったんだよ! とか恥かしくて言えない。


「私はもう気にしてないから」

 

 幸桜こはるは悲しそうな笑顔でそう言うと、くるりと向きを変えてキッチンの方へと歩き出した。

 その向きを変える一瞬だった。幸桜こはるは頬を紅色に染め、左手の指を唇に当てて撫でるように触れたのだ。

 告白を断られたかのような、せつなさを漂わせた幸桜こはるの表情と動作。

 とてもじゃないが気にしていない様には見えなかった。 


 行幸みゆきはその仕草を見て心臓の鼓動が早まった。

 昨日幸桜こはるは暴走して行幸みゆきを襲った。

 あれは幸桜こはるの感情を行幸みゆきから出ていたフェロモンが増幅させたから。

 でも今は違う。幸桜こはるはフェロモンの影響は受けていない。

 先ほど仕草で行幸みゆきはある事を実感した。


 やっぱり幸桜こはるは本気で俺を好きなんだと。


 しかしこれだけは守らなければいけない。

 例え幸桜こはるが俺を好きであっても、俺が幸桜こはるを好きになってはいけない。昨日のような事を現実にしてはいけない。

 男に戻ってもそれは絶対だ。キスだってもちろん二度としては駄目だ。

 

 でも、何でこんな近親相姦フラグが立つんだよ? 近親相姦フラグとかどんなんだよ?

 俺の予想通りのフラグが立たないなんて、まるで糞ゲーじゃないか!

 ※ルート選択ミスという考えは無いらしいです。

 

行幸みゆき、早くメールチェックしてパソコンを切ってよ!」

 

 幸桜こはるの怒鳴り声がキッチンから聞こえた。

 さっきのはやっぱり事故だ。そう思って俺も早く忘れよう。

 折角幸桜こはるが気にしないようにしてるんだしな。

 

「わかったよ! チェックすりゃーいいんだろ」

 

 そして行幸みゆきは大量に溜まったメールとチャットログを確認した。

 色々な内容のメールがフォルダに溜まっていたが、その中に行幸みゆきにとってかなり重要なメールが来ている事に気が付いた。

 それはオフ会の案内だ。

 

 フロワードも参加するオフ会の案内か。

 俺の恋愛対象者のもう一人も参加するはずだよな。

 俺を好きな奴か。それは両方とも男で、そして一人はフロワード、そしてもう一人は……誰だ? 同盟員の誰かだと思うんだけどな。


 行幸みゆきはオフ会の会場と開始時間を確認するとチャットログをもう一度確認した。

 すると明け方のログに行幸みゆきの名前が出ている。そのログを辿って会話の始めから読み直す。

 

【システム】ホワイトプリンが【06:32】にこの世界に接続しました。

 

 ホワイトプリンさん珍しいな? それもこんな朝早くにINしてるのか。


 このホワイトプリンさんというのはビショップキャラのプレイヤーだ。

 滅多にINしてこないけど、そのキャラ操作テクニックは凄まじく、この人がパーティにいれば難易度の高いダンジョンも安心できる程だ。

 

【ホワイトプリン】どなたかいますか?

【チキンぼーん】ん? おはよう。めずらしいじゃん。

 

 お、チキンだ。

 チキンぼーんは侍キャラを扱うプレイヤー。

 名前からして侍は無いだろうと突っ込みたくなる。

 しかしこんな変な名前なのに、この人も相当に上手い。

 武器の名前はオリジナル命名で【手羽先】らしい。

 それって共食いみたいなもんじゃないのか? それとも自分のか?

 

【ホワイトプリン】おはようございます。あの、MIYUKIがINしてるみたいなんですが、今もいるのですか?

 

 そっか、俺はキャラだけINさせて昨日のあのごたごたに巻き込まれていたんだ。

 

【チキンぼーん】え? ああ、INはしてるけどずっと動いてなかったな。

【ホワイトプリン】あ、そうですか。わかりました。

【チキンぼーん】どうしたんだ? 今暇なのか? 暇ならダンジョンでも行かないか? 丁度回復とか居なくてさ。

【ホワイトプリン】いえ、今日はちょっと用事があるので…これで落ちます。

【チキンぼーん】そっか…残念。おつおつー

【システム】ホワイトプリンが【06:43】にこの世界との接続を切りました。

【チキンぼーん】あ! ホワイト、って落ちるのはぇぇ…もういねーし。

 

 うーむ…チキンはどうでもいいとして、ホワイトは何の用事だったんだろ?

 俺に特別な用事って訳は無いだろうけど。メールも個人も来てないし。

 ちなみに、俺はホワイトとは会話をした事がほとんどない。だけど、とても優しくしてくれる良い人だ。


 行幸みゆきは考えた。そして変な方向で妄想してしまった。


 ま、まさかホワイトもネカマで俺が好きとか?

 しかしホワイトがネカマという事自体が俺には考えられない。何故ならな、ホワイトは口調が可愛いからだ! よってネカマでは無い。


 自分の事を棚にあげつつ全てのチェックを終えた行幸みゆきはパソコンの電源を落とした。

 それと同時にアパートの玄関が『ドンドン』と激しく叩かれる。

 ドアの向こうから聞き覚えのある声が!?

 

行幸みゆき! 居るんでしょ! 私よ! すみれよ! 早く開けてよ! 今日一緒に買い物に行くんでしょ!」

 

 玄関越しにすみれの声が聞こえた。


 そうだ! すっかり忘れていた! 今日はすみれと買い物に行くんだった! それも俺が付いて来てとか言った記憶があるぞ?

 昨日の夜にやり忘れていた事って……そうだったんだ!


 行幸みゆきは慌てて立ち上がると急いで携帯を確認した。

 

「ねぇねぇ行幸みゆき! すみれとか言う人が来てるよ? すみれって昨日ここに来てた人だよね?」

 

 幸桜こはるが慌てた様子で行幸みゆきにそう聞く。

 行幸みゆきはそれを宥めるように「そうだよ、一緒に買い物に行くって約束してたんだ」と返した。

 それを聞いた幸桜こはるは不満そうな表情を浮かべる。

 しかしそれをいちいち気にしている暇は行幸みゆきには無い。

 行幸みゆきは携帯を持ち上げると電源が落ちている事に気がついた。


 しまった!


 携帯を慌てて電源プラグに差し込み電源ボタンを押す。すると間もなく携帯が起動した。


 メールが十八件? ……十八だと!?


 すべてがすみれからのメールだった。

 最初は激怒メール。しかし最後は心配している気遣いのあるメールだった。


 ツンメールからデレメールへ変化してるだと? ある意味面白いなこれ。

 あれ? 最後のメールは激怒メールだな。着信も数分前だ。……数分前?


 じっとアパートのドアを見る。きっとその外には俺に連絡がつかずに怒って、心配して、最終的に怒ったすみれの姿があるはず。


 うん……ごめんなすみれ。心の中で謝った。

 

「開けてよ! 行幸みゆきいるんでしょ! 何で携帯に出ないの? メールも来ないし! ねー!」

 

 外からすみれの声がずっと聞こえている。

 

行幸みゆきどうするの? 開けるの?」

 

 どうするんだ俺? 買い物の約束をしているのは確かだけどさ。

 

 行幸みゆきは懸命に考えた。


 幸桜こはるは暴走したからもう俺のフェロモンの影響は受けない。

 でもすみれはまだ俺のフェロモンの影響を受けきっていない可能性がある。

 もしも街中で、万が一でもすみれが昨日の幸桜こはるの様な暴走をしたら……

 

【いけない妄想タイムに入ります】

 

【読者の皆様は小鳥が飛ぶ草原をご想像下さい】

 

【現在、行幸みゆきはR18指定の妄想中です】


【読者の皆様はチューリップ畑をご想像ください】

 

【はい、妄想終了】

 

 い、いかん! 街中でそれはいかんだろ!

 今は女だから最後までいけないけど駄目だろ!

 そんな事までしたら正気に戻ったすみれに抹殺されるっ!

 ※妄想の中身はご想像にお任せします。


 そ、そうだ! 記憶操作は? そうかその手が!……いや…待てよ。

 リリアもシャルテも血縁関係だからこそ幸桜こはるの暴走の記憶を操作してくれた。だけどすみれにはしてくれない可能性が高いよな。

 

 やっぱりあれか? 買い物に? いやいや、買い物になると長時間つき合わす事になる。

 バイトの時はそれ程でもなかったかもだけど、既にすみれには俺のフェロモン効果が蓄積されているはずだろ。

 そう考えれば、すみれにも暴走の危険は十分にある。

 やっぱり今日はすみれと買い物には行くべきじゃない。いや、もうバイトも行くべきじゃないかもしれない。


 行幸みゆきは決断した。自分が男に戻るまではすみれとの接点は絶つと。

 

「おい、幸桜こはる

「え? 何?」

すみれに断ってくれないか? 俺が体調を崩したとでも言ってさ」

「え? それってどういう事なの?」

「……お前には後でちゃんと説明するから、取り敢えず断ってくれ」

 

 幸桜こはる行幸みゆきの真剣な表情を見たからか、こくりと頷くと玄関ドアの前に立った。

 そしてゆっくりとドアを開ける。

 行幸みゆきは仮病を使う為に念には念をいれてベットに入った。


 

 ☆★☆★☆★☆★


 

 ※すみれ視点でお送りします。

 

 何で出て来ないの!? 絶対に中にいるって解ってるのに。

 昨日からいっぱいメールだってしてるのに全然返事も来ないし。

 私は苛立ちと不安の中、行幸みゆきのアパートの玄関ドア前に立っていた。

 今日は夢にまで見た行幸みゆきと初めてのデート。

 昨日は色々とあったけど、それでも相手が行幸みゆきだという事に変わりは無い。

 本当は昨日の夜には待ち合わせ場所とか時間を決める予定だった。

 でも、行幸みゆきの携帯電話に繋がらなくなった。

 一瞬は故意に電源でも落としているのかと疑った。だけど行幸みゆきはそんな事をするような人じゃない……と思いたい。


 メールを何度も発信した。でも一件も戻って来なかった。

 最悪を考えるのであれば、電源を切られ、そしてメールすら見てくれていなかった。

 そうじゃ無ければ、電源が切れたけど充電が出来ない状況だった。だからメールも見れなかった。

 後者だと信じると、私がこのアパートを後にしてから何かがあったっていう事。

 

 私は行幸みゆきがプレイをしているMMOに【ホワイトプリン】で今朝INしてみた。

 だけど、昨日から行幸みゆきのキャラが動いた気配は無かった。

 ログインしているけど動かない。要するにロム状態。

 やはり何かあったと考えるのが正しいのかもしれない。

 私は不安に襲われながら玄関ドアを叩いた。

 心配で心配で心臓がドキドキ止まらない。

 

「開けてよ! 行幸みゆきいるんでしょ! 何で携帯に出ないの? メールも来ないし! ねー!」

 

 しばらくすると『ガタン』と中で何か物音が聞こえた。

 誰かがドアに向かってくる?

 やっぱり居るんじゃないのよ……まったく、何ですぐに開けてくれないのよ!

 私はほっと安心しながらも、文句を言う準備をして構える。


『ガチャ…カチャカチャ…ギィィ』とおんぼろ玄関ドアがゆっくりと開いた。

 

「こら! 何で早く開けないのよ! あとメールの……」

 

 ドアが開いたと同時に私は怒鳴った。だけど一瞬で言葉が止まる。

 部屋の中から出てきたのは行幸みゆきではなかった。

 女の子がひょいと顔を出したのだ。それも見覚えがある。

 

「あ……すみません」

「え? あれ? こ、幸桜こはるちゃん?」

「はい……そうです」

 

 出て来たのは行幸みゆきの妹の幸桜こはるちゃんだった。それもTシャツにトランクスという格好で……って待って!

 な、なんとふしだらな格好なの? も、もしかして…ノ…ノーブラなの!?


 やましい妄想が私の脳内を駆け巡る。主にR18です。


 あの馬鹿! まさか実の妹に手を出したとか!?

 な、なんてあるはずないよね?

 でも何で幸桜こはるちゃんが居るのよ?

 

「み、行幸みゆきは?」

「ちょっと今、体調が悪くって寝てます。だから今日は一緒にお買い物は行けないって伝えて欲しいって」

「え?」

 

 私は目が点になった。

 どういう事? それ? 体調不良? って幸桜こはるちゃんにそれを言わせる?

 動けない程の体調不良なの? 携帯電話すら使えないの?

 余程の重症患者でも無い限りはせめてメール位は出来るはずだよね?

 それに、体調が悪いので私に断るのならば、先に幸桜こはるちゃんに私の携帯まで電話させればいいじゃないの?

 ここまで来てから言うとかおかしすぎでしょ!


 私の脳内CPUがフル可動する。そして導き出した答え。

 これはきっと、さっき行幸みゆきが考えたいい訳ね……

 

 行幸みゆきの馬鹿、何でこんな事するのよ!

 そんなに私が嫌いなの? いいよ! 別にそれでもいいよ! どうせ私の片思いだし!

 ……なんて嘘。やっぱ良くない。そりゃいい訳ないじゃん……私は両思いを目指してるんだから、ここで諦めたら終わるもん。

 でも腹が立つなぁ……理由は絶対に聞いてやる! 文句も言ってやる!

 

「それではすみませんが……」

 

 幸桜こはるちゃんが申し訳なさそうな顔で扉を閉めようとする。

 

「ちょっと待って!」

 

『ガシ!』と音がして私のスニーカーをドアに挟み込んだ。

 

「え!?」

 

 動揺する幸桜こはるちゃん。

 私はドアをガッシリと持つと強引にこじ開ける。

 幸桜こはるちゃんは懸命に閉めようとするが、パワーは私の方が上だ!


『バン!』と音が鳴り響いたかと思うと、玄関ドアは全開になった。

 

「ふふふ…甘いわね…」

 

 私は強引にアパート内部へと侵入を開始した。

 そこへ立ちはだかる敵! それはノーブラでダボダボTシャツに男もののトランクスを履いた少女だ。

 まさにエッチなゲームで出そうな子。

 世の中の男どもがどれほどにこんな格好の女子を目の前で見たいと思っているだろう?

 そう思えるほどに可愛くって、まだ熟しきっていない膨らみかけの胸がTシャツ越しにささやかなアピールをしている。

 トドメに、見えそうで見えない色々な凹凸部分が本当にエロチックだ。

 今の私にはこの中途半端な初々しいエロさは出せない。


 だが、そんなエロチック妹キャラ幸桜こはるちゃんも、今の私には単なる障害物でしかない!

 

幸桜こはるちゃん、退いてもらえるかな?」

「嫌です!」

 

 幸桜こはるちゃんは両手を広げて私の進入を阻止する!

 やっぱり敵だった!

 

「ふーん…でも私は強引に入るわよ?」

 

 私は幸桜こはるちゃんの手を強引に退かして中へと進入した。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

 幸桜こはるは私を懸命に制止しようと、今度は抱きついてきた。

 存在感があまりない部位が頑張って存在感をアピールしている。

 やっぱりノーブラだったのね。


「放して」

「だ、だめ!」

 

 これは思った以上の抵抗ね。そんなに私を中に入れたくない訳?

 ま、まさか! さっきまで口には出せないような事をしてたの!?

 これは早く行幸みゆきに追求しなきゃ!でもその前に……

 私は幸桜こはるちゃんに対して【くすぐり攻撃】を開始した。

 幸桜こはるちゃんはくすぐりに弱いのか、「あはははは」と笑い声を上げて床に転がった。

 

 すみれ幸桜こはるを倒した!

 ジャジャジャジャーン!※脳内効果音

 

 勝った!

 

「ごめんね、幸桜こはるちゃん」

 

 私は更なる奥地へと進行する。そこはリビングだった。狭いけどね。

 早速部屋の中を確認する。


 まずパソコン。

 もう電源は落ちている。どうやら私がログインしていた以降に落とした様子だ。

 次にベッド。

 うん、毛布を被った行幸みゆきがいた。


行幸みゆきさぁん?」


 私はベットに近寄ると毛布をおもむろに取り上げる!

 ばさり! と毛布が肌蹴はだけたかと思うと、吃驚びっくりした行幸みゆきの姿が……

 

「あら? 行幸みゆきさん? どこが調子が悪いんですか? 顔色も良さそうですが?」

 

 私がそう言うと行幸みゆきは口をパクパクしている。

 誤魔化そうかとでも考えているのかな?

 

「なにか言いたい事でもあるのかな? いいわよ? いい訳なら聞いてあげる」

 

 強めに言ってみた。すると行幸みゆきは真面目な表情になって起き上がった。そして考え込んでいる。

 

「な、なによ! ここまできて、なんでいい訳をいまさら考えてるのよ? ねえ! ちょっと聞いてるの?」

 

 行幸みゆきはすごく真剣な顔で考え込んでいた。

 何をそんなに考え込んでいるんだろ? 本当にいい訳を考えているの?

 何か違う気がする……

 ふと後ろを見るとそこには幸桜こはるちゃんが立っていた。

 幸桜こはるちゃんは心配そうな眼差しで行幸みゆきを見ている。

 

「お兄ちゃん?」

 

 行幸みゆき幸桜こはるちゃんの言葉に反応して視線を向けた。

 そして突然天井に向かって叫ぶ。

 

「おい! そこに居るのかよ? この二人にあの事を話してもいいのか? もう黙ってられねーよ!」

 

 何を言ってるの? 誰に向かって? 何で天井なんか見てるの?

 私は釣られて天井を見てしまった。

はい!ゲストコーナーです!予告通りに幸桜こはるさんです!

こ「えっと…こんにちは」

さ「こんにちは。行幸みゆきと違って素直な良い子ですね」

こ「え?」

さ「いえ、何でも無いですよ。ああ、そうだ。ファーストキス…行幸みゆきが相手でしたね?あれって本気で後悔してないですか?」

こ「え?えっと…後悔はしてないよ。ただ…」

さ「ただ?」

こ「女性の時じゃなくって男の時の行幸みゆきとしたかった…って何を言ってるのかな!?兄弟なのに…」

さ「あ、いや、書いたのは私なので…幸桜こはるが悪い訳じゃないよ?」

こ「あ、うん。それも理解してちゃんと言ってるよ。私は行幸みゆきが好きな設定なんだよね?」

さ「あ…ええ…そうですね…(何かやりずらいぞ)」

こ「で、でも変な事をさせちゃ駄目だよ?男に戻ったとしても…AとかBとかCとか…」

さ「あ!いや!これはR18じゃないからそういうのは無い!」

こ「え?そ、そうなの!?よ、よかった…」(残念そうに言う)

さ「あの………」(やばいな…どうしてこうなった)

こ「あ、あの?私って何か変な事でも言った?」

さ「え、いや!別に…あ!こ、このへんで終わります!ではありがとうございました!」

こ「え?あ、ありがとうございました??」

ふう…脳内設定が変化してる気がするぞ…行幸みゆきよりも幸桜こはるの方が内面的には危険だな…

あ!次回はシャルテさんです!

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