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プロローグ
ヒタ……ヒタ……
静かな足音が誰に気付かれることなく近付く。
それは誰が、何がきっかけだったのか。
あぁ……小さな声が、物音が存在を知らせる。
見えずとも『彼ら』はそこにいて、こちらを見つめて、あるいはどこかに気持ちを取り残したままどこも見ずに過去だけを見つめているのか。
欲しいと思う、取り戻したいと願う『生』と知りたいと見てみたいという『死』への好奇心。
それらが交差した時、どうなるのかは誰にもわからない。
偶然か必然か、一つの儀式によって全てが始まる。