1話:典型的な転生
「...はぁ、だりぃなぁ...」
社会人なりたての俺にはあのブラック企業は辛いな。
25歳、大学卒業したての黒田 潤は駅のホームで電車を待ちながら苦悩していた。会社に行けば罵倒だらけ、仕事の量は一丁前に多いくせに給料は大して良くない、なんなら低い方だ。
初任給って40万とかだったっけ、、、低くね?高いの?平均知らんからなんも言えないんだが。
「流石に会社選びミスったよな、これ」
「そんなこと言ったってどうしようもないだろ」
「そうっすよねぇ...うわっ!」
愚痴ってるの先輩に聞かれた、やべ。もう色々ダメかもしれん。とか考えてたら
「まあ俺だってこの会社抜けたいけどそれはそれでなぁ」
と俺と同じく愚痴を言った。やっぱ疲れてんだな
「今日はまだ仕事も少ない方だっただろ、文句言うな。それじゃあな」
...ただ後輩をビビらせて帰る先輩ってどうだ?と、その時電車の到着を告げる放送がなる。やっと帰れるのか、そう思った矢先
「うわっ!?」
背中を押されたような衝撃と共に体勢を崩し、線路に転落する。時が遅くなっているように感じて、しかし周りの人の悲鳴は普通に聞こえる。
あ、これ死んだな。推したの誰だよこれ。
電車に轢かれる。と同時に、周囲が明るくなる
「...は?どう言うことだ?」
俺は死んだんだよな?じゃあここは天国かなんかなのか?
頭痛がする、と同時に脳内に声が響く
(あー...これ当たっちゃったか...)
「誰だ!?誰かいるのか!?」
声を張り上げて問う。回答が返ってきた
(いることにはいるけど、まあ君、転生してもらうから)
転生?適当だなぁ、こりゃ。アニメでしか見たことないぞ
「転生?何言ってるんだ。そもそもここはどこだ?」
(それは答えられない、ま、頑張ってー)
この推定神かなんかと思われる人物、かなり適当だな。
「うわっ!今度はなんだよ!」
周囲がまた光に包まれ、手探りで周りの状況を確認しようとするが手が動かない。どころか、足すらも...
どうなってるんだこれ、結局死んだのか?
「よく頑張ったな、お前に似た緑の綺麗な目をしてるぞ」
「そんなこと言ったらあなた、濃い青色のさらっとした髪はあなたににてるじゃない」
知らない男と女の声が聞こえる。ここはどこだ?
目は開くのか、試してみる。よく見えないが...女に抱き抱えられているのか?25の大人が?
「おー!目を開けたぞ!見えてるか?キルバート」
キルバート?誰だそいつ。そう思った時、続けて女が
「ほんとね、開いてくれた...良かったわ。キルバート、お母さんよー。ちゃんと覚えてくれるかしら」
という。よく分からん、状況も。辺りを見てみる、横の方に鏡があるようだ。はっきりは見えないが、女は子供を抱えているようだ、しかも産まれたて。しかし鏡に映っているのは、3人?ってことは、もしかして...
俺が、キルバート!?死んだ転生って、そう言うことかよ!推定神め、訳分からんことしやがって。
声を出そうと試みる。しかし呻くかとしかできない、しかもそれを親と思われる人物2名は
「可愛い!」
としか言わないのである、困ったなぁ...




