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Rising Force - Genesis -  作者: J@
誕生編

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92/124

アウトレットパークにて

 Artemis(アルテミス)のリハーサルを行っている間、私とさちこ先輩は近場のアウトレットパークに遊びに来ていた。

 しかも、キラ姉に5万円ずつお小遣いまで貰って。


 沢山のステキなお店が並んでて、キャッキャしながらあっちこっちに入り楽しい時間を過ごした。

 喫茶店に入りクレープを食べていたら、通路でキョロキョロしている小さな女の子に目が行った。


「さちこ先輩、あのキョロキョロしてる子って、もしかして迷子ですかね」

「迷子かな? ちょっと行って……あ、お父さん来たみたいだね、よかったよかった」


 2人でクレープを食べながらなんとなくその様子を見ていた。

 女の子の前でしゃがんで話しかけるお父さんらしき人に、フルフルと頭を振ったり、何処かを指差したりしている。

 お父さんが手を差し伸べるとまたフルフルと頭を振る。

 言う事を聞かない様子に、お父さんが女の子を抱きかかえると、女の子は泣き叫びながらジタバタと暴れ、それをハイハイと言う顔でモールから足早に立ち去ろうとしている場面。

 私の小さい頃はお兄ちゃんにベッタリだったから、あんな感じではなかったなーと思い出していた。

 突然、クレープを手にしたまま、ガタッ! と席から跳ねる様に立ち上がったさちこ先輩。


「さ、さちこ先輩!? どうかしました!?」

(あきら)ちゃん! 誘拐! 誘拐よっ! えーっと『 ちーちゃん 』? ちーちゃんだって! 行くわよっ!」

「はいっ! ああっ! ちょっと待って! そこの店員さんっ! その今目の前に見えてる女の子! 迷子で、誘拐されそうになってる! 名前は『ちーちゃん』! すぐ警察に連絡して!」


 突然の騒ぎに驚き、動けない店員と騒然となるお客。


「ちょ、ちょっとお客様!? えっと、ええっと、あっ、危険なんじゃ!? え!? ちーちゃん!?」

「いいから早く警察に連絡っ! (あきら)ちゃん!」

「はいっ!」


 テンと(あきら)は走って、立ち去ろうとしている男性の前に立ちはだかった。

 あまりに勢いよく、しかも慌てた様子でモール内を駆ける2人の美少女に、周りは注目する。


「そこのあなたっ! ちょっと待ちなさいっ!」

「その子を一体どこに連れて行くつもりなのでしょうか!」


 大声を出し、わざと注目を集めて静止させた。

 周囲は、なんだなんだと私達を中心に、一瞬にして大きく取り囲んだギャラリーの輪が出来上がる。

 ちーちゃんは大泣きしている。


「なっ、なんだお前たち! 俺に何か用かっ! こっ、こんな迷惑な事して、訴えるぞっ!」


 その顔には、動揺、焦燥、恐れが見え、視線はキョロキョロと落ち着かない。


「では聞きますが、あなたはその子とどんな関係なのでしょうか!」

「そんなの、ちっ、父親に決まってるだろう! 大泣きして言う事を聞かないから、家に帰るところなんだ! どけよ! 邪魔だっ!」


 さちこ先輩の肩に手を掛け、払いのけようとしてその手をガッチリと掴まれる男。


「へぇ~、じゃあその子の名前を教えてくれるかなぁ? 誘拐犯さん」

「なにぃ! 誰が誘拐犯だって! 名誉棄損だ! 侮辱で訴えるぞマジで! あぁコラっ!」

「いいからその子の名前を言ってみなさいよっ!」


 ダンッ! と、さちこ先輩が右足で地面を踏みつけると、パァンッ!! と石の路面パネルが粉々に砕けた。

 男はその迫力に負け、ちーちゃんに向かって話す。


「ほ、ほらっ! 名前を教えてだって! 自分で言えるよね!? ほらっ、名前言って!」


 ――ブチッ!


 何かが切れたような音がしなくもなかったが、さちこ先輩が一歩前に出た。

 そして、ちーちゃんに向かって手を伸ばし、優しくこう言った。


「この男の人は、パパじゃないなら、あたしの手を握って?」


 大勢のギャラリーがスマホを向けている中、男の表情が引き攣ってくる。

 ちーちゃんは手を伸ばし、さちこ先輩の手を握った。

 と、同時にちーちゃんを男から奪い、抱っこして


「よく頑張ったね、ちーちゃん! えらいえらい!」


 と頭を撫でたら、さっきまでの大泣きが嘘のようにピタリと止み、ちーちゃんは、さちこ先輩にひっしとしがみ付いた。

 男はもうダメだと、振り返り様にダッシュして逃げようとする。

 その瞬間、2階から叫び声が聞こえた。


「キャーッ! 強盗ーっ! 強盗ーっ!」


 今だ、とばかりに逃走を図る男、2階からは助けを求める声。


「この誘拐騒ぎに乗じて強盗とは、人生舐めすぎじゃないですかね」

「そうね、人生舐め過ぎてると痛い目見るって事、教えてあげましょ!」


 突然の出来事にざわつきながらもあちこちにスマホを向け始めるギャラリー達。


(あきら)ちゃん、上をお願い! 私は誘拐犯を!」

「了解っ!」

「ちーちゃん、ちょっとビックリさせちゃうけど、怖くないからね」


 と、さちこ先輩が言うと、ちーちゃんはコクンと頷いた。


 私たちは腕を振りポージングする。

 こんな時に何をするつもりなのかとスマホを向けている人たち。

 逃げる誘拐犯と強盗。


「「変身っ!」」


 掛け声が響くと、2人は身体から眩しい銀色の光を放つ。

 次の瞬間、美少女はハーフの白狐面を付けた緋袴ならぬミニスカートの巫女に姿を変えた。


「「ええぇぇぇーっ!」」


 目の前で起きた出来事にどよめくギャラリー。


 私はその場から2階へとジャンプし、逃げる強盗犯3人を凄まじいスピードで追いかけ、目にも止まらる速さでノックダウンし、1階のギャラリーの輪の中に、逃げられないように投げ入れた。


 さちこ先輩はちーちゃん抱えたまま、(あか)い残像を残してモールのショップビルを一瞬で飛び越えて、モールから逃げた誘拐犯を一撃で沈め、これも1階のギャラリーの輪の中に、逃げられないように投げ入れた。


 呆然となったモール内では、ギャラリーも店員も、それを目撃した人らが一斉に声を上げた。


「「ええええええぇぇぇぇぇーっ!?!?!?」」


 という驚きの声もさながらに、盛大な拍手と歓声が沸き起こった。


「すごかったぞー!」

「きゃーっ、カッコイイー!」

「勇気ある行動に拍手をーっ!」

「あんたらスゲーなーっ!」


 ギャラリーの輪の中でちょっと照れながら警察の到着を待っていると声がする。


「ちーちゃん! ちーちゃん!」


 警察と共にお母さんとお父さんが走って来て、ちーちゃんも手を伸ばしてそれを迎え入れた。

 拍手は更に大きくなり、警官は敬礼を、両親には感謝を、ちーちゃんからはバイバイを貰った。


「じゃあねー、ちーちゃん! 今度はお母さんの手を放しちゃだめだからねー」

「ちーちゃんバイバーイ!」


 ちーちゃんのバイバイが片手から両手に増える。


「お姉ちゃんたち、ありがとーっ! ヒーローみたーい! またねーっ!」


 その言葉で、今スマホ撮影された動画は、即SNS「XYZ(イクシーズ)」にUPされる。

 ハッシュタグに「#ヒーロー」や「#ヒーロー現る」、「#美少女」が付くのだった。


 恥ずかしすぎてその場にいられなくなった私たちは、ギャラリーに向かって軽くお辞儀をすると、ジャンプして輪を飛び越え、その場を走り去った。

 ただ、着地と同時に変身を解き、手を繋いで走り去っていく後ろ姿ももちろん撮影されており、それはそれでまた別の意味で炎上するのだった。


(あきら)ちゃん! ちーちゃん、あたしたちの事ヒーローだって!」

「ヒーローに憧れてた私たちが、ヒーローって呼ばれる日が来るなんて、不思議な感じですね! だけど、悪くはありませんね!」


 ニッコニコで手を繋いで戻ってきた私たち。


「あら、とっても楽しそうだったみたいね、よかったわ」


 と、ステージ調整やリハーサル等が終わり、丁度バスに戻って来たキラ姉にそう言われた。


「キラ姉のおかげでいい一日、いい思い出が出来たよ!」

「キラさんのおかげで、可愛い女の子に会えたんですっ!」

「ふーん、良い事があったのね、よかったじゃない!」

「テン、(あきら)、何か良い事あったなの? 聞きたいのー!」

「あ、ウチも聞きたいっちゃにゃー!」

「ハッピーのおすそ分けして下さいっすー!」


 皆のテンションが高いことで、リハーサルの方も上々だったのが伝わってきた。

 明日のライブもどうか上手く行きますように!


「おーっし、皆バス乗ってホテルに移動するぞー」


 何故かお兄ちゃんとジュンタさんはヘトヘトに見えました、お疲れ様です。



    ◇◇◇



 12人の団体で結構大きなビジネスホテルに入り、各自部屋に入って明日に備える。

 とは言ったものの、知らない土地で各個別の部屋を割り当てられると、それはそれで心細くなる。

 お風呂に入った後、さちこ先輩の部屋をノックする。


「皆に買ってきたお土産、渡しに行きませんか!」

「あ、いいわね! 行こ行こーっ!」


 何を買ってきたかというと、サクラの花をイメージした形で、花びらが紫水晶で金の縁取り、中央に小さいダイヤが沢山付いてキラキラした小さめのヘアクリップ。

 もちろん1個800円くらいの安い造り物だ。

 皆でお揃いで付けれたら嬉しいね、ってことで同じものを選んだ。

 まずは明輝(あき)お姉ちゃんから、と思って部屋をノックして中に入れてもらったら、Artemis(アルテミス)の皆が居た。


「あ、皆いたっ! 明日の打ち合わせですかー!」

「遊びにきたよー!」

「いらっしゃいっすー! 今、明日のセットリスト確認しながらMCどうしようかと悩んでたとこっす」

「ここあは喋り苦手だぞ、トークなら葵育(あおい)一択だし!」

「にゃっ!? ウチだっちゃ!? ここはやっぱりリーダーだっちゃにゃ!」

「と言いますか、そもそもMCの内容はどうしますの?」

「丁度いいところに来たなの! テン、(あきら)、アイディア頂戴なのっ!」

「あ、アイディアですかっ!? 私が考えたら絶対 堅苦しい・真面目・つまらない の三拍子じゃないですかー!」

「逆にあたしだと よろしくーっ!! で終わるけどいいの?」

「さ、さーて、頑張って考えるっすよー!」

「お、おーっ」


 眉間にシワを寄せ始めるお姉ちゃん達に笑いそうになる。


「えっと、その前に、はいっコレ! ライブ会場の近くのアウトレットモールで皆にお土産買ってきたんです! 皆お揃いで何か付けたいなーって思って」

「ちなみに、あたしと(あきら)ちゃんはもう付けてるよ!」


 ニッと笑顔で髪につけたヘアクリップを指差す、さちこ先輩と私。

 5人に手渡すと、皆すぐ付けてくれた。


「わーっ! ありがとうっす! めっちゃカワイイっす!」

「一番可愛いのはここあだそ!」

「いいえ、(わたくし)ですわっ!」

「ボクなのっ!!」

「ウチだっちゃー!」


「お姉ちゃん達は皆可愛いです! 大好きです!」

「「うぐっ!」」


 無言で皆にハグされる(あきら)である。


「あ、でさ! セットリストの確認ってどんななの? あたし見た事なくて」

「ステージで歌う曲の順番を書いたものですわ、これです」


 さちこ先輩が聞くと、(かおる)お姉ちゃんがベッドの上に紙を広げて見せてくれた。


 ――――――――――――――


 01  Hello! New World

 02  Soul Ignition

 03  限界までOver Drive!

 04  超新星覚醒


 (  M C  )


 05  星詠みのパラダイムシフト

 06  想月 ~In Love with the Moon~

 07  私たちだけの物語


 (  M C  )


 08  Eternal Blaze

 09  Stellar Evolution

 10  Burn My Soul With You

 11  Heart Beats Loud

 12  Fight for What You Believe


 ( アンコール )


 01  絶対領域突破

 02  未来へ


 ――――――――――――――


「わぁーっ! すごいっ!」

「一応、1~4曲目まで勢いのある曲で一気に盛り上げて、5曲目に幻想的な雰囲気の曲、6曲目にバラード、7曲目にミディアムなのを、そして8曲目から11曲目までは一気に走り抜ける情熱的で熱気のある曲を、ラストにキャッチ―で力強い曲、の順番ですわね!」

「私の作った曲があるんですけどっ!」

「えっ! あたしの作った曲も!?」

「当たり前だし! あんないい曲使わない理由がないんだし!」

「テンと(あきら)が作った曲を歌わないワケないなの!」

「泣きそうなくらい嬉しいです! しかも新曲もいっぱいです!」

「あたし、今からもうめっちゃくちゃ楽しみになってきちゃった!」

「ドンとウチらに任せとけだっちゃ!」

「楽しみにしていてくださいっす!」

「うんっ!!」

「ってかMCどうするんだぞーっ!?」


 話がまたスタートに戻ったようなので、明日がんばってー! とだけ言い残して部屋を出た。


 さて、次はキラ姉の部屋だ。

 コン、コン! とノックっするとセオドラさんがドアを開けてくれた。


「あら、2人ともどうしたの?」

「キラ姉! 今日はありがとう、おかげで本当に楽しかった!」

「うんうん、沢山のお店見て回ったり、クレープ食べたり」

「可愛い小さい女の子にバイバイ貰ったりしました! それでお土産を買ってきたので、貰って欲しいなーと思って!」


 買ってきたヘアクリップをキラ姉とセオドラさんに手渡した。


「うふふっ、すごく可愛らしくて(あきら)ちゃんぽいわね。大事に使うね、ありがとう!」

(わたくし)にまで頂けるんですか!? あ、ありがとうごじゃいっ……コホン! ありがとうございます。大切に使わさせて頂きます!」


 ……セオドラさんが、噛んだ! 噛んだ上に照れながら言い直した!

 声には出さなかったけど、きっと皆そう思ったはず!


「んじゃ、おやすみなさい!」

「うん、おやすみなさい」

「お休みなさいませ」


 キラ姉の部屋を後にして私達もそれぞれの部屋に戻る。


「セオドラさんのすごく珍しい所を見れただけでも、お土産買ってきた甲斐があったってものね!」

「ですよねっ! ものすごくレアでした!」

「んじゃ、(あきら)ちゃんもお疲れ様、おやすみー!」

「はい! おやすみなさい!」


 明日はクリスマスイブ! ライブが楽しみだ!


「ん? クリスマスイブ!? ああーっ! お土産、明日渡せばよかったかもー!」

ご覧いただき、ありがとうございます。


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