第二十三話 【俺が男に戻る方法③】・
(※ま、まさかの三話連日後悔!じゃない…公開!やる気モードは…)
シャルテがおかしい!?すばらしいキャラクター性を持ったシャルテがもうあれだよ!そして遂に男に戻る方法がわかった!さぁ!後は男に戻るだけだぞ!という感じなんです!
『行幸、頼んだからね…』そう言ったシャルテを見て行幸は一瞬ドキッとしてしまった。
天使になった時もそうだったが、シャルテのギャップは行幸の想像を超えていた。
ツンな表情が崩れ、優しく自然に微笑むその表情は本当に可愛いそのものだった。
「どうしたんだ行幸? 顔が赤いぞ?」
しかし、残念な事にシャルテの口調はあっと言う間に元に戻った。
シャルテにはどうすれば自分が可愛く見られるのかといった疑問はないのだろうか。
勿体ないなこいつ……マジで可愛いのに……
「な、何でもない!」
しかし、まさかシャルテにドキッとしたなんて行幸は口が裂けても言えない。
それはイコール敗北を意味するからだ! いや、何のかって突っ込まないで。
だけど何か勿体ないなんて思った。
マジでこいつ、あのままでいりゃ可愛いのに……俺のドストライクだし……って、なんで俺がこいつを見てドキドキしてんだよ!
「どうしたんだよ? またイヤラシイ事でも考えてるのか?」
シャルテは目を細めてニヤリと微笑んだ。
「おい、シャルテ」
「な、何だよ」
「お前さ、さっき女の子みたいな口調で話しただろ」
「え? あ…ああ、あれは油断してだな……」
油断って何だよ……って、もしかしてシャルテの男口調って本来のこいつの口調じゃなかったりするのか?
じゃあ、何であんな男口調をわざわざ使うんだ? なにか訳でもあるのか?
「な、なんだよ! 僕の顔をじっと見るなよ!」
「み、見てねぇよ!」
でも、本当にこいつ、天使みたいで可愛かったな。マジで。
「見てただろ……」
「あのさ、話しは変わるけど、さっきのお前、すっげー天使っぽくって可愛かったな」
つい行幸は思っている事を口く出してしまった。
自分でハッとして口を右手で塞ぐ。
しかし、後悔してももう遅い。言ってしまったものは仕方ない。
でも大丈夫か。どうせシャルテの事だし『お前は何を言っているんだ? 馬鹿か!』とか罵ってくるだろうしな。
しかし、シャルテの反応は行幸の予想を逆の意味で裏切っていた。
行幸の目の前でシャルテの顔がみるみる真っ赤になってゆく。
「ば、馬鹿! か、可愛いとか……お、おかしいだろ! ぼ、僕はこんなに男っぽいのに……」
な、何というツンキャラだ!
シャルテの照れている仕草がまた滑稽で可愛いすぎる。って待てよ? 何だか前にもこんな事が一度あった気がするよな?
その後はどうなったっけ……
行幸の脳裏に記憶の奥底に仕舞っていたはずの最悪の出来事が思い出された。
震える体。行幸の額からは冷や汗が出る。
や、やばい…俺はまずい事を言ったかもしれない。
「え、えっと…き、気分を害したのなら謝るから」
行幸は右手を前に出して慌ててシャルテに謝った。
おいおい、現実の世界で殺されたら最悪だぞ。
その時に行幸はとある変化に気が付いた。
先ほどまでまったく会話に参加していなかったリリアが笑顔になっているジャマイカ。
「シャルテ、よかったですね」
そして、無言で会話に参加していなかったリリアが笑顔でシャルテにそう語りかけている。
シャルテはリリアの言葉に更に顔を赤くしている。
「な、何がよかったんだよ」
「だって、私もシャルテは可愛いと思いますから」
シャルテは髪を両手で持つと、その中の数十本を小さく纏め、顔を真っ赤にしたまま右手の人差し指に巻きつけて弄りだした。
「か、可愛くなんてないもん……」
な、なんだこのツンデレキャラは!?
恋愛ゲームで登場すれば人気が出そうな設定のこの天使はなんなんだ。
リアルで成人していて、幼児体型で、可愛くって、声が高くって、おまけにツンデレキャラとか。
「シャルテは可愛いと言われるのが嫌なのですか?」
リリアが躊躇なくシャルテに語りかけると、シャルテは顔を真っ赤にしたまま俯いて無言になった。
そして聞こえるか聞こえないかという位の小さな声でぼそりと返す。
「い、嫌な訳……ない…けど」
な、何というマックスツンデレキャラなんだぁぁぁぁ!
行幸の心の声は行幸の心の中だけで響いた。
そんなシャルテを見ている行幸は先ほどまでの緊張した空気をすっかり忘れてしまっている。
目の前のシャルテの反応が楽しくて仕方がないのだ。
「ぼ、僕の話は…これで終わりだから……」
弱々しいシャルテ女の子バージョンの声。
「え? 何だよ? 聞こえないんだけど?」
行幸は無謀にもわざとそう言ってみた。
そう、行幸はこっそりチャレンジャーだった。
目の前でリアルツンデレキャラがデレてる状態なのに、ここで終わりなんて勿体無い。
一般人レベルで考えれば、何がどう勿体ないのか解らないが、行幸にとっては今がイベントタイムだった。
シャルテは行幸の言葉に顔を真っ赤にしたまま何故だか涙目になってしまう。
か、可愛い……シャルテがすっげー可愛い!
「ぼ、僕の話しは……これで終わりだって……言ったんだ」
「聞こえないな」
「だから……」
「聞こえない! 大きな声で言えよ」
「だ、だから……僕の話はこれで終わりだって言ってるんだ!」
やりすぎ注意。
結果、シャルテはムキになって行幸に向かって怒鳴る。
しかし何故だか今のシャルテに怖さを感じない行幸。
「あれ? もう終わりなのか?」
「ぼ、ぼ、僕達はもう戻るからな。あ、後は…よ、宜しくな」
話しを聞いてないのか、聞こえていないのか、行幸の質問に対しての返事はない。
それどこかシャルテは相変わらず動揺しまくっていた。
コイツはもしかして褒められる事に対して抵抗が無いのか?
今の反応を見ていると、シャルテがいかに褒められ慣れていないのかがわかる。
でも、まぁ十分にこいつの反応を堪能したし、別にもう戻ってもいいかな。
とは思った行幸だったが。
いや待てよ? 何か心残りがあるような……何か重要な事を聞き忘れているような気がする。
「お、お前の妹が起きても……さ、さっきの記憶はあやふやになってると思うから……安心しろ!」
シャルテは行幸に視線を合わせないようにしている。
「ああ、わかった」
と言いつつ首を傾げる行幸。
俺が聞きたかったのは幸桜の事だっけ?
いや、こんな事じゃなかったはずだ。
ええと……ええと……あ! ああ! そうだ!
行幸がポンッと手を打ってから目の前を見ると、シャルテは真っ赤な顔のまま目の前から消えてゆこうとしている。
やばい! シャルテが消える!? ど、どうする? そ、そうだ!
行幸は消える寸前のシャルテに飛びついた。
しかしシャルテは素早く身をかわした!
「うぉ!?」
『ドガ!』っと鈍い音が室内に響く。行幸は勢い余って壁に激突した。
「な、何をするんだ!」
シャルテは胸を両手で押さえながら行幸をオドオドした表情で見ている。
「痛てぇえええ! 避けるなよ!」
行幸は思わずシャルテに怒鳴った。はい、逆切れです。
「なっ!? お、お前がいきなり抱きついてくるからじゃないか!」
シャルテは顔を真っ赤にして行幸に怒鳴り返した。
「お前が勝手に消えようとするからだろ!……くそ、頭が痛てぇ……
たんこぶが出来たのか、行幸は先ほど激突した部分を撫でる。
」
「だから帰るって言ったじゃないか! 僕にもう用事は無いだろ?」
「ある! 俺はまだ男に戻る方法をちゃんと最後まで聞いてないぞ! シャルテの願いは解った! でもリリアの願いをマトモに聞いてないだろ!」
シャルテは涙目になりリリアの方を向いた。
リリアはそんなシャルテを見て苦笑を浮かべている。
「リリアお姉ぇ…そ、そうだっけ? 言ってなかったっけ?」
リリアはこくりと頷いた。
「ほらみろ! それって重要な事なんだよ。お前の願いだけを叶えても男に戻れないんだろう?」
「そ、そうだけど…あ、あの、リリア姉ぇ、こいつにお姉ぇのお願いも聞かせてあげてもらえるかな?」
シャルテはリリアに向かって恥ずかしそうにそう言う。
リリアはすっかり女々しくなったシャルテのお願いを笑顔で聞いてあげた。
「はい、では行幸さんに私のお願いをお話しますね」
「ああ…」
「とは言いましたが、私のお願いは先ほど既にお伝えしたままですので」
お伝えしました? それって?
行幸は懸命にさっきリリアが話してた内容を思い出してみる。
あ、あああ! 思い出した。
「それって『成り行きに任せたいと思っていますので』って言ったやつのこと?」
「はい」
はいって……成り行き? それってどうすれば願いを叶えた事になるんだ? って声に出して聞かないとダメだろ。
「おい、成り行きってどういう結果だとリリアの願いを叶えた事になるんだ?」
「結論がきちんと出ればいいのです」
「結論…って?」
「そうですね……簡単にご説明すると私の担当の方と行幸さんが恋人同士になってもらうか、完全に別れて頂くかですかね」
「待て、それって結局はシャルテの願いと同じじゃねーのか?」
「あ、そうですね。同じになりますね」
という事は? 俺はこの二人が担当している人物と恋愛関係になるか、又は完全に別れるかしろって事か?
でもって俺が男に戻るにはリリアが担当している人間とも恋愛をしないと駄目なんだよな?
恋愛対象の一人はフロワードだ。シャルテの担当だ。
で、リリアが担当しているのは誰なんだ?
「リリア」
「はい」
「リリアが担当している人間って誰だよ」
「それはお答え出来ません」
「え? おい、シャルテは教えてくれたじゃないか」
「あれは行幸さんが当てたんですよ。シャルテが教えた訳ではありません」
満面の笑みのリリア。まったく動じていない。
「ぐ……で、でもあれだろ? その人間って俺と接点がある人物って事だよな?」
「そうです。行幸さんの特殊なフェロモンにきちんと反応する方です。とだけお教えしておきますね」
俺と接点がある奴?
行幸は懸命に思考をフル回転させる。
「難しいなぁ……でも店長じゃないよな? 店長は今日は暴走ぎみだったけど俺に対しては恋愛感情的な暴走は無かったと思うし……って、もしかして菫なのか?」
「それはお答え出来ません」
なんだよ違うのか? 正解じゃないから教えてくれないのか?
まったく誰なんだ? MMOの知り合いか? それとも俺はよく知らない奴なのか?
「じゃあ自力で捜せって事か?」
「いえ、捜さなくてもその方は必ず行幸さんの側に来ます。そして自ら何らかのアクションをしてくるはずです。それにちゃんと気づいてあげて下さい」
「それって俺が気がつかなければ終わりなのか?」
「そうですね……そのまますれ違いですね」
何だよこれ? 結構難題じゃないか?
シャルテの担当しているフロワードには次回のオフ会に行けば逢える。
でもリリアの担当している人間にはどうすれば逢えるかわかんねーし……
それに、俺のフェロモンに反応するのは必ずしもリリアが担当している人間とは限らないんだよな。
今まで既に店長と幸桜が反応してる訳だし。
菫もあれで反応してたのかもしれないしな。
「大丈夫ですよ。行幸さんであればきっと出来ますから」
リリアは満面の笑顔で行幸を見ている。
そんな簡単に言われても困るだろこれ?
行幸は深い溜息をついた。
「それでは私達はそろそろ消えますね」
「ちょ、ちょっと待て! もう少し話しを! もうちょっとヒントを!」
「シャルテもこんなになってしまってますし、それにもう時間切れなんです。申し訳ありませんが……それではまたお逢いしましょう」
リリアはまったく悪気のない表情でシャルテの方を抱いた。
シャルテは湯気が出そうな位に顔が真っ赤なままでリリアに素直に抱かれている。
復活遅いなこいつ……
いや、そうじゃない! 最低でももう少しくらいはヒントくらい貰わないと!
「お、おいリリア!」
しかし行幸の言葉は届かなかった。
二人は一瞬にして目の前から消えた。さっきみたいに行幸が飛びつく暇さえない程に素早く。
【パサ……】
意気消沈する行幸の頭の上に何かが降ってきた。
行幸が頭の上に手を伸ばすと紙切れがのっている。
手にとって見てみると、それはメモだった。何かが書かれている。
なんだこれ? メモ? 何で俺の頭の上にメモが降ってくるんだ?
行幸ははそのメモの内容を確認した。
『リリアです』
リ、リリアからの手紙かこれ?
行幸は続きを読み始める。
『リリアです。行幸さんに怒られそうな内容なのでメモで残しておくことに致しました』
おいおい……なんだこれ。
『私がご用意して店長さんにお渡ししたフェロモン効果が倍増するメイド服はいかがでしたでしょうか? あれは行幸さんのために、特別に注文をしてご用意したものです。行幸さんが特注のメイド服を着ているお姿は拝見は出来ませんでしたが、きっととてもお似合いだったのでしょうね』
………リリア。
『私たちの設定した初期のフェロモン効果の設定が低かったようなので急遽ご用意をさせて頂きました』
いやいや、低くないだろ? まったく低くなかっただろ?
『ちなみにメイド服は返却不要です。そして折角ですし、よろしければ今後ともご愛用してあげて下さい』
どう愛用しろってんだよ。
『あのメイド服は特殊な繊維で出来ていますので、人間界であれば拳銃のとは言ってもハンドガン程度ですが。ですが、その程度の弾丸であれば貫通しない防御性能を誇っております。ですので、きっと急用で戦場に行く場合などにお役に立つと思います。是非一度戦場へ赴き効果を実感して下さい』
だ、好き好んで戦場に行くだよ! って言うか、防弾メイド服とかどんなんだよ!
『あと、実はそのメイド服は私のハンドメイドなんですよ? 愛情をいっぱいこめて裁縫しました。大事にして下さいね。天使リリアより行幸さんへ愛こめて』
行幸は手紙を読み終えて大きく息を吐いた。
そしてそのまま頭を抱える。
……何だよこれ? 突っ込み要素まみれで疲れる……
なんでメイド服を着たらフェロモン効果倍増?
なんでメイド服に防弾性能?
なんでこれをリリアがハンドメイド?
意味わかんねぇ……
ここでふと行幸は思いついた。
でも待てよ? この手紙の内容から想像すると、店長にメイド服を渡したのってリリアだったって事になるよな?
そうか、そうだったのか。これでなんとなく合致がいったな。
女になった俺のサイズにぴったりすぎでで何かおかしいと思ったんだよ。
それに、今になって思い出すと確かにメイド服を着たくらいから店長が暴走し始めた気もするな。
フェロモン効果は確かに上がっていたのかもしれないな。っていうか何でメイド服なんだよ!?
リリアってそういう趣味があるのか? それとも俺がアニメキャラそっくりで、そいつがメイドだから? そこまでリリアは理解していた?
あと、防弾性能だけは理解不可能だ。
そうか! 実はリリアは若干天然なのか!
しっかし、メイド服にメイドキャラ……
あっ! シャルテに何で俺をこんなマイナーなアニメキャラにしたのかを聞き忘れた!
……仕方ない…今度聞くか。
論点が多少ずれている行幸。
そして、行幸は昼間に着ていたメイド服姿を思い出していた。
確かに出来はよかった。そしてリリアの手作りねぇ。
大事にして下さいって手紙にあったけど、今はどこにあのメイド服はあるんだ?
まぁあれだよな。きっとどっかにあるだろ。
思い出してみれば、あのメイド服って着心地は悪くなかったよな。
また着てみようかな……って、また着てどうするんだよ俺!
着たらまた店長が喜ぶだけじゃないかよ!
いかんいかん、また着てみてもいいとか思ってる自分がいた。って下らない事を考えて居る間に時間がどんどん過ぎるじゃんか!
行幸が時計を確認すると、すでに深夜一時になっている。
ああ今日はすっごく疲れた……
今までの人生で一番疲れたなこれ。
行幸はパソコンのディスプレイをちらりと見た。
するといっぱいメッセージが来ているのに来がつく。
メッセージ受信のアイコンがピコピコと点等している。
だけど今の行幸には見る気力はなかった。
あんなに没頭して毎日プレイしていたMMOなのに、まったくやりたいと思わなくなっていた。
行幸はそのままぐったりと絨毯に横になると、毛布にくるまって膝を抱えた。
はぁ……どうなんだよこれ? それに恋愛対象の一人が正体不明ってマジできついだろ? あぁ……どうなんだよこれ……
恋愛リストがあるって言ってた位だし、俺に好意がある奴って結構いるんだろ? あ、それは俺にじゃななくってネカマのMIYUKIに好意か……
行幸はぐっと膝を抱える腕に力を込めた。
そうだよ、取り敢えずは俺に迫って来た全員を振ればいいんだよ。
男相手に恋愛をするなんて選択枝は俺にはない。
俺は絶対に男に戻るんだ! だからどんな奴でも全員を振る!
頑張るしかないだろ!
でもあれだよな、振るのを頑張るって何だよなぁって思うよな。
まったくもって本当なら逆をがんばりたいよな普通。
まぁ相手がいればだけどな。それも女子な。
ここで行幸は自分に関係性のある女子を頭に思い浮かべる。
相手かぁ……幸桜? 無いよな。幸桜は妹だ。いくら俺を好きでも恋愛対象じゃない。
母さん? いやいやもっと近親相姦だろ。の前にどんなエロゲだそれ。
あれ? 後は……いるっけ?
行幸が女子で恋愛対称になりそうな相手が誰も居ないかと思っていると、ある一人の女性が思い浮かんだ。
な、何で菫が脳裏に?
ま、まさか……だいたいあいつは俺を男だと思ってない。……思ってないよな?
……まぁ……菫……は……
も、もういいや。考えるのやめとこ。
行幸は毛布をもう一度体に巻きつけなおした。
……あれ? そういや何か大事な事を忘れてる気がする。
何だったっけ? ええと……思い出せない?
まぁ忘れる位だし、大した事ないんだろな。
幸桜、おやすみ……
☆★☆★☆★☆★
《この電話は電波が届かないか電源が入っていない為にかかりません…》
「何よ! 明日の待ち合わせ場所とか時間とか決めようと思ったのに……電話するって言ったじゃん! まったく行幸は……もうっ……」
菫はすこし頬を赤く染めて携帯の液晶を眺めていた。
行幸か……行幸……
キュンっと胸が痛む。
あーもう……なんで私はあんなのが好きになったんだろ?
あの時、あいつに出会ってなかったら私はこんな気持ちになんてならなかった……
右手に携帯を持ち、左手で胸を押さえる。
ドキドキと心臓が鼓動しているのが自分でもわかる。
でもね、私は後悔はしてないよ?
私ね、行幸を好きになってよかったって思ってるから。
あの馬鹿で鈍感でアホでおっちょこちょいで……
それでもってかっこつけでエロゲー好きなオタクな奴。
私はそんな行幸が大好きだよ……
ぐっと心の奥底から溢れて出てくる感情。
ずっとずっと行幸に出会うまでは感じる事の無かった感情が菫を乙女にする。
神様、あいつが私の気持ちに気がつくのって何時になるのかな?
当分無理なんですか?
あと、行幸を早く男に戻してください。
行幸を男に戻す方法を教えてください。
……なんて都合よく神頼みとかないよね。
あーあ、お願いだから早く男に戻って欲しいな……そして私と………一夜を……
う………うわー! あああああ!
もうもう! 私はなんてイヤラシイ妄想してんのよ!
携帯の液晶には行幸の電話番号。
もう一度かけてみるが、やはり繋がらない。
まったく! 仕方ないか……携帯つながらないし寝よっと……うん、寝る!
もし明日の朝も繋がらなかったらアパートに直接向かえに行けばいいよね。
明日は行幸と始めての二人っきりでのお買い物かぁ……あー緊張するなぁ……
菫はパソコンの電源を落とすと心臓の高鳴りを押さえられないままベットに入った。
おやすみ、行幸。
本当のシャルテについて。
はい!恋愛担当天使のシャルテさんについての情報です!
シャルテは天使ですが、実はアニメオタクです。そして何とエンジェルぷれしすは天使であるシャルテが関わった会社なのです。
関わったと言っても実際はエンジェルぷれしすの現社長が前の恋愛対象だったという訳です。それでその会社のアニメにも興味が出て…
シャルテが男っぽい口調なのはRP(自作自演)です。
実は本来は普通に女の子口調だったりしますが、わざと男口調で話しをする
ようになったのです。理由はまた後日(需要あれば)ご説明を…
それにしても後書きの内容がくだらなさ過ぎる件。