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Rising Force - Genesis -  作者: J@
誕生編

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98/124

終わりの始まり

    § WORMS 司令官 Void(ヴォイド)視点 §


 降り注ぐ幾千幾億の光の雨に、我々はただそれを受け入れる事しか出来なかった。

 抗いようのない圧倒的な力、暴力。

 いや、そんな陳腐な言葉で表していいはずがない。

 これは、最早(もはや)人が成せる所業ではない、領域を遥かに超える力。

 そう、神の裁きだ。


 私はただ、その場にへたり込み、次々に消えていくモニターを眺める事しか出来なかった。


 施設内、地下20階まで響いてくる轟音と振動。

 ここ中央管制室のモニターには全て「No Signal」の赤い文字が表示され、地表に装備されている防衛システムの監視パネルもオールレッドに変わった。


「一瞬だ……ほんの一瞬で、全て持って行かれた……。私は、私達は……一体何と戦っていると言うんだ……」

「司令官……何ですかあれは……僕たちは、あんなの知らない……」

「司令官……私達の敵は、神……無慈悲な神なのでしょうか……」


 ここに残り、最後まで一緒に戦うと言ってくれた皆。

 私は、その命を預かっているんだ。


「まだだ……! まだ、私達は何も終わっていない、まだ死んでいない! 諦める必要が何処にあるっ!」

「はっ! そうだっ! 僕たちはまだ傷すら負っていません! 動けます!」

「そう……そうねっ! その通りよっ! たとえ後ろが断崖絶壁の壁だとしても! 穴を穿ってでもやってやりましょうっ! みんなでっ!」

「お前ら……チクショウ! よく言った! たとえ相手が神だったとしても、最後の最後まで諦めてたまるか!! こちとら22人の若い命を預かってんだ! 持てる力全て使って抗ってやるっ!!」


 そうだ、立ち上がれ! 皆を守り命を繋げ! 相手が神でも捻り潰せっ!


「通路隔壁、シャッターを降ろせっ! 20階まで全てだっ! 完了後、全員私に付いて来いっ!!」

「「イエッサーッ!!」」



    ◇◇◇



    § アル視点 §


 拠点入り口近くに空いた穴から中に入る。

 電源供給はまだ生きているようで、内部は十分な明るさを保っていた。


 この作戦を円滑にコンプリートする為、CTLのマップ関連機能に大幅なアップデートが施されており、2D表示に3Dモードが追加され、利便性が大きく向上している。

 キラさんがWORMSのネットワークから得た拠点内部図面をサクラが3Dマップに起こし、ジュンタがCTLに反映した。


「皆さん、CTLの表示に問題はありませんか?」

「ええ、問題ないわ! ジュンタくんはいつも優秀よ」

「ジュンタさん、バッチリです! 3Dでの位置表示も問題ありません!」

「よし、じゃあ4班に分かれて、それぞれのエリアを5階層まで完全に無力化。その後、5階の通路中央で一度落ち合おうぜ!」

「アルくん、私からも一言いい? みんな! 危険に陥ったら躊躇せず助けを呼びなさい。戦闘で負けるのは仕方ないわ、もちろん逃げてもいい。でも、死ぬのは絶対に許さないから。いいわね!」

「「了解っ!!」」

「北西、チーム晶! 南東、チームロック! 南東、チームショウゴ! 目一杯、暴れろっ!!」


皆が頷き、そして声を上げ応える。


「「しゃあぁーっ!!」」



    ◇◇◇



    § 北東エリア アル視点 §


 さっきの広範囲極大魔法の使用で、(すみれ)は相当なエネルギーを消耗したはずだ。

 こちらの時間的感覚で言えば、2~3日は喚び出す事は難しいだろう。

 俺と(すみれ)が万全の状態であれば、当初予定の作戦でよかったのだが。


「とは言っても、今更だよなー 一人で大丈夫なんてカッコつけちゃったし。後2~3人、俺の方に回して欲しいなーなんて口が裂けても言えないわー」


 独り言を呟きながら、次々とドアを開けては入り、人影を発見しては素早く()していく。


 そもそもあっちの世界の俺「アルフォンス」の能力を持っているってだけでもチートなのに、そこにPACSで身体強化とシールドが加わり、更に晶のベールが付与されて二重シールド状態。極めつけに常時回復のヒールまで付与されてる。

 ここまで手厚いと、逆に怪我をする方が難しだろう。

 さらに、リンちゃんの念動力が加われば、宇宙だろうがどこだろうが飛んで行けちゃうってんだから、スゲェ以外の言葉が思いつかない。


「ここまでしてもらったら絶対に負けらんないってか、負けるなんて絶対にあり得ねぇわー」


 そんな事を考えながら、北東エリア1階層制圧を完了。下の階へと降りるのであった。



    § 南東エリア チームショウゴ視点 §


 班に4人いれば、右回りと左回りに手分け出来たのだがそうもいかず、隊列を先頭が俺、真ん中にキラさん、後方にセオドラさんという形で進んだ。

 やはり、BUGSに突入した時と比べると、規模に対する敵の数が少なすぎる。

 アルが怒るのも無理はない、攻め入るまでに日数を置き過ぎたという感が否めない。

 既にかなり多くの犯罪者が逃げ、顔を変え、名前を変え、身分を変え、野に紛れた事だろう。


「大した数もいないし、その殆どが非戦闘要員みたいね」

「やはり、この拠点に攻め入る時期が遅すぎたのでしょう。最悪このまま最下層まで(もぬけ)の殻という事も考えられますが、ボス」

「まあそうなって然るべきよね。頭の固い政治家と縦割りの組織に挟まれたら、身動き一つ取れないわ。でも、少なくともさっき私達に弾幕を浴びせてきた連中くらいは居るんじゃない?」


 外で大歓迎された大量の迎撃とは違い、内部は明らかに量も質も足りていない。


「キラさん、1階の掃除はここで終わりのようです。次の階に降りましょう」

「そうね、出来ればこの楽勝な感じのまま最後まで行ってくれれば、それはそれでいいんだけど」


 あまりの手ごたえの無さに、逆に不気味な感じを受け、注意レベルを引き上げつつ下へと歩を進めた。



    § 南西エリア チームロック視点 §


「さっちゃん、アルはどうしてこのチーム分けとブロック分けにしたんだ?」

「えっとね、簡単にしか説明できないんだけど『感』なんだよね。あ、山勘(やまかん)の『勘』じゃなくて予感とか直感の方の『感』ね。多分、あたしの視る能力(ちから)の根本に関係してくる部分。未来視も過去視もあたしに映像を視せてくれるけど『感』は感じさせてくれるっていうか……んー、ゴメン、なんて言ったらいいか分かんない! 難しい」


 手当たり次第にドアを開け、虱潰(しらみつぶ)しにCTLのマップを埋めていく。

 ロックさんが何気なく発したその疑問に、あたしは出撃する前の会話を思い返し、少し不安になる。


「天南先輩? 大丈夫ですか」

「え、あっ、うん。ごめんジュンタ君、ロックさん」

「いやいいんだ、さっちゃんの感じたものは間違ってないと思う。だが、今は周囲への注意だけは怠らないようにな。気が散ってると、思わぬところで足元をすくわれちまうぞ」

「うん、わかった!」

「1階はこれで終わりですね、下に降りましょう」


 頬を両手でペチペチと強く(はた)き、頭を振った。


「あたしの感じてるこの()が何なのか分かんないけど、ヘビが出るか(じゃ)が出るか! 行ってみないと分かんないみたいっ!」

「どっちもヘビじゃねーかっ!」

「どっちもダメなやつですよね?」

「……あれ? そだっけ? あはははは!」



    § 北西エリア チーム晶視点 §


「お姉ちゃんたちの事は私が守ります! 怪我しても傷一つ残したりしませんから!」

「晶、それはウチらだって同じだっちゃ!」

「そうだし! みんなで晶をカバーするんだし!」

「当然ですわ! こんなに可愛い妹分を守らない理由はございませんわ!」

「お喋りしてるとどこかで躓くの! 今はとにかく5階まで集中するなのっ!」

桜煌(おうか)の言う通りっすよ! はいっ! 奥の部屋に敵3!」


 私はその場を強烈に踏み付け、敵の懐まで一気に距離を詰め鳩尾に突きを入れる。

 慌てた敵は防御する間もなく、呼吸が出来なくなり泡を吹いて倒れた。


「この階の敵は全然大したことありません! 速攻で終わらせて下に......」


 話し終える前にどこからか音が聞こえた。


 ――ガゴォーン ガゴォーン ガゴォーン……


 重い何かが稼働する音。


「何の音です?」


 (かおる)お姉ちゃんが廊下に出て周囲を確認する。


「ちょっ! 廊下にシャッターが降りて来てますわっ! 早く移動しないと!」

「んなっ! 足止めのつもりっすかっ!」

「晶! 早く行こうなのっ!」


 部屋から出て廊下を駆け抜けようとしたが間に合わず、前も後ろも分厚そうな金属シャッターで閉ざされてしまった。


「よし、(かおる)! ブチ壊しても誰も文句言わないんだぞ!」

「そうだっちゃ(かおる)! アルテミス一のブチギレ怪力おん......に゙ゃっ!」


 最後まで言い終わる前にチョップが入った。


葵育(あおい)? 今何か言いまして?」

「触らぬ神に(たた)りなしなの」


 両腕を組み、頬を膨らませる(かおる)

 行く手を阻まれた私は、CTLで3Dマップを拡大し周囲を確認していた。


「あ、これいけるかもしれませんね。こっちです」


 さっき出てきた部屋に戻り、CTLのマップを確認しながら壁の前に立つ。


「もしかしてっすけど、もしかするっすか……?」

「なるほど、合理的解釈だっちゃにゃ!」

「ここら辺ですかね? まあ廊下の分厚い金属の壁をどうにかするよりは……」


 壁に向かって拳を引き腰の位置に構え、スゥーっと細く息を吸い動きを止める。


「はああぁぁーっ!」


 残像を残して放った拳。威力が逆流しないよう、当てた瞬間に直ぐに引き戻す。

 破壊力を余すところなく壁に伝えた結果、相当に分厚い鉄筋コンクリート製の壁は吹き飛び、一歩、階段まで近くなった。


「やりました! これ繰り返せば下に行けますね」


 ニコっと笑いながら先へ進む私の後ろから「ウチの妹分は怒らせたら怖い!」と聞こえてきた。



    § WORMS 司令官 Void(ヴォイド)視点 §


 地下格納庫に到着した私と(エヌ)の22名。


「よしっ! 皆聞いてくれ! この危機を打破出来るのかどうかは全く分からない! だが、やらなければ駆逐されて死ぬだけだ! 酷な事を言う私を恨んでくれていい! 今からお前たちに、クォンタムアーマーに搭乗し、敵を葬り去る任務を命ずる! 照明を全てONに」


 音声命令を認識したAIが地下格納庫の照明を全てONにする。

 とんでもない広さを持つ格納庫の壁沿いに、さらに扉で閉まった格納庫が見えた。


「ケージ、オールオープン!」


 ――ガコンッ! ガガガガガガッ……!


 開いた扉の中には、エレベーターリフトに乗った機体が見える。


「司令官!? クォンタムアーマーって、あの最強兵器っていう!?」

「そうだ、こいつらの戦闘力は、かの最強部隊トップクラスに等しいかそれ以上だと言える。現に、壊滅した日本支部では、フォトニック・コマンダーを使用し「アマツ」をこの世界から消した実績がある。各々、自分好みの機体を使ってくれて構わん! 生き延びるには勝つしかないんだっ!」

「私! やりますっ! やるしかありませんっ!」

「僕も! 皆と一緒に戦います!」

「「私も!」」

「「俺だって」」


 次々と機体に乗り込み、全22名が出撃準備完了となったのを確認する。


 ファング・タイタン    4体

 グリフォン・ナイト    8体

 マンティス・アサシン   6体

 ジャガノート・クロウラー 4体


「私はこれから研究棟へ行く! そして、残っている全ての能力者の血清を打って、敵を迎え撃つ! お前らっ! 戦場でまた会おうっ!!」


 血清を打つと聞いてコックピットの中で驚き「止めろ」と叫んでいる様に見える彼らを横目に、エレベータリフトの上昇ボタンを押した。

 ぐんぐんと昇って行く中、見えなくなるまで彼らを敬礼で見送った。


「私がこの戦いに勝利して、あいつらに未来を繋ぐ! この命に代えてもっ!」

 ■ 機体説明


  クォンタムアーマーとは

    量子力学の概念である量子と、装甲を意味するアーマーを組み合わせ、

    高度な技術と防御力を備えた、戦闘を目的として制作されたロボット。

    搭乗したパイロットの脳神経パルスを読み取る事で動く。

    マニュアル操作も可能。


  フォトニック・コマンダー

   └ 人型高機動ロボット

     バックパック及び脚部スラスターを使用し飛行も可能。

     腕、肩、腰、脚部に物理ミサイルおよび機銃を装備。

     背面に高出力光学レーザー砲を装備、使用時は肩と腰部に装着される。

     胸部に搭乗する。

  

  ファング・タイタン

   └ 巨大な体躯を持ち、腕部に巨大なパイルバンカーを装備している。

     パイルバンカーは電磁力により高速射出され、敵の装甲を撃ち抜く。

     脚部、肩部、背面、はキャタピラ仕様で、陸上での移動は素早い。

     転倒しても即体制を整える事が可能。

     胸部にコックピットがある。


  グリフォン・ナイト

   └ 想像上のグリフォンを模した高機動性に優れた飛行マシン。

     四本の脚がある為、空陸両用。

     物理ミサイルおよび機銃を装備したヒットアンドアウェイ型。

     胴部に搭乗するタイプだが、機体は比較的小さ目。


  マンティス・アサシン

   └ 人型の小型軽量超高機動マシン

     素早い動きと高い回避性能で敵を翻弄する。

     軽銃器と高電圧を発する細剣型スタンソードを装備。

     位置づけとしてはアーマードスーツに分類される。


  ジャガノート・クロウラー

   └ 超巨大なロッククローラタイヤの形状をしたマシン。

     高速で走り回り、跳ね飛ばしたり圧し潰したりする。

     タイヤ表面には高電圧が流れている。

     中央より斜め上後方にコックピットがある。





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